拾った子どもが翌朝、イケメンに変わっていた

水無月

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ロッドウルム編

12 警戒中

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「んー? 畑や別宅にいるよ。敷地内に四つの畑と三つの家があるから。そのどこかにいるでしょ」
「「……」」

 お金って、持ってる人は持ってるよな。


 可愛斗が服の裾を引っ張ってくる。


「ほとり。宇宙生物ってなんだよ」
「え? あ、そうか……」


 信じるかは分からない。でもここまで巻き込んでしまった以上、可愛斗にも説明しておく必要がある。円盤が不時着してきたあたりから話してみよう。


「……」


 可愛斗は話を聞いている、というよりも、真剣に話しているほとり可愛いなーという顔だったが、最後まで口を挟まずにいてくれた。


 しばしの静寂を経て、

「なんだ。このイケメンヤクザ、人間じゃなかったのか」
「……え」


 後ろで見守っていた卿次も驚くほど、可愛斗の反応はあっさりしたものだった。

 俺も目をぱちくりさせてしまう。

「おっお前のことだから、もっと弾けたリアクションをすると思ったのに……。熱でもあるのか?」
「ねーよ。こいつが火星人だろうが未確認生物だろうが。俺の預金残高に影響がないならどうでもいい」


 きりりとしたキメ顔だ。

 頑張ってバイトしている可愛斗にとっては、大事な基準はそこらしい。


「それにこいつどう見てもほとりの味方じゃん。お前に危害加えないなら放置でいいしな」
「可愛斗……」


 なんでオメーも俺を中心に世界回してんだよ。


 ツッコみたかったが、味方でいてくれるのは心強い。お礼に頭をわしゃわしゃしておこう。

「くすぐってぇって!」

 嬉しそうにじゃれてくる大型犬をもっふもふしていると、赤髪が歩いてくる。


 俺たちは即座に縮こまった。


「ちょいちょい。もー何もしないって。警戒解いてよ」
「あなたが危険な人だということに変わりないです」
「うっそ! いやあの……コーヒーを飲んでほしいだけなんだよ! 冷めちゃうから。夏でもホットはうまいよ?」

 可愛斗はがるるっと唸る。

「ヤバい薬でも入ってんだろ!」
「うーん……。まあ、薬で言うこと聞かせるのは得意技だけどね。足を洗ったよ」
「足を洗った割にマフィアスーツなのは何でですか?」
「俺のスーツに変な名前つけないで。あんまり服装変わってたら、俺と認識できないかなーって気を遣ったんだけど。スーツだと堅苦しいイメージを与えちゃうかな? 着替えてくるよ。はい、ちょっと出て出て。着替えるから」


 ボタンを外すも蛇さんは出て行かず。むしろシャツの中に潜り込んでしまった。


「そいつも宇宙生物かよ」
「そうだよー。君は?」
「人間に決まってんだろ! っけんな! 赤毛!」
「名前を聞いたんだよ」

 可愛斗と卿次さんが自己紹介しているのを尻目に、ミチの手を握る。

「ルンバさん。ミチの容態はどう?」
『人間で例えるなら、スタンガンで気絶させられたようなものです。ミチ様は電気に弱いので、もうしばらくは眠り続けます』
「そっ、かー……」
「ほーとーりーくん。そのお掃除ロボットも宇宙生物でしょ。どんな生き物なのか教えてよ」



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