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普通の女の子に戻りたい。
ここから先、一切の希望を捨てよ。
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ガンッ……………!
スキンヘッドが当たり前のように車から取り出したバールを用い、下りたままのシャッターを無理矢理にこじ開ける。
人一人潜れるほどの高さまで開いた所で、「お先に失礼します」と頭を下げるスキンヘッド。
偵察もかねているのだろう。
自ら尖兵を買って出るスキンヘッドだったが、それは渋い顔をした明日夢によって止められた。
「無駄ですよ。………曽根さんの顔を見てください」
明日夢のその言葉に、恐る恐る振り返ったスキンヘッドが見たのは、まさしく嗤う死神。
「折角の機会です。始まりは是非とも、派手にいきたいものですね」
「わ、若頭っ何を…………!!」
ガシャーーーーーン!!
止めるまもなく曽根がその長い足を振り上げ、半端にあいたままのシャッターを思いきり蹴りあげた。
「な、なんだぁ!?」
シャッターの内側から聞こえてくる、ざらついた男の声。
足音は一人ではなく、複数だ。
「行きましょう」
シャッターに片手をかけ、曽根が明日夢を誘う。
「まるで遠足にでも行くような顔ですね」
そんな場合か、と眉間にシワを寄せて罵れば、「あなたは楽しいと思いませんか?」と逆に問い返された。
楽しい?
そんな事を言っている場合か。
そう思いながらも、暴力と血の匂いのするこの場所に、興奮を覚える自分がいるのも確かで。
「楽しみましょう。ここは、あなたのために用意された遊技場です」
ーーーーーーーーー?
「曽根さん、それはどういう…」
聞き捨てならない言葉を耳にした明日夢が問い返したその時。
懐から、曽根が取り出したものを見て戦慄した。
「!?曽根さん、いきなりなんてものを出すんですか!?」
やはりどう見ても「拳銃」にしかみえないそれに驚き、目を見張る明日夢。
「安心してください。ただのモデルガンですよ」
ちっとも安心できない笑顔でそう笑う曽根の横。
スキンヘッドがぼそりと、「殺傷機能を限界まで高めた代物っすけどね…」とつぶやいたのを聞き逃す明日夢ではない。
「そんなの最早本物とほぼ変わらないじゃないですか!!」
「いいえ、こんなものは所詮ただのオモチャです」
なんなら誰かほかの人間に聞いてみてはいかがですか?と。
妙な事を言い出した曽根の言葉は、すぐに現実となった。
「おい、一体なん騒ぎだ!?」
奥から飛び出してきたのは、ひと目でチンピラとわかる若者。
明日夢は曽根の手から無言でその「おもちゃ」を取り上げると、何のためらいもなくチンピラの足元めがけて滑らせるように投げつけた。
「…なんだてめぇ・・・・・・・らぁ!?」
ドンッ…!!と。。
明日夢の思惑通り、モデルガンは下も見ずに走ってきたチンピラの足元にみごと滑り込み、それに足を滑らせたチンピラが、まさしくコントかというほど見事な勢いで背中から激しく床に倒れた。
その瞬間、すかさずチンピラの元に走りより、足元のおもちゃを回収した明日夢は、それをチンピラの額につきつけ、静かに口を開いた。
「――――――ーー死にたくなかったら、私の質問に素直答えてください」
素人とはとても思えない、流れるような一連の動作である。
けれど、相手も一端のヤクザだ。
一瞬の動揺から覚めると、この程度の荒事には慣れているのか、「撃てるもんなら撃ってみろよコラァ!!」と勢いをつけて明日夢を恫喝する。
「てめぇ、兄貴になんて口の利き方をしやがる…!!」
背後でいきりたつスキンヘッドの声が聞こえるが、一体明日夢はいつから兄貴になったのか。
そんなものになった覚えは欠片もない。
