恋だけど愛じゃない。

隆駆

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恋するきっかけ

迷う心

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失敗した。
お姉ちゃんよりも先に帰ろうと思ったのに、まぁくんが、中々放してくれなかった。
おかげでお姉ちゃんにもなんだか怪しまれてたような…。
ううん、きっと気のせい。
お姉ちゃんも、あっくんの話で動揺してたんだと思う。
何しろポロポーズされたんだもんね…。
動揺するなというのが無理だ。
「相談、してくれると思ったんだけどな…」
二人きりの姉妹、こういう時こそ力になりたいと思ったのに。
でも、心のどこかで無理はないかと思う自分もいる。
―――だって、私もまぁくんのことをずっとお姉ちゃんに内緒にしてる。
はじめは雅人に言われて秘密にしていた。
けれど、今話さないのは、ただのわがままだ。
栞が16を過ぎてからずっと、二人の関係を明らかにすることを望んでいた雅人。
16歳、その意味は、女子が結婚することのできる年齢。
つまり雅人は…。
「………動揺、しないわけないよね…。自分の一生がが決まるんだもん…」

私だって、ずっと悩んでる。
もう、2年も。

「結婚、かぁ…」

実感がない。
自分が結婚するというのも、姉が結婚するというのも。
その相手が、お隣の兄弟だということも。

そういえば、私がまぁくんを好きになったのはいつだったんだろう…?
わからない。
気づけばお姉ちゃんとあっくんとが一緒にいて…。
それに入れずに眺めていた私の手を引いてくれたのは、まぁくんだった。
憧れの人、だったのだと思う。

何しろ7歳差だ。
理想の王子様、まさにそんな感じの。

――――その関係が変わったのは、今でも覚えている。


お姉ちゃんとあっくんの、中学の卒業祝に家族みんなでいったカラオケ。
その日の、夜のことだ。


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