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ロッドウルム編
11 卿次さんの家(広)
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「連絡もらったから迎えに行ったら、あいつらとやり合っているなんて。驚いたよ」
赤髪が朗らかに笑う。
実家の畑仕事を継いだらしい彼の家。のどかな雰囲気で緑の地面が広がり、豚さんたちが悠々と草を食んでいる。保有している土地が化け物級に広く、周囲に他の民家は一切ない。目隠しして連れてこられれば、北海道と勘違いしてしまいそうだ。
「ミチ……」
ベッドで横になっている彼は目を覚まさない。腹の上のルンバさんが容態を診てくれている。お掃除ロボにどうしてこんな機能が? と思うが不思議とそこまで気にならなかった。ルンバさんなら、と思ってしまうのだ。
ミチの手を握る俺の横で、可愛斗も疲れた顔でベッドに突っ伏している。
「なんなんだよ。あの黒いマネキンみたいなの。……それと背後のクラゲ」
赤髪の持ち家は古民家を改良した味のある内装。全体的に「和」だが、ベッドやトイレシャワーなどは洋風だった。
古民家に似合わないマフィアスーツの男が人数分のコーヒーをテーブルに置く。その近くで手を放した風船のように、でっかいクラゲが天井に頭ぶつけながら浮いている。
部屋にコーヒーのいい香りが漂う。
赤髪はコートを背もたれにかけた。
「まあ、コーヒーでも飲みなよ。ミルクと砂糖は好みで入れてね?」
「「……」」
とりあえず振り向いたが、俺も可愛斗もベッドから離れない。ミチが気絶している今、胡散臭いし単純に怖い。
それを知ってか知らずか、赤髪はこいこいと笑顔で手招きしている。
可愛斗は頬杖をつく。
「どうするよ、ほとり」
「……礼だけ言ってくるよ。一応助けてくれたんだし」
特に声を潜めず話し合う。
温かくも冷たくもない手を両手で包み込んだ。静かに持ち上げ、ミチの指先を己の頬に押し当てる。名残惜しんで手を放した。
一秒でもそばを離れたくなかったが、コーヒーを傾けている赤髪の前に立つ。
「ありがとうございました。赤髪さん」
「あかっ……卿次です。きょうじ。卿次さんって呼んでよ、ほとりくん」
ウインクされ、可愛斗の背後まで後退った。
「ちょっと! 俺のウインクの何が不満なの⁉」
「不満しかねぇわ」
「警戒してるだけです」
二十歳ズに拒否されてショックを受けている様子の赤髪を、カーテン触手がぺちぺちと叩き、蛇っぽい生物が頬ずりしている。元気出せと言っているようだ。
皺ひとつないスーツに、ガバガバに開いた胸元。雄感が強い男前。年齢は二十後半か三十前半か。
クラゲと蛇は宇宙生物だろう。ミチから聞いた話と一致する。だが、もっと数がいるはずだ。
「他の……宇宙生物たちは、いないんですか?」
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