恋せよ乙女のオカマウェイ!!

隆駆

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普通の女の子に戻りたい。

今更ながら別のフラグが回収されました。

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「店が大変って……どういうことですか!?」

一体何があったのか。
この慌てぶりはただ事ではない。

『火事よ、火事!!店に火をつけられたの!!』

「!?」

火事!?それは確かに大事だ。
しかも、「火をつけられた」ということは。

「誰かに放火されたってことですか!?それに店は?店の従業員の人たちは!?」

貴子はもちろんだが、彼らーーーいやらはわずかな時間とはいえ一緒に働いた大切な仲間だ。
誰か一人でも怪我をしていたらーーーー。
そう思うといてもたってもいられなくなったが、それに関してはすぐに貴子が否定する。

『安心して!幸い開店前だったからまだ誰も店には来てなかったし、火事自体もすぐに見つかったから小火ボヤで済んだの!
でも、隣の店の従業員が、火事になる前、うちの店の前に不審な男がうろついていたのを目撃したって……!!』
「不審な男……」

では、その男が放火をーーーーーー。
ぎりぎりとこぶしを握っていれば、貴子が更なる情報を告げる。

『その不審者の特徴を聞いたんだけど、実はそいつ、この間明日夢ちゃんが追っ払ってくれたサラリーマンによく似てるのよ。一応警察も呼んだんだけど、逆恨みによる犯行じゃないかって……。
それで、もし次にその男がターゲットにするとしたら、直接相手をした忍ちゃんか明日夢ちゃんのどっちかじゃない?だからすぐ忍ちゃんに連絡をとったんだけど、どうしても繋がらなくて……!』

そこで一応は若い女性である明日夢ではなく、それなりにいい年齢をした優男の忍を優先させるあたりが貴子らしい選択だが、今はそんな事を言っている場合ではない。

そうだ。
どこかで見覚えが有ると思えば、さきほど忍の後を付けていたあの不審者。

「……似てた」
『え?』

背格好だけだが、確かにあのサラリーマンとほぼ同じ体格。

『ねぇちょっと、明日夢ちゃん?似てるってどういう意味?』

もしもし?と電話口の先で貴子がしきりに声をあげているが、思考の海に溺れた明日夢にはその声も届かない。

「しまった……!!あの時すぐに後を追ってれば………!!」
『明日夢ちゃん!?あの時って…それどういうこと!?なにか心当たりがあるの!?』

その金切り声にも似た叫びに、ようやく自分が通話中であることを思い出した明日夢。

「実はついさっき、忍さんらしき男性が妙な男に尾行されているのを目撃して……!!」

簡単にさきほどあったことを説明すれば、『そんな、嘘でしょ!?』とうろたえた貴子の声。
だがすぐに我に帰ったのか、そこから発生する別の危険性に思い当たり、急いで明日夢に釘を刺す。

『明日夢ちゃん!?今どこにいるのかわからないけど、とにかくあなたは無事なのよね?だったら万が一にも忍ちゃんを助けに行こうなんてことも考えちゃだめよ!!』
「でも貴子さん…!!」
『駄目ったら駄目!!そんなつもりで電話したわけじゃないし、明日夢ちゃんを危険な目に合わせたなんて知らせたら私が太一に殺されちゃうわ!!』
「太一!?ここでなんて太一に関係が……」

ないでしょ、と言いかけたその声にかぶせるように叫ぶ貴子。

『あるわよ!!あの子、子供の時からずーーーーーっと、明日夢ちゃん一筋なんだからっ!!』


「………は?」

『は?じゃなくてっ!!あぁもうっ!!とにかくなんでもいいから動いちゃダメよ!!今こっちでも知り合いに頼んで忍ちゃんを探してもらってるから、明日夢ちゃんはどこか安全な場所に隠れててちょうだい!!』

わかったわね!?と。

叫ぶ貴子の声が、どこか遠く聞こえて。


”あの子、子供の時からずーーーーっと、明日夢ちゃん一筋なんだからっ!!!”



その声が、頭の中でガンガンとこだまする。

思い出すのは、先日の困った告白。

まさかあれはーーーーーーー本気だったのか。

「太一、私の一体どこが良かったんだろ……」

趣味が悪すぎなんじゃないの、と。

呆然と呟いた明日夢の手から、通話が繋がったままのスマホが、ぼとりと落ちた。
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