乙女な女王様

慧野翔

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女王様の恋人

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 優弥が次に意識を取り戻すと、浴室で千歳に身体を洗われている最中だった。
 中のものをキレイに掻き出すという名目で、散々また泣かされ、優弥がぐったりしたころ、千歳に抱きかかえられて千歳のベッドへと連れてこられる。

「大丈夫? 優弥」

 うつ伏せでベッドに沈み込んでいる優弥の頭を優しく撫でながら、千歳が心配そうに聞いてきた。

「……腰から下の感覚がない」
「無理させちゃったかな?」

 そう言いながら、千歳が腰を擦ってくれる。

「そろそろ、身体起こせる?」

 優弥がしばらく心地よさに浸っていると、千歳が聞いてきた。

「うん、なんとか」

 そう答えて、優弥はゆっくりと身体の向きを変えベッドの上で身体を起こす。
 それを見て千歳は安心したのか、優弥の額に軽くキスをするとベッドから抜け出す。

「ちょっと待ってて。今、飲み物持ってくるから」

 そして、千歳はそのまま部屋を出て行った。
 しばらくすると、マグカップを持った千歳が部屋へと戻ってくる。
 ベッドの端に腰を下ろし、カップを一つ優弥へと渡してきた。

「これ……ミルクティー?」

 受け取った優弥は、カップから漂うミルクの香りにそう聞いた。

「うん、常温になってるから。飲んでみて?」

 千歳に言われて、優弥は一口カップの中身を口にした。

「……美味しい」

 優弥の口から素直な感想が出る。
 いつもは缶やパックのミルクティーしか飲まないから、なんか不思議な感じがしたが、そのミルクティーは香りも味も今までで一番良かった。
 そんな優弥の様子をじっと見ていた千歳は、優弥の言葉に安心したのか自分のカップに口をつけてから言った。

「美味しいって言って貰えて安心した。紅茶なんて人に淹れてあげるの初めてだから」
「えっ、これ、千歳が淹れたの?」

 優弥が驚いて聞き返すと、千歳は何でもないかのように頷いた。

「お袋が割と紅茶とかに凝っててさ。いつか俺も優弥にミルクティー淹れてやりたいって思って、練習してたんだ」
「……俺のために?」

 千歳は優弥を見つめ、優しく微笑んだ。

「だって優弥、ミルクティー好きだろ?」

 千歳の言葉に優弥は胸がジーンと温かくなった。

(千歳が俺のためにこの紅茶を淹れてくれたなんて……)

 嬉しすぎて、涙が溢れてくる。

「優弥っ?」

 慌てた様子の千歳に、優弥も涙を拭いながら笑顔を作る。

「バーカ、俺がミルクティー好きになったきっかけは、千歳なんだぞ」
「えっ、俺?」

 その優弥の告白に千歳が驚いた声をだした。
 あの、二人が初めて会った日……あれが全ての始まりだ。

「初めて会った日に……お前が俺にくれたんだ」

 優弥がミルクティーを飲み続けていた理由を白状すると、千歳は唖然としていた。

「俺があげたアレが、きっかけだったのか……?」
「ああ……だから、千歳がミルクティーをくれる度に、初めて会った日を思い出してた……あの日の千歳の笑顔が……ずっと忘れられなかった。でも……」

 優弥は昔を懐かしむかのように、そう言うと千歳の淹れてくれたミルクティーを飲み干した。

「……今度からは、今日のこと……思い出すかも……」

 さっきまで千歳としていた行為が一気に頭の中を過ぎり、優弥は恥ずかしくて顔を赤らめてしまう。
 そんな優弥の手からカップを取ると、千歳は自分の分と一緒にテーブルの上に置いた。

「だったら、今度からは俺の淹れた紅茶だけ飲んでよ。今日のことが忘れられないように」

 そして、千歳は優弥の首の後ろに腕を回して肩を抱くと、そのまま強く抱き寄せてキスをしてきた。

「んっ……ふぅ、あ」

 濃厚なキスをされ、気がつくと身体の位置が下がり、千歳が覆い被さるように優弥の顔を覗き込んでいた。

「優弥。今日、泊まっていきなよ。俺ん家、誰もいないし……このまま、帰したくない」

 甘く千歳にそう囁かれて、優弥はキスとその声に逆上せそうになりながら答える。

「うん……後で、家に電話させて。千歳の所に泊まるって……」

 優弥がそう言った瞬間、千歳にギュッと身体を抱きしめられる。

「夢みたいだ。優弥が今、この腕の中にいるなんて」
「夢じゃない。俺は千歳の側に……いるよ」

 そう答えて、優弥は千歳の両頬に手を添える。
 すると千歳にしては珍しく、イヤらしくもなく、カッコイイ顔を崩してにやけている。

(……なんかこういう千歳……ちょっと可愛いかも)
「幸せ。天国にいる気分だ」
「でも、次からは……もうちょっと抑えて」

 優弥の顔の温度が、また少し上がった気がする。

「毎回、こんなじゃ……俺の身体がもたなくなっちゃう……」
「難しいけど、努力します」
「うん」

 優しく微笑みながら、千歳が軽いキスをくれた。
 と、思ったらいきなり千歳が覆い被さってきて、その身体の重みを感じた。

「……って、ちょっと、言ってるそばからっ! あっ……」
「抑えるのは、次からでしょ?」

 そう言うと、千歳は優弥の首筋に顔を埋めてそこに吸いつき、手は優弥の腰から太ももの辺りを撫でてくる。

「んっ……んんっ、もう散々、しただろ! これ以上やったら、本当に……おかしくなる」

 半泣き状態で優弥が訴えても、千歳は止めてくれる気配はない。
 それどころか、もっと大胆な動きに変わってくる。

「やぁっ、千歳の……意地悪っ! バカ、変態!」

 泣きながら優弥が罵倒するのを、千歳は軽いキスで宥めようとしてくる。

「それでも、優弥……俺のこと好きでしょ?」
「む~……」

 言葉に詰まって優弥が膨れると、千歳はニコニコと笑顔で頬を擦り寄せてくる。

「あ~、本当に優弥、可愛い!」
「もうっ、いい加減に……」

 優弥の抵抗を遮って、千歳はさっきまでが嘘かのように真剣に言う。

「明日は学校、休んじゃう? 俺が1日、看病するからさ」
(看病って……どれだけするつもりなんだよ!)
「優弥……愛してるよ」

 優弥の顔も身体も、一瞬にして熱くなっていく。

(カッコイイくせに、そんな子供みたいに嬉しそうな顔するな)

 千歳はズルイ。いつも、そうやって自分の心を掴んでいくんだから。
 ……でも、自分のこの熱をなんとかしてくれるのは、千歳しかいないわけで……。

「……早く……なんとかしろ」

 優弥は諦めて、千歳の首にしがみつきキスを強請った。
 そんな優弥に応えて千歳は言う。

「仰せのままに」

 そして、千歳の熱い情熱的なキスが優弥の唇……身体へと、たくさん降り続けたのだった。






     千歳。俺も愛してるよ。

     だから、ずっと俺だけの千歳でいてね




          ~ E N D ~


______________________________________________

お読みいただきありがとうございます。
この作品に出てくる和彦&亮太メインの「無敵な女王様」も公開中。
まだ恋人関係になっていない優弥&千歳も登場しますので、よろしかったらぜひ。


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