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ブラック企業に勤める社畜OLが異世界トリップして騎士の妻になるそうです
18禁は突然に。(R表現なし)
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―――どうしてこうなった。
「いやいやいやいやおかしいです。どう考えても流れがおかしい!」
結婚後、夫婦の寝室とするために設えられた部屋に一人。
いつの間にか部屋に用意されていたぴらっぴらの夜着をまとい、気づけばダブルベッドの上。
何がどうしてこうなった。
もはや記憶がさっぱりない!!
流された。
完全に流された!
ベッドの上でドタバタと悶えるが、やけに質のいい寝具一式はそれにびくともしない。
つまり、ベッドの上でいくらあんあんしようともギシギシ鳴ったりしない高級品だ…。
っておい!と、自分の思考に自分でツッコミをいれ、さらに頭を抱える。
なぜだ。
どうしてこうなったかもわからないが、こんな状況に来てまでなぜ自分はこんなことしか考えられないのかもわからない!!
「腐りすぎた!」
正真正銘の処女だが、なにしろ18禁が当たり前のように跋扈する現代日本で生きてきたのだ。
その手の知識はそれこそ腐るほどある。
だが、その知識の多くはエロゲによるもので、残念ながらそれらのほとんどは大人のファンタジー。
実地で役に立つかといえば、そんなわけはない。
もしろ無駄に悶えさせるだけである。
初々しくもできず、かと言って熟練の色気も見せられず。
結果としてどんな顔をして待てばいいのか混乱の絶頂にあるみはるは、真っ赤な顔を震わせて「あぁもうっつ」っと枕に勢いよく突っ伏せる。
リュートとともに暮らし始めてほぼ2年。
今まで一度もそんな雰囲気になったことなどなかったから、正直言って油断していた。
てっきり、「そういうこと」をするのは結婚後、つまり初夜からだろうと。
それまでには多少の覚悟も決まっているだろうとタカをくくっていたツケが、今一気に押し寄せてきている。
だが、心当たりがないわけではない。
…もしかしなくても、リュートはみはるの覚悟が決まるのを待っていてくれたのだろう。
部屋を別にしてあるとは言え、ひとつ屋根の下に男女が二人きりなのだ。
いつ何があってもおかしくはなかったが、それでも何もなかったのは、単にみはるの経験値の低さに由来する。
要するに免疫の無さが傍から見てもモロバレだった。
どうせ数日後には式―――つまり初夜がまっている。
そう思って強引に手を出すことはなかったのだろうが、ここに来ての絶好の機会。
巡ってきた据え膳を逃す理由はない。
ちなみに後から聞いた話だが、この世界にも「初夜」という言葉は存在するが、それまで花嫁が貞操を守らなければならない、という風習は特にないらしい。つまり、日本同様に婚前交渉は暗黙の了解ということだ。
「あぁ、この脇肉と下腹部を今からでも削ぎ落せないものだろうか…」
せめてもの幸運は、今年の夏に全身脱毛を終えていたことだろうか。
特に披露するあてもなかったが、付き合いのある友人に誘われ貴重な休みを削って行ったエステサロン。
思い出すのは紙パンツだ。
「…っておい、なぜ今それを思い出す…」
ない、それはないと自ら頭をふる。
その時だった。
「ミハル」
「はいぃぃぃぃ!」
ぽん、っと肩に置かれた手と、かけられた低い声。
一体いつの間に後ろに立っていたのだろう。
扉の開く音すら気づかないほどにパニクっていたのかと焦りながら、ミハルは恐る恐る背後を振り向く。
「うっつ…」
―――色気がヤバイ。
思わず鼻血が出るかと思った、と後に興奮気味にアイリーンに語って殴られる羽目になるほど、ヤバイものが目の前にある。
「どうした、ミハル。具合でも悪いのか?」
「…病んでるのは私の頭の中です。ご心配なく」
「そうか、なら問題ない」
とっさに鼻を抑えてベッドに沈んだみはるを一度は心配そうに覗き込んだものの、明らかに元気そうなその様子にすぐ笑顔になると、一旦その傍を離れる。
そして、すぐそばで揺らめいた明かりのうちの一つを吹き消すと、薄暗くなった部屋で、リュートがくつりと笑った。
「もう、遠慮はいらないな?」
「遠慮してくださいィィィィ!!!」
ヒィィィィィ。
またしても響き渡るみはるの悲鳴。
だが、今夜のリュートも一味違う。
「いくらでも叫んで聞かせてくれ。君の声を、一晩中」
それ、あかんやつです。
そう答える間もなく塞がれた口を皮切りに。
みはるの意識は、めくるめく世界に飲み込まれていった。
「いやいやいやいやおかしいです。どう考えても流れがおかしい!」
結婚後、夫婦の寝室とするために設えられた部屋に一人。
いつの間にか部屋に用意されていたぴらっぴらの夜着をまとい、気づけばダブルベッドの上。
何がどうしてこうなった。
もはや記憶がさっぱりない!!
