わらしな生活(幼女、はじめました)

隆駆

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部長の異変。

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おまけとばかりに指にガジガジと噛みついてやれば、「そこまでにしなさい、タカ子」と竜児からの制止がかかった。

元凶が何を言うと口に入っていた指をペッと吐き出し、かわりに手近にあった竜児の肩にカプリと噛みついてみる。

だが。

「まてタカ子。それは竜児には御褒美だろ」
「あむ?」

歯形のついた竜児の肌に満足していれば、想わぬ賢治からの忠告が。

なぜ噛まれてご褒美なのかと思いきや、「それでもう終わりですか?」との不満げな竜児の声。

普通ならドエムかと心配するところだが、竜児にそれはありえない。

「ケンちゃん、竜児がちょっと変態度を増してるんだけど」
「見せつけてやりたいんだろ?」
「歯形を?」
「こんなことが平気で出来るくらい親密な関係だってことを」
「なるほど」

そういわれると確かに納得。
つまり龍一への嫌がらせの一環か。

だがこれは嫌がらせではなく報復である。
うまく使われるのは不本意と、下腹部に巻き付く竜児の腕をエイエイと蹴り飛ばし、なんとかその場からの脱出を果たす。

改めて全員を眺めれば、竜児を睨み付ける龍一、そして。

「お菓子でもくれるんですか?」
「君の俺への位置付けもよくわかったよ」

満面の笑顔で手招きする主任にすかさず餌を要求すれば、がっくりと肩を落とされた。

かわりに応援してくれたのは中塚女史である。

「その調子よ、及川さん。女は安くみられたらそこで終わりなの」
「………ちょっとあんた、後輩に妙なこと吹き込んでんじゃないわよ!?」

珍しく常識的な発言の矢部先輩。
だが今さらながらによく考えてみれば、師匠は中塚女史の先輩。
今の高瀬のように、中塚女史もまた、先輩である彼女から色々と影響を受けていた可能性は高い。
発言がどこか似ているのもそのせいだろう。

逆に言えば高瀬が『高木真理子』へとすぐに懐いたのは中塚女史の存在あってのことだったというわけだ。

こんなところにも、本人達の知らぬうちにできた絆があった。

やはり今回の件は、高瀬達にとって避けては通れない話だったのだろう。

うんうんと頷いてみれば、ふと足元にアレク君の気配が。
目を輝かせたハムちゃんがいそいそとアレク君の背中に飛び移る。

お母さん、ちょっと寂しいです。

「ん?どうしたの、アレク君」
『くぅ~ん』
「………………部長?」

あっちをみて上げて!と言わんばかりに必死に部長をアピールするアレク君。

どこか思い詰めた顔で高瀬を見つめていた部長は、高瀬に向かい手をさしのべようとし…………何かに耐えるようにその手で拳を握った。

…………………部長?
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