4 / 23
女王様の初恋・1 ※
しおりを挟む『保健室』
それだけを打ち込んだスマホの画面を、優弥は再度確認した。
そして、ゆっくりと両手の親指で送信を押す。
『送信完了しました』
その文字に、だんだんと優弥の鼓動が速くなってくる。
もうすぐここに、ミルクティーを持って彼がやってくるはず。
優弥はスマホをカバンにしまうと、ドキドキしながら保健室のドアを見つめていた。
(大丈夫、絶対にあいつは来る。今まで来なかったことなんて一度だってなかった)
ガラッ……と、保健室のドアが開いた。
「お待たせ、深海」
そう言って千歳はいつものように現れる。
その手には、やっぱりいつものようにミルクティーの缶が握られていた。
優弥はつかつかと千歳に歩み寄ると、千歳のネクタイを引っ張り乱暴にキスをした。
優弥が自分から舌を入れると、千歳は戸惑うことなくそれを絡め取ってくる。
千歳が色々な異性と遊んでいるのは優弥も知っていたけれど、まったく動揺しない千歳の態度がいかにも慣れていると証明しているようで悔しい。
「満足させろよ」
唇を離した優弥が言うと、いやらしい笑いを浮かべた千歳は、持っていたミルクティーと外した眼鏡を机に置いた。
「お任せください」
そう答えて、千歳は優弥をベッドへと押し倒してきた。
「……っ……」
千歳の指が優弥のシャツのボタンを外していく。
それだけで、自分の中の緊張と期待が高まっていくのが優弥にはわかった。
ボタンを全部外した千歳は、シャツの前を全開にして胸の突起を口に含む。
「んっ……」
最初は優しく唇と舌で愛撫された。
その感覚に優弥が浸っていると、軽くそこに噛み付かれて優弥の身体が跳ねてしまう。
「んあっ……!」
抑えられなかった声が優弥の口から漏れる。
その途端、千歳の口が離れていった。
「あっ……」
「もっと舐めて欲しい? 深海が可愛くお願いしてくれたら、続けてあげるけど」
目が合った千歳に意地悪くそう言われて、優弥はつい意地を張ってしまう。
「誰が……するかよ。お前が舐めたいって言うなら、舐めさせてやるけど?」
「素直じゃないなぁ」
千歳はクスッと笑うと、さっきとは逆の方へと舌を這わせ、さっきの箇所は指で摘んできた。
「あ……んっ……」
「ここ、深海好きでしょ?」
「馬鹿、そのまま……喋んな」
舐めながら喋る口と指に、優弥は完全に翻弄されてしまう。
千歳の優しい愛撫に優弥の身体はどんどん熱くなっていくが、決定的な刺激ではないのが、すごくもどかしい。
「あっ、お……女じゃ、ないんだから。そこばっかり触って……楽しいのかよ……んっ」
いつまでも胸ばかりを弄っている千歳を、優弥は睨んだ。
女と違って膨らみも柔らかさもない胸を弄ったって楽しいとは思えない。
「お前が、いつも抱いてる女達と……お、同じ扱いしたら、許さない……からな」
優弥がそう言うと、千歳は小さく笑みを零し、胸から離れて優弥の上に覆い被さるように、耳元に口を寄せてきた。
「ん~、そうじゃなくてさ、結構楽しいよ。だって、ここ弄ると……」
「んあっ」
千歳の手が制服越しに優弥自身に触れてくる。
「深海、すっごく感じてくれるから」
熱い吐息とともに耳元で囁かれ、優弥はゾクッとした。
(ずるい……。普段は軽めの口調で、胡散臭そうなことばっかり言うくせに、こんな時に真面目な声でそんなセリフ言うなんて……)
「ほら、今も自分から腰押し付けてきてるの、気づいてる?」
「え……」
千歳に指摘されて、初めて優弥は自分の痴態に気づかされた。
顔が熱くなり、きっと赤くなっているはずだと自分でもわかる。
「ああ、もうっ!」
いきなり千歳が声をあげて、痛いくらいに抱き締めてきたかと思うと、そのまま思いっきりディープなキスをされる。
「んっ、んんっ!」
千歳の唇が離れたころには、優弥は軽い酸欠状態になっていた。
「深海……お前、可愛過ぎる」
そう言って、優弥はギュッと千歳に抱き締められた。
その背中に腕を回したかったけれど、優弥は力が抜けてしまって無理だった。
「汚すとまずいから、脱ごうか」
千歳が優弥の身体を起こして服を脱がせていく間も、優弥はされるがままになっていた。
「シャツ……皺になる」
ワイシャツだけを残した姿にされた優弥は千歳を睨んで小さく文句を零した。
それでも千歳はそれ以上は脱がす気がないらしく、平然と言葉を返してくる。
「シャツくらいなら替え持ってくるからさ。シャツ一枚って感じが、なんか色っぽくて。もうちょっとサイズが大きいと、よりいい感じなんだけどなぁ」
「……スケベ」
千歳の言い方に恥ずかしくなった優弥は顔を伏せてしまった。
すると千歳は、優弥の両頬に手を添えて上を向かせると軽く唇を合わせてくる。
「そんな今さらでしょ。そういう深海こそ……」
「あっ」
直に自身に触れられて、優弥の声が漏れる。
「もうこんなにしてるじゃん。ス・ケ・ベ」
すでに反応している優弥のそこを弄りながら千歳が言う。
(……恥ずかしい。自分だけが乱れて高瀬を欲しがっているみたいだ)
千歳は息も乱さず、制服だってまだ着たままなのに、自分はシャツ一枚で喘いで気持ち良くなっているのが悔しくて優弥が泣きそうになっていると、千歳がそれに気づいているのかいないのか、明るい声で言った。
「いいんじゃない? スケベで。二人一緒なんだからさ」
(……一緒?)
