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幸せ恐怖症
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もっと自分を大切にしなよ、と言った彼の目と声がひどく真剣だったものだから、私はうつむいて自分の指先を見た。
問題の解き方が分からないことを責められているような気がした。
と同時に、このひとは問題の解き方が分かる人なのだなと思った。
彼は私を抱き寄せて言う。「幸せになっていいんだよ」と。
私はそれをぞっとする思いで聞いた。幸せ。なんて恐ろしい言葉を使うのだろう。自分の目が泳ぐのが分かった。
それを必死に押し殺して、「ありがとう」とだけ伝えた。
笑った私の顔はきっとぎこちない。
幸せ。そうだ、彼からも早く離れなくては。
優しく微笑む彼の顔を、私は悲しい気持ちでそっと撫でた。
問題の解き方が分からないことを責められているような気がした。
と同時に、このひとは問題の解き方が分かる人なのだなと思った。
彼は私を抱き寄せて言う。「幸せになっていいんだよ」と。
私はそれをぞっとする思いで聞いた。幸せ。なんて恐ろしい言葉を使うのだろう。自分の目が泳ぐのが分かった。
それを必死に押し殺して、「ありがとう」とだけ伝えた。
笑った私の顔はきっとぎこちない。
幸せ。そうだ、彼からも早く離れなくては。
優しく微笑む彼の顔を、私は悲しい気持ちでそっと撫でた。
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