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性別が行方不明になりました
個人情報は大切に③
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太一が去った部屋の中で、再び携帯が鳴った。
非通知ではないものの、知らない番号だ。
どうしようかと一瞬悩み、もし就職関連だったらと、ためらいながら通話を取る。
「もしもし……?」
『こんにちは、明日夢さん』
え……?
「えっと……どなたでしょうか」
声に聞き覚えがあるような気はするのだが……。
とりあえず、間違い電話である可能性だけはなくなった。
『私ですよ。高津組の、曽根です』
「…!そ、曽根さん!?どうして番号を……!!」
『申し訳ありませんが、少々調べさせていただきました』
なんの呵責もなく言い切る声は、流石に極道。
というか、一体何の用だろう……そういいかけて、思い出す。
「……もしかして、例の名刺の件……ですか」
『何か、お困りのことがあったようですね?直接連絡して頂ければこちらから出向きましたが』
「い、いえ!!」
お手を煩わせるようなことなどありません!と本人が目の前に以内にも関わらずヘコヘコ頭を下げてしまう。
『下っ端の連中が妙な噂をしていると耳に入りましてね。なんでも私のお気に入りが妙な店で働いていると……』
「……ほんっとうに申し訳ありませんでしたっ!つい出来心で!」
平身低頭、もはやスマホを拝む勢いだ。
『妙な店、というのはあなたの幼馴染の叔母がやっているというショーパブのことですね?そこに明日夢さんが出入りしている、という話は聞いていませんでしたが』
むしろなんで貴子さんのお店のことまで調べてあるんだろう。
あぁ…高津組の組長さんは昔馴染みだったというし、話を聞いていたのだろうか。
「あのですね……。実は頼まれてアルバイトをしている最中に、下っ端連中が店に因縁をつけてきまして…。穏便に収めるために、曽根さんの名刺をお借りした次第で……」
『貴嗣』
「はい?」
『貴嗣、と呼んでください。それで今回のことはチャラにしましょう』
「了解です!貴嗣さん!」
名前で呼ぶことの危険性がちらっと頭をよぎりながらも、つい敬礼で了承してしまった。
むしろ断ったら後が怖い。
『もう、あの店に出てはいけないよ』
「そもそも一日だけっていう約束だったので……。あの、でもあそこは知り合いのお店なので、今後ああいった連中に出入りされると……」
『心配はいりません。妙な噂の出処には丁重な始末をつけさせていただきましたから…。今後あの店に手出しする愚か者は出ないでしょう』
ゾクッツ……。
妙に甘く低い声で言われた言葉に、背筋がぞっとした。
な、なにされたんだろう、あの2人……。
生きてる?生きてる、よね……?
『そもそもあそこは組長も贔屓にしていたという店ですからね。うちの組傘下のものには気にかけるよう伝えてあります。何かあったら連絡するように、と』
つまり、護衛のようなものをつけてくれたということか。
それは水商売的にもありがたいのではないかと思う。
「どうもすみませんでした……」
『いえ。私の名前を思い出してくれただけで光栄ですね……』
頭の中に浮かぶのは、目つき鋭いインテリヤクザ顔。
『ところで明日夢さん。よろしければ、今度私にお付き合いいただけないでしょうか?』
「え?」
まだ何かあるのか、と警戒して声を出した明日夢に、彼はさらっと爆弾発言を持ち出した。
『デートのお誘いですよ』
非通知ではないものの、知らない番号だ。
どうしようかと一瞬悩み、もし就職関連だったらと、ためらいながら通話を取る。
「もしもし……?」
『こんにちは、明日夢さん』
え……?
「えっと……どなたでしょうか」
声に聞き覚えがあるような気はするのだが……。
とりあえず、間違い電話である可能性だけはなくなった。
『私ですよ。高津組の、曽根です』
「…!そ、曽根さん!?どうして番号を……!!」
『申し訳ありませんが、少々調べさせていただきました』
なんの呵責もなく言い切る声は、流石に極道。
というか、一体何の用だろう……そういいかけて、思い出す。
「……もしかして、例の名刺の件……ですか」
『何か、お困りのことがあったようですね?直接連絡して頂ければこちらから出向きましたが』
「い、いえ!!」
お手を煩わせるようなことなどありません!と本人が目の前に以内にも関わらずヘコヘコ頭を下げてしまう。
『下っ端の連中が妙な噂をしていると耳に入りましてね。なんでも私のお気に入りが妙な店で働いていると……』
「……ほんっとうに申し訳ありませんでしたっ!つい出来心で!」
平身低頭、もはやスマホを拝む勢いだ。
『妙な店、というのはあなたの幼馴染の叔母がやっているというショーパブのことですね?そこに明日夢さんが出入りしている、という話は聞いていませんでしたが』
むしろなんで貴子さんのお店のことまで調べてあるんだろう。
あぁ…高津組の組長さんは昔馴染みだったというし、話を聞いていたのだろうか。
「あのですね……。実は頼まれてアルバイトをしている最中に、下っ端連中が店に因縁をつけてきまして…。穏便に収めるために、曽根さんの名刺をお借りした次第で……」
『貴嗣』
「はい?」
『貴嗣、と呼んでください。それで今回のことはチャラにしましょう』
「了解です!貴嗣さん!」
名前で呼ぶことの危険性がちらっと頭をよぎりながらも、つい敬礼で了承してしまった。
むしろ断ったら後が怖い。
『もう、あの店に出てはいけないよ』
「そもそも一日だけっていう約束だったので……。あの、でもあそこは知り合いのお店なので、今後ああいった連中に出入りされると……」
『心配はいりません。妙な噂の出処には丁重な始末をつけさせていただきましたから…。今後あの店に手出しする愚か者は出ないでしょう』
ゾクッツ……。
妙に甘く低い声で言われた言葉に、背筋がぞっとした。
な、なにされたんだろう、あの2人……。
生きてる?生きてる、よね……?
『そもそもあそこは組長も贔屓にしていたという店ですからね。うちの組傘下のものには気にかけるよう伝えてあります。何かあったら連絡するように、と』
つまり、護衛のようなものをつけてくれたということか。
それは水商売的にもありがたいのではないかと思う。
「どうもすみませんでした……」
『いえ。私の名前を思い出してくれただけで光栄ですね……』
頭の中に浮かぶのは、目つき鋭いインテリヤクザ顔。
『ところで明日夢さん。よろしければ、今度私にお付き合いいただけないでしょうか?』
「え?」
まだ何かあるのか、と警戒して声を出した明日夢に、彼はさらっと爆弾発言を持ち出した。
『デートのお誘いですよ』
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