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美少女はいつでも歓迎です。
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「あ~しかし面倒なこと押し付けられちまったなぁ。
こいつらになんかあったら、俺がみゃぁこに叱られるじゃねぇか」
参ったなぁ、と。
大して困っていなそうな声で、けれど頭をガシガシと掻きながらつぶやく男。
『みゃぁこ』
やはりその名前にも聞き覚えがある。
「……竜児、あの人」
「わかってます。この間君とのデートを邪魔してくれた変態ですね」
「変態」
「真昼間から生霊とデートを楽しむ男なんて変態以外の何がありますか」
「………いや、それで言うとなんか軽くブーメランな気が」
「君はいいんですよ君は。僕は君を連れて人前に出たことはないでしょう?」
「………そういえば確かに」
幽体離脱=生霊と言えなくもないが、少なくとも真昼間から人の多いデートスポットに出かけるなんて無謀な真似をできる度胸はない。
しかも高瀬の場合、幼女姿がデフォの為可視化できたとしても別の意味でやばい。
「え~と、とりあえず結論から言えば、水族館の人……だよね?」
この間会ったーーーー、と。
恐る恐ると言った様子で聞けば、男はあっさりそれを肯定したあと、ちょっと首を傾げ……。
「あんた、ちょっと縮んだか?」と今更な意見を。
今それ気づく!?という感じだが、むしろひと目で今の高瀬を元の姿と結びつけたことが凄い。
「……もしかすると、目に見えるものではなく気配や霊気といったもので人間を認識しているのかもしれませんね」
「……霊気……」
つまり姿はどうでもいい、そういうことか。
だとしたら、生霊と平然とデートしていたのも納得である。
「油断している場合ですか、タカ子。
このタイミングで現れたということはすなわちーーーーーーーーーこの男が僕たちの敵です」
「!!」
そうだった!!
今更、無関係な霊能力者がたまたま通りがかった、なんて言い訳が通用するはずもない。
「人に面倒なものをけしかけてくれたのもあなたでしょう」
「?あぁ、こいつのことか」
竜児に指摘され、男はいかにも面倒くさそうな顔でソレーーーーー猫蠱の遺骸を見下ろす。
「言っとくが、俺は猫は好きなんだ。
これを作ったのは俺じゃねぇぞ」
「……え?」
「ったく、あいつもいい加減趣味が悪いよな。こんなの”みゃあこ”にバレた日にゃ、俺が叱られるじゃねぇか」
「……あいつ?」
言葉から読み解くにーーーーーーーー術者は一人ではない?
そこでふと思い出した。
「そうだ、龍一・・・・・・・!!」
とにかくこの男が関係者だというのは間違いないのだから、龍一の居場所も知っているはず。
「ん?あんた、あいつの知り合いか?つか、もしかして助けに来た?」
「一応!!」
胸を張って言うセリフでもないがあえて張り切って答えた。
やはり男は龍一の居所を知っているらしい。
「一応、一応な。なるほど。見た目も変わってるが、あんた面白なぁ、嬢ちゃん」
「?」
見た目?幼女姿のことか?
今の会話の何が男の琴線に触れたのか。
うんうん、とひとり何かを考え込んだ男は、楽しそうに「ひとつ提案なんだが」と。
「みゃぁこが友達が欲しいって言ってたからよぉ、できればあんたにゃあいつの話し相手になってやって欲しいんだ。飲んでくれるならあんたの頼みをひとつ聞いてやってもいい」
「美少女のお友達はいつでもウェルカムです」
「お、話が早いな」
即答すれば、心から嬉しそうな男の顔。
「んじゃ代わりにこの件から手を引いて龍一を開放してって言ったら?」
「別にいいぜ」
「!!」
まじか!!
「竜児、交渉成立だよ!?」
「………タカ子………」
え、なにその残念なものを見る目。
美少女とお友達になりつつ龍一を返してもらえるならお得な交渉だと思うのですが。
「つまり君は、例の彼女を通して、この胡散臭い男との縁が切れなくなるということですよ?」
「!?」
「悪質な呪術を駆使し、人を呪う。そんな相手に激しく執着されているような相手と平和的に「お友達付き合い」なんてものができますか?」
「あ………」
言われてみればその通り。
美少女に罪はないが、この男にはタップリの余罪がある。
そもそも今、中塚先輩たちが苦しんでいるのもこの人のせい。
たとえ今回は手を引いてくれたとしても、そんな相手との縁ができてしまうということは……?
「でも、あの生霊の彼女はきっと、この件には関与してないんじゃ……」
「関与しているかいないかが問題ではありません。この男と縁続きになることが問題なんです。
はっきり言えばこの男は、四乃森龍一の商売敵ですよ」
いいんですか、と問われちょっと困る。
龍一云々はこの際置いておくにしても、面倒なことになりそうなのはちょっと勘弁。
話し合いでなんとかなるかと思ったが、やはり結局は実力行使か。
「んじゃやっぱりこの話はーーーー」
「!おいおい、ちょっとまてよ」
話の流れが自分にとって都合の悪い方に推移していくことに気づいたのか、男は言う。
「早まるな。そもそも俺はあいつの敵ってわけじゃない。
まぁこっちも頼まれた仕事だからな。邪魔をするなら少々痛めつけさせてもらいはするが、命まで取るつもりは端からねぇよ」
というかな?
「言っとくが、この仕事をもともと受けたのはコイツの身内だぞ?
俺はそいつから頼まれて、この契約が完遂するところまでを見届けているだけだ」
「……は?」
ーーーーーーーーーもうひとりの黒幕が、龍一の身内……?