流された。
完全に流された!
ベッドの上でドタバタと悶えるが、やけに質のいい寝具一式はそれにびくともしない。
つまり、ベッドの上でいくらあんあんしようともギシギシ鳴ったりしない高級品だ…。
っておい!と、自分の思考に自分でツッコミをいれ、さらに頭を抱える。
なぜだ。
どうしてこうなったかもわからないが、こんな状況に来てまでなぜ自分はこんなことしか考えられないのかもわからない!!
「腐りすぎた!」
正真正銘の処女だが、なにしろ18禁が当たり前のように跋扈する現代日本で生きてきたのだ。
その手の知識はそれこそ腐るほどある。
だが、その知識の多くはエロゲによるもので、残念ながらそれらのほとんどは大人のファンタジー。
実地で役に立つかといえば、そんなわけはない。
もしろ無駄に悶えさせるだけである。
初々しくもできず、かと言って熟練の色気も見せられず。
結果としてどんな顔をして待てばいいのか混乱の絶頂にあるみはるは、真っ赤な顔を震わせて「あぁもうっつ」っと枕に勢いよく突っ伏せる。
リュートとともに暮らし始めてほぼ2年。
今まで一度もそんな雰囲気になったことなどなかったから、正直言って油断していた。
てっきり、「そういうこと」をするのは結婚後、つまり初夜からだろうと。
それまでには多少の覚悟も決まっているだろうとタカをくくっていたツケが、今一気に押し寄せてきている。
だが、心当たりがないわけではない。
…もしかしなくても、リュートはみはるの覚悟が決まるのを待っていてくれたのだろう。
部屋を別にしてあるとは言え、ひとつ屋根の下に男女が二人きりなのだ。
いつ何があってもおかしくはなかったが、それでも何もなかったのは、単にみはるの経験値の低さに由来する。
要するに免疫の無さが傍から見てもモロバレだった。
どうせ数日後には式―――つまり初夜がまっている。
そう思って強引に手を出すことはなかったのだろうが、ここに来ての絶好の機会。
巡ってきた据え膳を逃す理由はない。
ちなみに後から聞いた話だが、この世界にも「初夜」という言葉は存在するが、それまで花嫁が貞操を守らなければならない、という風習は特にないらしい。つまり、日本同様に婚前交渉は暗黙の了解ということだ。
「あぁ、この脇肉と下腹部を今からでも削ぎ落せないものだろうか…」
せめてもの幸運は、今年の夏に全身脱毛を終えていたことだろうか。
特に披露するあてもなかったが、付き合いのある友人に誘われ貴重な休みを削って行ったエステサロン。
思い出すのは紙パンツだ。
「…っておい、なぜ今それを思い出す…」
ない、それはないと自ら頭をふる。
その時だった。
「ミハル」
「はいぃぃぃぃ!」
ぽん、っと肩に置かれた手と、かけられた低い声。
一体いつの間に後ろに立っていたのだろう。
扉の開く音すら気づかないほどにパニクっていたのかと焦りながら、ミハルは恐る恐る背後を振り向く。
「うっつ…」
―――色気がヤバイ。
思わず鼻血が出るかと思った、と後に興奮気味にアイリーンに語って殴られる羽目になるほど、ヤバイものが目の前にある。
「どうした、ミハル。具合でも悪いのか?」
「…病んでるのは私の頭の中です。ご心配なく」
「そうか、なら問題ない」
とっさに鼻を抑えてベッドに沈んだみはるを一度は心配そうに覗き込んだものの、明らかに元気そうなその様子にすぐ笑顔になると、一旦その傍を離れる。
そして、すぐそばで揺らめいた明かりのうちの一つを吹き消すと、薄暗くなった部屋で、リュートがくつりと笑った。
「もう、遠慮はいらないな?」
「遠慮してくださいィィィィ!!!」
ヒィィィィィ。
またしても響き渡るみはるの悲鳴。
だが、今夜のリュートも一味違う。
「いくらでも叫んで聞かせてくれ。君の声を、一晩中」
それ、あかんやつです。
そう答える間もなく塞がれた口を皮切りに。
みはるの意識は、めくるめく世界に飲み込まれていった。
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皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
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