優弥が不思議に思った次の瞬間、いきなり右手を掴まれて千歳のズボンの前へと持っていかれた。
「……っ!」
「ね?……俺も深海と一緒。興奮してる」
千歳の言葉通り、そこは熱く反応していて制服越しでも千歳の欲望を右手に感じる。
優弥は速くなる鼓動を誤魔化すように言う。
「お前と……一緒に、すんな……」
「もう、相変わらず冷たいなぁ、深海は」
素っ気無い言い方しか出来ない優弥の言葉を、千歳は笑いながら受け流してくれる。
(高瀬も……欲情してくれてるんだ)
そう思うと、優弥は千歳の素肌に触れたくなってきた。
0
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
アプリで元カノを気にしなくなるくらい魅力的になろうとした結果、彼氏がフリーズしました
あと
BL
「目指せ!!魅力的な彼氏!!」
誰にでも優しいように見えて重い…?攻め×天然な受け
⚠️攻めの元カノが出て来ます。
⚠️強い執着・ストーカー的表現があります。
⚠️細かいことが気になる人には向いてません。
合わないと感じた方は自衛をお願いします。
受けは、恋人が元カノと同級生と過去の付き合いについて話している場面に出くわしてしまう。失意の中、人生相談アプリの存在を知る。実は、なぜか苗字呼び、家に入れてもらえない、手を出さないといった不思議がある。こうして、元カノなんか気にしなくなるほど魅力的になろうとするための受けの戦いが始まった…。
攻め:進藤郁也
受け:天野翔
※誤字脱字・表現の修正はサイレントで行う場合があります。
※タグは定期的に整理します。
※批判・中傷コメントはご遠慮ください。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ただの雑兵が、年上武士に溺愛された結果。
みどりのおおかみ
BL
「強情だな」
忠頼はぽつりと呟く。
「ならば、体に証を残す。どうしても嫌なら、自分の力で、逃げてみろ」
滅茶苦茶なことを言われているはずなのに、俺はぼんやりした頭で、全然別のことを思っていた。
――俺は、この声が、嫌いじゃねえ。
*******
雑兵の弥次郎は、なぜか急に、有力武士である、忠頼の寝所に呼ばれる。嫌々寝所に行く弥次郎だったが、なぜか忠頼は弥次郎を抱こうとはしなくて――。
やんちゃ系雑兵・弥次郎17歳と、不愛想&無口だがハイスぺ武士の忠頼28歳。
身分差を越えて、二人は惹かれ合う。
けれど二人は、どうしても避けられない、戦乱の濁流の中に、追い込まれていく。
※南北朝時代の話をベースにした、和風世界が舞台です。
※pixivに、作品のキャライラストを置いています。宜しければそちらもご覧ください。
https://www.pixiv.net/users/4499660
【キャラクター紹介】
●弥次郎
「戦場では武士も雑兵も、命の価値は皆平等なんじゃ、なかったのかよ? なんで命令一つで、寝所に連れてこられなきゃならねえんだ! 他人に思うようにされるくらいなら、死ぬほうがましだ!」
・十八歳。
・忠頼と共に、南波軍の雑兵として、既存権力に反旗を翻す。
・吊り目。髪も目も焦げ茶に近い。目鼻立ちははっきりしている。
・細身だが、すばしこい。槍を武器にしている。
・はねっかえりだが、本質は割と素直。
●忠頼
忠頼は、俺の耳元に、そっと唇を寄せる。
「お前がいなくなったら、どこまででも、捜しに行く」
地獄へでもな、と囁く声に、俺の全身が、ぞくりと震えた。
・二十八歳。
・父や祖父の代から、南波とは村ぐるみで深いかかわりがあったため、南波とともに戦うことを承諾。
・弓の名手。才能より、弛まぬ鍛錬によるところが大きい。
・感情の起伏が少なく、あまり笑わない。
・派手な顔立ちではないが、端正な配置の塩顔。
●南波
・弥次郎たちの頭。帝を戴き、帝を排除しようとする武士を退けさせ、帝の地位と安全を守ることを目指す。策士で、かつ人格者。
●源太
・医療兵として南波軍に従軍。弥次郎が、一番信頼する友。
●五郎兵衛
・雑兵。弥次郎の仲間。体が大きく、力も強い。
●孝太郎
・雑兵。弥次郎の仲間。頭がいい。
●庄吉
・雑兵。弥次郎の仲間。色白で、小さい。物腰が柔らかい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる