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性別が行方不明になりました
デートのお誘い(?)
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「……ってわけなんだけど、どうしたらいいと思う?太一」
『全然わけがわからねぇ。ちゃんと説明しろ』
貴嗣からの通話が切れた直後、速攻出かけたのは太一の番号。
「だから、デートのお誘いだよ、デートの」
『……お前、就職が決まりそうなんだろ?ヤクザと付き合ったりしたらその場で落選するぞ』
「違う違う、ヤクザとじゃないから」
そう、ヤクザではない。
『?その、曽根とかいう奴とじゃないのか?』
「うん。高津組の、組長さんのお孫さんと」
そう。なんと明日夢のデートのお相手は、まだ小学生の女の子だった。
「なんかさ、曽根さんがそのお孫さんの子守を頼まれたらしいんだけど、小学生の女の子の話し相手なんて何を喋ったらいいかわからないって。それで、一緒に付き合って欲しいっていわれて……」
『なんだそりゃ……。断りゃいいだろ』
あっさり言ってくれるが、そうもいかない。
「こっちにもちょっと貸しがあるんだって…。曽根さん、貴子さんの店にも便宜を図ってくれるみたいだし、ここで恩を売っておくのも悪くないとは思うんだ」
二人きりでのデート、と言われれば話は別だが、間に小学生の少女が挟まっているとなれば、おかしなことにもそうなるまい。
「とりあえず動物園か水族館にでも行こうって話になってるんだけど……」
『行く気なのか!?』
「そりゃそうでしょ」
むしろ断れる気がしなかった。
「代金は全部あっちもちでいいっていってくれるし、後はどんな服を着ていけばいいかを太一に相談しようと……」
『問題はそこじゃない。お前はもっと警戒心を持て!』
「はぁ?」
小学生になんの警戒心をもてというのだろう。
「う~ん、意見を聞きたかっただけなんだけど、話にならないからいいや。ごめん、切るよ」
『!おい、明日夢!切るんじゃない!お…』
ピッ。
うるさくがなり立てる通話口から耳を離し、通話を切ったスマホをベッドに放り投げる。
さて、太一が役に立たないとなったからには、自分で何とかするしかない。
「何着ていけばいいんだろうなぁ、デートなんて」
とりあえずクローゼットを片っ端から開けてみるか。
悲しいことに、これまでデート用の洋服、なんてものを一度も買ったことがない。
ほとんどがユニクロかしまむらの既製品。
もしくは、「似合うかと思って、つい」と貴子からプレゼントされた男物のブランド品か。
どうせなら甥っ子にプレゼントすればいいと思うのだが、なぜか太一は一度も受け取ったことがないらいし。
なぜだろう?
というか、どうせなら女性ものが欲しい。
一応はユニセックスなタイプのものを選んでくれているようではあるが……。
「あ、そうだ。この間もらったあれ、着てみようかな……」
下手にめかしこんだところで、どうせ化けの皮は既に剥がれていることだし、媚を売っていると思われても困る。
かと言って安物を着込んでいって、恥をかかされたと言われたら心臓が弾け飛びそうだ。
ならば、いまの明日夢に取れる策はひとつしかなかった。
「よし」
心は決まった。
名づけて、『プリティウーマン作戦』だ。
『全然わけがわからねぇ。ちゃんと説明しろ』
貴嗣からの通話が切れた直後、速攻出かけたのは太一の番号。
「だから、デートのお誘いだよ、デートの」
『……お前、就職が決まりそうなんだろ?ヤクザと付き合ったりしたらその場で落選するぞ』
「違う違う、ヤクザとじゃないから」
そう、ヤクザではない。
『?その、曽根とかいう奴とじゃないのか?』
「うん。高津組の、組長さんのお孫さんと」
そう。なんと明日夢のデートのお相手は、まだ小学生の女の子だった。
「なんかさ、曽根さんがそのお孫さんの子守を頼まれたらしいんだけど、小学生の女の子の話し相手なんて何を喋ったらいいかわからないって。それで、一緒に付き合って欲しいっていわれて……」
『なんだそりゃ……。断りゃいいだろ』
あっさり言ってくれるが、そうもいかない。
「こっちにもちょっと貸しがあるんだって…。曽根さん、貴子さんの店にも便宜を図ってくれるみたいだし、ここで恩を売っておくのも悪くないとは思うんだ」
二人きりでのデート、と言われれば話は別だが、間に小学生の少女が挟まっているとなれば、おかしなことにもそうなるまい。
「とりあえず動物園か水族館にでも行こうって話になってるんだけど……」
『行く気なのか!?』
「そりゃそうでしょ」
むしろ断れる気がしなかった。
「代金は全部あっちもちでいいっていってくれるし、後はどんな服を着ていけばいいかを太一に相談しようと……」
『問題はそこじゃない。お前はもっと警戒心を持て!』
「はぁ?」
小学生になんの警戒心をもてというのだろう。
「う~ん、意見を聞きたかっただけなんだけど、話にならないからいいや。ごめん、切るよ」
『!おい、明日夢!切るんじゃない!お…』
ピッ。
うるさくがなり立てる通話口から耳を離し、通話を切ったスマホをベッドに放り投げる。
さて、太一が役に立たないとなったからには、自分で何とかするしかない。
「何着ていけばいいんだろうなぁ、デートなんて」
とりあえずクローゼットを片っ端から開けてみるか。
悲しいことに、これまでデート用の洋服、なんてものを一度も買ったことがない。
ほとんどがユニクロかしまむらの既製品。
もしくは、「似合うかと思って、つい」と貴子からプレゼントされた男物のブランド品か。
どうせなら甥っ子にプレゼントすればいいと思うのだが、なぜか太一は一度も受け取ったことがないらいし。
なぜだろう?
というか、どうせなら女性ものが欲しい。
一応はユニセックスなタイプのものを選んでくれているようではあるが……。
「あ、そうだ。この間もらったあれ、着てみようかな……」
下手にめかしこんだところで、どうせ化けの皮は既に剥がれていることだし、媚を売っていると思われても困る。
かと言って安物を着込んでいって、恥をかかされたと言われたら心臓が弾け飛びそうだ。
ならば、いまの明日夢に取れる策はひとつしかなかった。
「よし」
心は決まった。
名づけて、『プリティウーマン作戦』だ。
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