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やっぱり魔王は最強です。
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竜児の登場に対して、あからさまに「げっ」という顔をしたのは主任。
「悪党弁護士様のご登場、ってか」
悪態をつく主任だが、そんなものを気にするような竜児ではない。
現在の状況を一瞥するなり。
「賢治。なんですかこの体たらくは。さっさとやってしまえばいいものを」
「いや~、俺もそうは思ったんだけどな?惜しいところで後一歩だったというか………」
「言い訳は不要です。僕は役に立たない幼馴染みを持った覚えはありません」
「へいへい。さっさと挽回しろってね」
首をすくめ、当然のように竜児と向き合う賢治。
たった今登場したはずの竜児が、なぜかこの場の空気を支配しているという不思議。
「んで、竜児的にはこの状況はどうよ?」
軽くおどけたその問いかけに対する答えは冷笑。
「どうやらここには無能しか存在していないようですね」
勢いよく全員まとめてバッサリと切り伏せた。
「………遅れてやってきた分際で随分だな?今の状況がわかっているのか?」
ぐずぐずしていればコイツが死ぬぞ、と。
まるで何処ぞの悪役のような台詞を吐く龍一。
以前にも似たような状況で邪魔に入られているだけに、不機嫌さを隠そうともしていない。
「それともお前が何とかして見せるか?」
軽薄に嗤いながら吐いた台詞は、できるはずもないとタカをくくったもので。
半分は、余計な真似した部長への当て付けでもあったのだろう。
あのタイミングで邪魔さえ入らなければ、確実に高瀬は龍一の手を取っていたはず。
しかし龍一の言う通り、今竜児が登場した所で状況はなにも変わらない。
結局高瀬に取れる手段は一つしかないのだと、そう驕りを抱いていた龍一だが。
「いいでしょう」
「……………何?」
「二度同じことを口にする趣味はありません。退きなさい」
まさか、そんなことができるはずがないと。
怪訝な表情を浮かべる龍一は、その場から動こうとしない。
そこですかさず動いたのは賢治だ。
「はいはい。うちの魔王サマが御免よ?でも一度言い出したら聞かない奴だからさぁ」
つきあってくれよ、と。
強引に羽交い締めをし、龍一をその場から引き剥がす。
「…くっ…………!!」
「りゅ、龍一さま……………!!」
思わずと言った様子で声をかけたのは矢部先輩。
「おい………………!!!」
当然のごとく龍一の足元から逃げ出す男。
そして男が狙ったのは、悲鳴のような叫び声を上げた矢部先輩でも、近くにあった枕を手にしっかりと防御の構えを見せる中塚女史でもなく。
一見して全くの無力な幼女。
高瀬その人だった。
「ちょ、二人とも何してくれてんの!?」
事態を悪化させてどうする!!
叫ぶ高瀬の頭上に振りかざされる男の腕。
勿論この体に何かあったとしても直接命に関わる事態が起こることはあり得ない。
あり得ない、のだが。
ーーーーーやっぱ怖いっ!
反射的に身構え、腕を顔の前につき出す高瀬。
『きゅ!!』
ーーーーーきゅ?
「悪党弁護士様のご登場、ってか」
悪態をつく主任だが、そんなものを気にするような竜児ではない。
現在の状況を一瞥するなり。
「賢治。なんですかこの体たらくは。さっさとやってしまえばいいものを」
「いや~、俺もそうは思ったんだけどな?惜しいところで後一歩だったというか………」
「言い訳は不要です。僕は役に立たない幼馴染みを持った覚えはありません」
「へいへい。さっさと挽回しろってね」
首をすくめ、当然のように竜児と向き合う賢治。
たった今登場したはずの竜児が、なぜかこの場の空気を支配しているという不思議。
「んで、竜児的にはこの状況はどうよ?」
軽くおどけたその問いかけに対する答えは冷笑。
「どうやらここには無能しか存在していないようですね」
勢いよく全員まとめてバッサリと切り伏せた。
「………遅れてやってきた分際で随分だな?今の状況がわかっているのか?」
ぐずぐずしていればコイツが死ぬぞ、と。
まるで何処ぞの悪役のような台詞を吐く龍一。
以前にも似たような状況で邪魔に入られているだけに、不機嫌さを隠そうともしていない。
「それともお前が何とかして見せるか?」
軽薄に嗤いながら吐いた台詞は、できるはずもないとタカをくくったもので。
半分は、余計な真似した部長への当て付けでもあったのだろう。
あのタイミングで邪魔さえ入らなければ、確実に高瀬は龍一の手を取っていたはず。
しかし龍一の言う通り、今竜児が登場した所で状況はなにも変わらない。
結局高瀬に取れる手段は一つしかないのだと、そう驕りを抱いていた龍一だが。
「いいでしょう」
「……………何?」
「二度同じことを口にする趣味はありません。退きなさい」
まさか、そんなことができるはずがないと。
怪訝な表情を浮かべる龍一は、その場から動こうとしない。
そこですかさず動いたのは賢治だ。
「はいはい。うちの魔王サマが御免よ?でも一度言い出したら聞かない奴だからさぁ」
つきあってくれよ、と。
強引に羽交い締めをし、龍一をその場から引き剥がす。
「…くっ…………!!」
「りゅ、龍一さま……………!!」
思わずと言った様子で声をかけたのは矢部先輩。
「おい………………!!!」
当然のごとく龍一の足元から逃げ出す男。
そして男が狙ったのは、悲鳴のような叫び声を上げた矢部先輩でも、近くにあった枕を手にしっかりと防御の構えを見せる中塚女史でもなく。
一見して全くの無力な幼女。
高瀬その人だった。
「ちょ、二人とも何してくれてんの!?」
事態を悪化させてどうする!!
叫ぶ高瀬の頭上に振りかざされる男の腕。
勿論この体に何かあったとしても直接命に関わる事態が起こることはあり得ない。
あり得ない、のだが。
ーーーーーやっぱ怖いっ!
反射的に身構え、腕を顔の前につき出す高瀬。
『きゅ!!』
ーーーーーきゅ?
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