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ロッドウルム編
2 鍵
しおりを挟む〈ほとり視点〉
おじいちゃんが帰ってきたので驚いた。
目が青かったので多分ミチだろう。
「えっと……? ミチ?」
「そうじゃよ」
身長も縮み、よっぼよぼの、かわいいおじいちゃんになっちゃって。
「どうしたの? 人間引きずってるし」
人間を引きずっていることにもっと驚かなきゃいけないんだろうけど、暑くて思考が回らなかった。人間引きずっているなーくらいにしか思わない。
おじいちゃんはエコバッグを渡してくる。
「これ、冷蔵庫に、入れといてくれんか? わしはこやつを、円盤の中に、放り込んでくるからの……」
「……お。うん」
おじいちゃんになり切っている生物が円盤のある山に入っていく。なにがあったのやら。
エコバッグの中身を冷蔵庫に移し、俺も山に行こうと帽子を被る。よし。
「可愛斗。俺、山に行ってく――あらら」
室内を覗くと、扇風機の前でお昼寝していた。腹にタオルがかけてあるのでルンバさんが気を遣ってくれたのだろう。姉のようなお掃除ロボである。
『ほとり様』
ルンバさんが定位置(ベッド下)からちょっとだけ顔を出す。俺はそれに手を振った。
「ルンバさん。出かけてくるね。円盤のとこ行くだけだから」
『お待ちください。ほとり様。今は家から出ないよう、お願い申し上げます』
「……?」
玄関に向かおうとした足が止まる。
ベッドに近寄り、小声で話す。
「どうしたの? どっか引っかかった? 充電切れそう?」
『また、不審者がうろついていると、ミチ様から連絡がありました。どうか、可愛斗様か私のお側にいてください。ミチ様が戻るまで』
「――!」
俺はマッハで窓を閉め、カーテンを閉じ、玄関の鍵を閉めた。
可愛斗の上にダイブする。
「ふぎぇえ⁉」
寝ていた人間が悲鳴を上げるが、俺は構わずしがみつく。怖い。心臓がドクドクと大きく脈打つ。
「……? いてぇな~。ほとり? つまずいたのか?」
上体を起こした可愛斗に抱きつく。心が波打つ。落ち着かない。
「あー……よしよし。ふぁ~。今何時だぁ……?」
寝ぼけ切った可愛斗の態度が、心のささくれをそっと撫でるようだった。
『十二時一分です。可愛斗様』
「AIって優秀だな~。ほとり~? くっつかれたら暑いんだけど」
うとうとしながらも、背中や髪をぽんぽんしてくれた。目を擦りながら周囲を見回す。
「あれ? あのイケメンは?」
『鍵がかかってて入れないそうです』
「は?」
「あ」
可愛斗についてきてもらい、一緒に鍵を開けに行った。
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