拾った子どもが翌朝、イケメンに変わっていた

水無月

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ロッドウルム編

13 ルンバさんの正体

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 スーツを脱いで、蛇さんを引っ張り出そうと格闘している卿次さんが声をかけてくる。


「は?」
「あれ? 違うの? 俺の宇宙生物センサーに反応があるんだけど。そのお掃除ロボットみたいな物体」


 アホ毛を揺らしながら、彼が指を差しているのはルンバさん。……え?


「ルンバさん」
『はい』
「ルンバさんも……そうなの? 宇宙生物、なの?」


 恐る恐る確かめる。ルンバさんは実にあっさりと肯定した。


『はい。ほとり様。私はミチ様と同じ星の生き物です』
「無機物じゃなかったの⁉」
「AIじゃねーのかよ!」


 俺と可愛斗の声がハモる。

 絶対中に人が入ってると思ってたけど、ルンバさん。生き物だったのか。


「なんか……俺のエトナが意地でも近寄ろうとしないんだけど。お掃除ロボットさんも強いのかな?」

 卿次さんは興味津々といった体だ。

『想像にお任せします。卿次様。それとほとり様』
「え? どしたの?」
『電車で眠りに入ってから今に至るまで、ほとり様も可愛斗様も水分を摂取しておりません。お二人に、軽度の脱水症状が見られます。ただちに水を口にしてください』


 ルンバさんてもしかして医療系の方なのだろうか。リュックから水筒を引っこ抜いた。


 中身の水を可愛斗と分け合う。


 卿次さんが冷蔵庫からアイスを持ってきてくれた。


「どうぞ。お二人さん」
「「……」」

 警戒しまくりの俺たちを見かねたのか、ルンバさんからピピっと音が鳴る。

『調査終了。ほとり様。可愛斗様。普通のバニラアイスです。毒や薬品の類は検出されませんでした』

 卿次さんに飛びつき、アイスとスプーンを奪い取った。床に座ったまま可愛斗と食べ始める。


 ああ暑かったんだ。緊張しっぱなしで、汗だくだし、甘いものが欲しかった。


「うまっ! 甘い」
「うめえええ。これ、高いやつじゃん」
「君たち! 色々言いたいことあるけどテーブルが見えないのかな? あそこに座って! ついでにコーヒーも飲んで!」


 やだ! ミチと離れたくない。何かあった時、俺が守らないと。

 ぷくっと頬を膨らませる。


「そんな可愛い顔しても駄目だよ! ここの家主は俺なんだからな」

 首根っこ掴まれ、仔猫のように運ばれる。可愛斗と一緒に椅子に置かれた。

 二人でルンバさんを振り返る。よほど心細そうな顔をしていたのか、ルンバさんは弟を安心させるように頷いてくれた。


『大丈夫です。ほとり様。可愛斗様。微力ながら、ミチ様が目覚めるまでは、私がお守りいたします』


 恐らくルンバさんはそこまで強くないんだろうけど、そう言ってくれると心強いよ。


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