「てめぇどこの組のもんだ!んなオモチャみてぇなチャカで騙されると思ってんのか!?」
あぁ!?と、ヤクザの面目躍如でドスを利かすチンピラ。
それに対し、「………そうですか」と、恐ろしい程静かにつぶやいたのは明日夢だ。
「どうやらあなた方の業界では、これはただのオモチャという認識で正しかったようですね」
ねぇ曽根さん、と振り返れば、笑顔の曽根が「もちろんです」と首を縦に振る。
「だから言ったじゃありませんか。ただのおもちゃです、と」
そのいい笑顔に何を見たのか、明日夢の足元でチンピラが、「曽根って……まさかあの…!?」と慌てふためいた様子で声を上げたが、今更何を言っても遅い。
完全に傍観体制の曽根がチンピラへと手出しをする様子はなく、どうやら明日夢がどう動くのかを観察している様子。
なら。
「せっかくのおもちゃですから、試しにちょっと、ここで撃ってみても構いませんよね?」
だって、ただの玩具なんでしょう?といえば、その笑みを更に深くした曽根が、楽しげに頷く。
「お好きなようにどうぞ」
「お、おいてめぇっ一体何をっ!!」
さすがになにかまずいと悟ったチンピラ。
だが、モデルガンを構えた明日夢の腕は既に男の頭から徐々に下がっていき、やがて狙いを定めたのはーーーーーー男のシンボル。
つまり、股間。
ある意味、これ以上ないほどわかりやすい「的」だ。
「失敗してしまったらすみません。何分、銃を撃つのはこれが初めてなもので。
多少的が外れてしまっても、大丈夫ですよね?だって、これはおもちゃなんだから」
失敗しても、成功しても。
どちらにせよ男にとって最悪の悲劇しか思い浮かばないその所業はまさに鬼畜。
「ま、まさか本気で撃つ気か……!?」
「男」を捨てるのは流石に御免だと、だらだらと冷や汗流しながら叫ぶチンピラ。
例えそれがただのオモチャであったとしても、この至近距離から玉を打ち込まれれば悶絶するのは必死。
「……さて、どうしましょうか」
モデルガンを片手に小首をかしげた明日夢は、口だけは微笑みを作りながらも目が笑っていない。
勿論、銃の狙いもつけたまま。
撃たれる。
絶対、本気で撃たれる。
そう確信したチンピラと、なぜか無関係のはずのスキンヘッドまでもが、股間を押さえてすくみあがった。
「な、なんでも話す!!だからそのチャカを下ろしてくれーーーーーーーーー!!!」
チンピラがそう叫んだ瞬間。
明日夢の手元から、「パンッ」という乾いた音が鳴り響いたーーーーーーーーーーー。
スキンヘッドが当たり前のように車から取り出したバールを用い、下りたままのシャッターを無理矢理にこじ開ける。
人一人潜れるほどの高さまで開いた所で、「お先に失礼します」と頭を下げるスキンヘッド。
偵察もかねているのだろう。
自ら尖兵を買って出るスキンヘッドだったが、それは渋い顔をした明日夢によって止められた。
「無駄ですよ。………曽根さんの顔を見てください」
明日夢のその言葉に、恐る恐る振り返ったスキンヘッドが見たのは、まさしく嗤う死神。
「折角の機会です。始まりは是非とも、派手にいきたいものですね」
「わ、若頭っ何を…………!!」
ガシャーーーーーン!!
止めるまもなく曽根がその長い足を振り上げ、半端にあいたままのシャッターを思いきり蹴りあげた。
「な、なんだぁ!?」
シャッターの内側から聞こえてくる、ざらついた男の声。
足音は一人ではなく、複数だ。
「行きましょう」
シャッターに片手をかけ、曽根が明日夢を誘う。
「まるで遠足にでも行くような顔ですね」
そんな場合か、と眉間にシワを寄せて罵れば、「あなたは楽しいと思いませんか?」と逆に問い返された。
楽しい?
そんな事を言っている場合か。
そう思いながらも、暴力と血の匂いのするこの場所に、興奮を覚える自分がいるのも確かで。
「楽しみましょう。ここは、あなたのために用意された遊技場です」
ーーーーーーーーー?