つまり、敵もまた、四乃森の人間。
竜児と二人、思わず顔を見合わせる。
「それ、どういうこと……!?」
こいつらになんかあったら、俺がみゃぁこに叱られるじゃねぇか」
参ったなぁ、と。
大して困っていなそうな声で、けれど頭をガシガシと掻きながらつぶやく男。
『みゃぁこ』
やはりその名前にも聞き覚えがある。
「……竜児、あの人」
「わかってます。この間君とのデートを邪魔してくれた変態ですね」
「変態」
「真昼間から生霊とデートを楽しむ男なんて変態以外の何がありますか」
「………いや、それで言うとなんか軽くブーメランな気が」
「君はいいんですよ君は。僕は君を連れて人前に出たことはないでしょう?」
「………そういえば確かに」
幽体離脱=生霊と言えなくもないが、少なくとも真昼間から人の多いデートスポットに出かけるなんて無謀な真似をできる度胸はない。
しかも高瀬の場合、幼女姿がデフォの為可視化できたとしても別の意味でやばい。
「え~と、とりあえず結論から言えば、水族館の人……だよね?」
この間会ったーーーー、と。
恐る恐ると言った様子で聞けば、男はあっさりそれを肯定したあと、ちょっと首を傾げ……。
「あんた、ちょっと縮んだか?」と今更な意見を。
今それ気づく!?という感じだが、むしろひと目で今の高瀬を元の姿と結びつけたことが凄い。
「……もしかすると、目に見えるものではなく気配や霊気といったもので人間を認識しているのかもしれませんね」
「……霊気……」
つまり姿はどうでもいい、そういうことか。
だとしたら、生霊と平然とデートしていたのも納得である。
「油断している場合ですか、タカ子。
このタイミングで現れたということはすなわちーーーーーーーーーこの男が僕たちの敵です」
「!!」
そうだった!!
今更、無関係な霊能力者がたまたま通りがかった、なんて言い訳が通用するはずもない。
「人に面倒なものをけしかけてくれたのもあなたでしょう」
「?あぁ、こいつのことか」
竜児に指摘され、男はいかにも面倒くさそうな顔でソレーーーーー猫蠱の遺骸を見下ろす。
「言っとくが、俺は猫は好きなんだ。
これを作ったのは俺じゃねぇぞ」
「……え?」
「ったく、あいつもいい加減趣味が悪いよな。こんなの”みゃあこ”にバレた日にゃ、俺が叱られるじゃねぇか」
「……あいつ?」
言葉から読み解くにーーーーーーーー術者は一人ではない?
そこでふと思い出した。
「そうだ、龍一・・・・・・・!!」
とにかくこの男が関係者だというのは間違いないのだから、龍一の居場所も知っているはず。
「ん?あんた、あいつの知り合いか?つか、もしかして助けに来た?」
「一応!!」
胸を張って言うセリフでもないがあえて張り切って答えた。
やはり男は龍一の居所を知っているらしい。
「一応、一応な。なるほど。見た目も変わってるが、あんた面白なぁ、嬢ちゃん」
「?」
見た目?幼女姿のことか?
今の会話の何が男の琴線に触れたのか。
うんうん、とひとり何かを考え込んだ男は、楽しそうに「ひとつ提案なんだが」と。
「みゃぁこが友達が欲しいって言ってたからよぉ、できればあんたにゃあいつの話し相手になってやって欲しいんだ。飲んでくれるならあんたの頼みをひとつ聞いてやってもいい」
「美少女のお友達はいつでもウェルカムです」
「お、話が早いな」
即答すれば、心から嬉しそうな男の顔。
「んじゃ代わりにこの件から手を引いて龍一を開放してって言ったら?」
「別にいいぜ」
「!!」
まじか!!
「竜児、交渉成立だよ!?」
「………タカ子………」
え、なにその残念なものを見る目。
美少女とお友達になりつつ龍一を返してもらえるならお得な交渉だと思うのですが。
「つまり君は、例の彼女を通して、この胡散臭い男との縁が切れなくなるということですよ?」
「!?」
「悪質な呪術を駆使し、人を呪う。そんな相手に激しく執着されているような相手と平和的に「お友達付き合い」なんてものができますか?」
「あ………」
言われてみればその通り。
美少女に罪はないが、この男にはタップリの余罪がある。
そもそも今、中塚先輩たちが苦しんでいるのもこの人のせい。
たとえ今回は手を引いてくれたとしても、そんな相手との縁ができてしまうということは……?
「でも、あの生霊の彼女はきっと、この件には関与してないんじゃ……」
「関与しているかいないかが問題ではありません。この男と縁続きになることが問題なんです。
はっきり言えばこの男は、四乃森龍一の商売敵ですよ」
いいんですか、と問われちょっと困る。
龍一云々はこの際置いておくにしても、面倒なことになりそうなのはちょっと勘弁。
話し合いでなんとかなるかと思ったが、やはり結局は実力行使か。
「んじゃやっぱりこの話はーーーー」
「!おいおい、ちょっとまてよ」
話の流れが自分にとって都合の悪い方に推移していくことに気づいたのか、男は言う。
「早まるな。そもそも俺はあいつの敵ってわけじゃない。
まぁこっちも頼まれた仕事だからな。邪魔をするなら少々痛めつけさせてもらいはするが、命まで取るつもりは端からねぇよ」
というかな?
「言っとくが、この仕事をもともと受けたのはコイツの身内だぞ?
俺はそいつから頼まれて、この契約が完遂するところまでを見届けているだけだ」
「……は?」
ーーーーーーーーーもうひとりの黒幕が、龍一の身内……?
つまり、敵もまた、四乃森の人間。
竜児と二人、思わず顔を見合わせる。
「それ、どういうこと……!?」
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