元魔王の英雄譚

千神 伽耶

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僕とボク

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サラサラの長い黒髪、艶やかな唇に、ぎゅっと抱きしめたいような小柄で愛くるしい容姿の少女が不機嫌そうな顔をする。
少女の名は、九重晴。
ある日、僕は運命の悪戯か死んでしまったのだ。

半年前―。
錆びて今にも外れてしまいそうなフェンスで人が落ちないようにされてある屋上。
「はぁ、僕は今日も上手く行かなかった」
少女のような少年が夕陽を見上げながらため息をつく。
「あ、あのっ」
「た、田沼さんどうしたの?」
黒髪ショートの女の子が入ってきた。
「だ、大事な話があるの。聞いてくれない?」
「べ、別にいいけど、、、」
頰を薄っすらと染める。
「ち、ち、、、中学の頃からずっと好きでした私と付き合ってくださいっ!!」
「え、、?」
唖然とする。
「私じゃ嫌、、?」
「い、嫌じゃないけど」
「けど?」
「ぼ、僕なんかでいいの?」
「違うよ、九重くんがいいの」
「はぅ、、い、、いいよ」
「ありがとうっ」
ぎゅっと抱きつきフェンスにもたれかかり、メキッと変な音がなった。
「―っ!?」
予想通りフェンスが外れ、真っ逆さまに地面へ落ちる。

目を覚ますと白い空間が広がっていた。
(ここは、、?)
「お前が九重晴か。ほんとに女顔だな」
浴衣を着ている中年の男がこっちに歩いてくる。
「人が気にしてることを、、、あなたは誰ですか?」
「神様」
「……。えっと、僕の聞き間違えでしょうか?神様って」
「くそ親父、急に神様なんて言われて信じるような変人はいない」
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