上 下
1 / 25

序章 儚の能力

しおりを挟む
  
芙蓉儚(フヨウハカナ)は、山臥嘉紀(ヤマガヨシキ)の恋人である。
と言っても、二人の口から、恋人と言う言葉は出ない。
しかし、いつも一緒に居る。

儚には、不思議な能力が有った。それも、人間保護専門の能力で有る。
嘉紀の言葉を借りるなら、種族保存本能を原点とする能力だと言う。
何故ここで嘉紀の名前が出るかと言うと、この基礎的保護の原点は嘉紀である。
それが、儚に感染った。
それは、自保護と他保護が有り、その二つを含めて、基礎的保護と言われる。

1 自保護モード。
攻撃力は有るのだが、人を殺す程の攻撃は出来ない。その代わり、自己保護能力は強大である。鉄砲で撃たれても死なない。
自保護モードは、基礎的能力で有り、切断する事は出来ない。他保護モードを切っても、自保護モードは残る。

2 他保護モード。
これは、他人を護る力である。儚の場合は半径6米以内なら、他の人も護れる。
但し、このモードの時は、攻撃力が一切無い。しかし、他保護の範囲内に有る物質は、護る事も出来るし、消滅させる事も出来る。
 相手が人間の場合は護るのみで、消滅させる事は出来ない。

この保護機能は、物質の流れも電磁波も、防御範囲に入るのである。
この能力が有る者は、殴られても、投げられても、衝撃を感じない。これは、人間を害する現象が、無効化されているのだ。この場合は、重力が無効化されている。

3  特別能力
儚には、妙な特別能力も有った。幽体能力である。それは幽視と幽力に別れる。
幽視能力は、岩でも金属も透視出来る。前も後も横も視える。
幽力は、遠方の物を移動出来る。移動は1000kg余りを100mが限度。
範囲内の物質の消去も保存も出来る。範囲は、基礎能力の2倍で半径12m。
この幽能力も原点は嘉紀である。

ちなみに嘉紀は、天勝流古武術と言う挌闘技を得意とする。その奥義は翔天と言う。
これも、儚に伝染っている。この術も守護術のみで、人間を殺す事は出来ない。


これが、芙蓉儚の世界だ。
芙蓉儚は、保護的能力しか持たない為、訳あり能力者と称されている。

しおりを挟む

処理中です...