自分の運命の相手が俺を嫌っているクラスメイトだった話。

リン

文字の大きさ
15 / 20

平凡ではあるが平穏ではない話。

しおりを挟む
 
「……で、なっつんとオオハシさんはなんでそんなにバチバチになってたのー?色んなウワサ話のその全部を鵜呑みにする訳じゃないけどさー、なんか2人とも……変にみんなから注目されちゃってるよ?」

「「…………。」」


 ーー朝の教室での一幕。AIによる『運命の相手』に関する発表から一夜明け、昨日放課後での出来事が忘れられずにいた矢先に起きた……この状況である。

 俺は今、学年でも有数の美少女たちーー小川さんと大橋さん、それにクラスの中心的存在でムードメーカーでもある内田さんの3人に囲まれ、朝から異様な緊張感に包まれていた。

 ーーそして、そんなこちらの緊張した空気を感じ取ったのか……他のクラスメイトたちも異様にシーンと静まり返って、皆一様にこちらの様子を伺っている。


「(て言うか……完全に俺、このメンツからして浮いちゃってるんだよな……。2人がさっい喧嘩してたのもそうだけど、そもそもなんで小川さんと大橋さんは俺の席の近くにいたんだろう……?)」


 すると、そんな俺の疑問を他所に……内田さんからの問いに対し、その友人である小川さんが少しだけ食い気味になって答える。


「いや!コイツが……が勝手に私に突っ掛かってきただけだから!そもそも、私が中峰の席の隣に座ってたのだって、が原因なんだし。」

「はい?それを言うならアナタが……が先に私に声を掛けてきたでしょう?
 中峰くんの席をクラスの方から聞いて、近づいた私に向かって『そこどいてくんない?あと、席の近くにいられたらウザいから自分の教室帰ってね。』などと、傍若無人なことを突然言って。」


 すると、そのように食い気味で言った小川さんの言い分に、間髪入れず大橋さんも言い返し……再びギロリっと、お互いに視線だけでお互いのことを無言で牽制し合っている。(メッチャ怖い……。)

 しかし、双方の言い分を聞いて俺が思うのは……やはり、なぜ俺の席に2人がいるのかである。大橋さんはおそらく何かしらの話があってそこにいたのだと思うが……小川さんの言う『昨日の発表が原因』とは?


 なので俺は、自分がこの場でかなり場違いであることは自覚しつつ、恐る恐るではあるが……小川さんにその疑問について緊張気味に質問する。


「あ、あの……小川さんの言う『昨日の発表が原因』で、俺の隣の席に座っていたというのは……?たしか小川さんの席はもう少し前の席だったような……。」

「うんうん!カリンもそれ思ったー!なっつんの席って、普通にそこじゃないじゃん。なんで……そこの席が自分の席だって言ってるのー?」


 そして、俺が口にした疑問の言葉に追随する形で内田さんも疑問の言葉をぶつけると、俺の言葉にはあまり反応を示さなかった小川さんだが……渋々と言った様子で、俺と内田さんの疑問に溜息と共に答える。


「はぁ……。だから、その……なに?私の『運命の相手』が……最悪だけどコイツだったじゃん。
 だから、そのサポートの一環として、私の席がコイツの隣になったの。寮に引っ越しとかそういう本格的なのは今週末からだけど……こういう簡単なのから順に始めていくんだって。」

 ーーしかし、そう言って溜息を吐く小川さんの様子は、気だるげな様子と言うよりも……どことなく、少し照れているようにも見える?(まあ、口にした言葉自体はかなりきつめだけど……。)


 すると、そんな小川さんの様子を俺がちらちら見ていることに気づいたのか……彼女は再びギロリと鋭い視線を俺の方に向けるが、少しするとーーその仏頂面をふいっとこちらから背ける。

 しかし、そんな仏頂面でこちらから顔を背ける仕草も、美人な小川さんがやると絵になっていて……なんだか、それをじっと見ていた俺の方も意味もなく恥ずかしくなって顔を背けてしまう。


