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女王様の初体験・1 ※
しおりを挟む千歳がいなくなったのを確認すると、優弥は脱衣場で服を脱ぎ浴室へと入った。
自分の家とは違う浴室に、ただシャワーを浴びるだけなのに必要以上に緊張する。
家族が留守の恋人の家でシャワーを浴びるなんて、いまさらながらにこれからの展開を想像して恥ずかしくなる。
今まで千歳とは、学園内でしかしたことがなかったし、運動部でもない二人がシャワーなんて使うこともなかった。
そのせいか、制服だって二人して全部脱ぐことはほとんどなかったのだ。
(俺……本当に高瀬と恋人同士になれたんだ。こういう時ってどうしたらいいんだろう。制服、着直した方がいいのかな? それともタオルだけ巻く?)
シャワーの温度を調整しながら、優弥はそんなことを考えていた。
初めての経験に、優弥は完全にバージンと化してしまっていた。
(だって、高瀬とちゃんと恋人として抱き合うのは今日が初めてだから……)
そう考えると、なんだか優弥は恥ずかしさで全身が熱くなる気がした。
顔と身体の熱を冷ますために、少し温めのシャワーを頭から被っていると、脱衣場に人の気配を感じた。
きっと、千歳がタオルを持ってきたのだろう。
そう思ってあまり気にしていなかった優弥だったが……。
「優弥、タオル置いといたから」
言いながら浴室のドアを開けた千歳も全裸になっているのを見た瞬間、優弥は慌ててしまった。
きっと顔は真っ赤になっているに違いない。
なぜなら、こうしてまともに千歳の裸を見るのも優弥は初めてだったからだ。
「た、高瀬っ!」
「俺もシャワー、使おうと思って。優弥の家に比べたら、あれだけど……俺の家だって二人で入っても充分な余裕あるでしょ?」
(浴室に余裕があるないの問題じゃない!)
それどころか、優弥の気持ちには余裕なんてまったくなかった。
そんな優弥の気持ちも知らずに、千歳はさっさとシャワーを浴びる準備をしている。
入り口側を千歳に塞がれてしまい、仕方なく、優弥は千歳に背中を向けてボディソープで身体を洗い始めた。
後ろから千歳の視線を感じるが、優弥は恥ずかしくて振り返ることが出来なかった。
「…………」
お互いに無言で、身体を洗う音が浴室内に響く。
自分の胸の鼓動が千歳に聞こえるんじゃないかと心配するほど、優弥の緊張は高まっていく。
すると、後ろで千歳がシャワーを使う音が聞こえ、その水音に優弥が少しホッとした時だった。
「うわっ!」
いきなり背中にシャワーのお湯をかけられて、優弥は驚いて千歳の方へと振り返ってしまった。
「優弥、緊張しすぎ」
そこには、笑いながらシャワーのお湯を優弥へと向ける千歳がいた。
「だ、だって、お前が……!」
シャワーのお湯を止めた千歳が、優弥の言葉を遮るようにいきなり密着してきた。
そして、少し屈むように優弥の耳元へと口を寄せると囁く。
「だから俺が、ほぐしてあげる」
驚いて千歳の方へと向いた優弥の唇に、千歳のそれが重なってきた。
「んっ……」
優しく唇を舐められて、優弥が少しだけ口を開くと、千歳はそっと舌を差し込んできた。
千歳の舌に捉えられ、優弥もそれに応えようと舌を絡ませていると、突然、甘い香りとともに胸にヌルッとしたものを感じた。
千歳の舌は、相変わらず自分のと絡まっているからそれが千歳の舌ではないことがわかる。
(……な、何?)
正体のわからない何かに優弥が不安がっていると、千歳の舌がさらに深まり、同時に膨らみのない胸を千歳の手で揉まれる。
「あっ、んぅ!」
その感覚に優弥は顔を仰け反らせて喘いでしまい、その拍子に千歳とのキスは離れてしまう。
解放された頭を下げ、優弥が自分の胸へと視線を下ろすと、そこには何か液体らしきものが塗られていた。
「んっ、なに……? 高瀬」
相変わらず胸を弄っている千歳にそう聞くと、千歳は優弥の胸の突起を摘みながら答える。
「ん~……マッサージオイルだよ。これを塗ってマッサージすると、気持ち良くなれるから」
「やぁ、あっ……」
言いながら、千歳が何度も左右の乳首を強く摘むが、オイルのせいで滑るのか、まったく痛みはない。
それどころか、甘く緩い刺激がもどかしくて、もっと激しくして欲しくなる。
「はぁ、あ……んあ」
「……やっぱり痕、消えてるよな」
「え……?」
ぼんやりとした意識の中、千歳の呟きが聞こえ優弥は聞き返す。
すると、千歳は優弥にグッと顔を近づけ囁く。
「この前、我慢出来なくて優弥のここに痕残しちゃったんだよね」
そう言って千歳の指先がいやらしく優弥の鎖骨辺りへと移動する。
(やっぱり……高瀬がつけたんだ)
千歳の指の動きに優弥がドキドキしていると、千歳は甘い声で言った。
「また、残していい? 優弥が俺のものだって証拠」
その言葉に優弥は胸をときめかせてしまい、答えることが出来なかった。
(俺が……高瀬のものだっていう証拠?)
黙ったままの優弥を見つめると、千歳はクスッと笑って唇を優弥の鎖骨へと寄せる。
「答えないから、勝手につけちゃうよ」
「あっ!」
千歳にそこを強く吸われて、優弥は甘い声をあげて身体を震わせた。
やっぱり千歳に触られると、優弥の身体は素直に反応する。
それなのに、千歳はそんな優弥をはぐらかすように、優弥の身体から離れてしまった。
「はい……後ろ向いて。背中、マッサージしてあげる」
「あ……」
優弥は身体の向きを変えられて、背中にもそのオイルを垂らされる。
そして、その上を千歳の手が優しく滑っていく。
肩、背中、腰……と千歳の手は本当に解すためのマッサージをしてくれて、その心地よさとバニラの甘い香りに優弥は癒されていた。
「優弥……気持ちいい?」
「……うん」
優弥が素直に答えると、千歳は急に意地の悪い笑みを浮かべる。
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