「曽根さん、それはどういう…」
聞き捨てならない言葉を耳にした明日夢が問い返したその時。
懐から、曽根が取り出したものを見て戦慄した。
「!?曽根さん、いきなりなんてものを出すんですか!?」
やはりどう見ても「拳銃」にしかみえないそれに驚き、目を見張る明日夢。
「安心してください。ただのモデルガンですよ」
ちっとも安心できない笑顔でそう笑う曽根の横。
スキンヘッドがぼそりと、「殺傷機能を限界まで高めた代物っすけどね…」とつぶやいたのを聞き逃す明日夢ではない。
「そんなの最早本物とほぼ変わらないじゃないですか!!」
「いいえ、こんなものは所詮ただのオモチャです」
なんなら誰かほかの人間に聞いてみてはいかがですか?と。
妙な事を言い出した曽根の言葉は、すぐに現実となった。
「おい、一体なん騒ぎだ!?」
奥から飛び出してきたのは、ひと目でチンピラとわかる若者。
明日夢は曽根の手から無言でその「おもちゃ」を取り上げると、何のためらいもなくチンピラの足元めがけて滑らせるように投げつけた。
「…なんだてめぇ・・・・・・・らぁ!?」
ドンッ…!!と。。
明日夢の思惑通り、モデルガンは下も見ずに走ってきたチンピラの足元にみごと滑り込み、それに足を滑らせたチンピラが、まさしくコントかというほど見事な勢いで背中から激しく床に倒れた。
その瞬間、すかさずチンピラの元に走りより、足元のおもちゃを回収した明日夢は、それをチンピラの額につきつけ、静かに口を開いた。
「――――――ーー死にたくなかったら、私の質問に素直答えてください」
素人とはとても思えない、流れるような一連の動作である。
けれど、相手も一端のヤクザだ。
一瞬の動揺から覚めると、この程度の荒事には慣れているのか、「撃てるもんなら撃ってみろよコラァ!!」と勢いをつけて明日夢を恫喝する。
「てめぇ、兄貴になんて口の利き方をしやがる…!!」
背後でいきりたつスキンヘッドの声が聞こえるが、一体明日夢はいつから兄貴になったのか。
そんなものになった覚えは欠片もない。
「てめぇどこの組のもんだ!んなオモチャみてぇなチャカで騙されると思ってんのか!?」
あぁ!?と、ヤクザの面目躍如でドスを利かすチンピラ。
それに対し、「………そうですか」と、恐ろしい程静かにつぶやいたのは明日夢だ。
「どうやらあなた方の業界では、これはただのオモチャという認識で正しかったようですね」
ねぇ曽根さん、と振り返れば、笑顔の曽根が「もちろんです」と首を縦に振る。
「だから言ったじゃありませんか。ただのおもちゃです、と」
そのいい笑顔に何を見たのか、明日夢の足元でチンピラが、「曽根って……まさかあの…!?」と慌てふためいた様子で声を上げたが、今更何を言っても遅い。
完全に傍観体制の曽根がチンピラへと手出しをする様子はなく、どうやら明日夢がどう動くのかを観察している様子。
なら。
「せっかくのおもちゃですから、試しにちょっと、ここで撃ってみても構いませんよね?」
だって、ただの玩具なんでしょう?といえば、その笑みを更に深くした曽根が、楽しげに頷く。
「お好きなようにどうぞ」
「お、おいてめぇっ一体何をっ!!」
さすがになにかまずいと悟ったチンピラ。
だが、モデルガンを構えた明日夢の腕は既に男の頭から徐々に下がっていき、やがて狙いを定めたのはーーーーーー男のシンボル。
つまり、股間。
ある意味、これ以上ないほどわかりやすい「的」だ。
「失敗してしまったらすみません。何分、銃を撃つのはこれが初めてなもので。
多少的が外れてしまっても、大丈夫ですよね?だって、これはおもちゃなんだから」
失敗しても、成功しても。
どちらにせよ男にとって最悪の悲劇しか思い浮かばないその所業はまさに鬼畜。
「ま、まさか本気で撃つ気か……!?」
「男」を捨てるのは流石に御免だと、だらだらと冷や汗流しながら叫ぶチンピラ。
例えそれがただのオモチャであったとしても、この至近距離から玉を打ち込まれれば悶絶するのは必死。
「……さて、どうしましょうか」
モデルガンを片手に小首をかしげた明日夢は、口だけは微笑みを作りながらも目が笑っていない。
勿論、銃の狙いもつけたまま。
撃たれる。
絶対、本気で撃たれる。
そう確信したチンピラと、なぜか無関係のはずのスキンヘッドまでもが、股間を押さえてすくみあがった。
「な、なんでも話す!!だからそのチャカを下ろしてくれーーーーーーーーー!!!」
チンピラがそう叫んだ瞬間。
明日夢の手元から、「パンッ」という乾いた音が鳴り響いたーーーーーーーーーーー。
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