 すると、そんな何とも言えない空気感の中ーー「あの、中峰さん?」と言って、くいくいと俺の制服の袖を引っ張る大橋さんが困惑した様子で、こちらを見上げて……


「なんだか、小川さんが言っている意味がよく分からないのですが……彼女は何を言ってるんですか?
 これではまるでーー自分が中峰くんの『運命の相手』みたいに言っていたように思えるのですが……そんな偶然はありませんよね?」

「うぇ!?あ、あの……それはーー」


 ーーしまった……完全に大橋さんとのについての事を失念していた……。

 そもそも、今のこの状況も相当ややこしいのだが……俺の『運命の相手』がいるとなると、かなりその約束にも不都合に働いてしまうのだ。

 そして、その相手がいるという事ーーまた、その相手が小川さんだと言うことを、俺は大橋さんに伝えるのを完全に忘れてしまっていたのだった……。


 すると、俺のそんな口ごもった様子に、大橋さんは何とも言えない表情を浮かべて……スッと、昨日の食堂でそうしたように、こちらの方に顔を寄せるとーー


「……中峰くん!これでは一体どうするんですか!?
 もし彼女がーー小川さんが中峰くんの『運命の相手』なら……私のである、を紹介し辛くなるじゃないですか!
 中峰くんへのせめてものお礼として、中峰くんが入学当初からよく見ていたーーゆりちゃんとの仲を取り持たせて貰おうとそう思っていたんですけど……。」


 と、小声ながらも、その真摯な姿勢が伝わるような……あくまでも、そのお礼が俺への恩返しになると信じて疑っていない様子である。

 ーーだからこそ、とても困っているのだ。


「(まあ……そもそも俺が、大橋さんから提案をされた時、変なのっかりをしたのが1番悪いんだよな。
 何というか……憧れの相手に、直輝の言う所のストーキングしていたことを知られていたっていうのが、すごい衝撃的で……思わず、大橋さんを見ていた訳じゃなく、そのお友達である『ゆりちゃん』さんを見ていたっていうその話に、深く考えずにこっちから乗っかっちゃったんだよな……。
 そのせいで、こんなややこしい状況になってるのが……我ながら、優柔不断が過ぎる。)」


 ーーとは言え、そんなきっかけさえ無ければ、憧れの大橋さんとこうして話すことは出来なかったと思うので……一概にこの状況について、最悪な状況であるなどとは口が裂けても言うことが出来ない。

 そのため、俺はこの状況を一体どうしたものかと、頭の中で試行錯誤していたところーー


「ふーん。大橋みたいなな女でも、コイツのは気にするんだ。へぇ……。」

「な、なんですか?そんなの小川さんには関係ないでしょう?私がそういう話を気にしても……。
 そ、それに!別に私が中峰くん(のそういう話)を気にしているとか……そう言ったことではないですから!へ、変な誤解をしないで下さい!」

「なになに?オオハシさん、ナカミネくんのこと気になってんの?ほぇー、なんだか意外だねー。」

「ち、違います!どうしてそういう話になるんですか!?ただ、小川さんがいるとは不都合というだけで……全然そんな話じゃありません!」


 と、全く俺の関与していない所で、大橋さんが盛大に自爆してしまいーーあたかも、大橋さんが俺に『運命の相手』がいることが不都合であるような……そんな、聞いている側が誤解してしまうような発言を、彼女はクラスメイトの面前でしてしまうのだった……。


 そして、この発言をきっかけにーー大橋さんが俺のことを好きで、小川さんが俺の『運命の相手』に選ばれたことを疎ましく思っているという、事実とは全く異なるウワサが生徒の間で囁かれてしまうのだが……何と言うか、たった2日しか経っていないにもかかわらず、俺の日常がガラガラと音を立てて崩壊していくようなーーそんな感覚に陥ってしまうのだった……。


 ーー次話へと続く。ーー
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました

ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。 意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。 しかし返ってきたのは―― 「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。 完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。 その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

処理中です...