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赤髪編
5 人質
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「家に、帰してください」
「ごめんなー? もうちょいゆっくりしてってよ」
天蓋付きのベッドの上。俺は両手両足を縛られている。両手は腹の上。
体重をかけないように、赤髪の男が跨ってきた。
上等なスーツに身を包み、胸元をガバガバに開けている。ミチとは違う方向の美男で、細めの目が愉しげに笑っていた。
暗い室内に、間接照明が一つだけ。ほのかなオレンジの明かりが沈黙しているシャンデリアに反射し、装飾の宝石を煌めかせる。
白手袋に包まれた手が、首筋を撫でてきた。
「ぁ……」
「もう喋れそうだね。俺とお話ししよう」
「なん、ですか?」
赤髪は俺の横にごろりと転がる。
「君さ、知り合いに宇宙人とか、いない? いるでしょ?」
思わず瞳が凍り付いた。男はニヤリと笑う。俺の反応は、肯定したも同然だった。
「なん、で……」
「あはは。俺さぁ、宇宙人や宇宙生物をコレクションするのが趣味でね。ニュースであの映像を見て、急いで情報を集めてたんだ」
「コレクション、って……?」
「見たい? 見せてあげようか」
子どものようにはしゃいでいるが、俺のテンションは上がらなかった。人間に捕まるような宇宙人では感激できない。そりゃ宇宙生物全てが、ミチのように強いわけではないだろうけど。
「いえ。大丈夫です」
「あっれー? 興味ない? つまねぇなー」
起き上がると彼は、胸ポケットから一枚の写真を取り出す。
そこには、円盤と俺とミチが映っていた。
「それは……」
俺が円盤を見に行った時のものだ。
赤髪はその写真にキスする。
「仲、良さそうだね。君の宇宙生物は強そうだから、人質が必要と思ってね。君を痛めつけたら、大人しく捕まってくれるかな? この銀髪くん」
ズボンのボタンを外され、チャックを下げられた。
「あ、何を!」
逃げ出したいのに、頭が重くてうまく身体が動かせない。
「今から、どんなことされると思う?」
「……や、め」
怖くて、目を逸らすこともできなかった。
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