彼女と突然別れて落ち込んでいたはずの俺が、次の日から色んな女の子と仲良くなっているのはなぜだ?

リン

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第三十五話 今朝の一件について(短話)

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「ふぅ……。何とか間に合った…のか?急いで帰ってきたしどうにかーーまあでも、まさかあんなタイミングで本鈴のチャイムが鳴るとは夢にも思わなかったけどな……。」


 昼休みの本鈴が鳴り終わった、ちょうどその1・2分後の教室。

 俺は思わぬ屋上での再会の後、三葉先輩達と一緒に屋上を後にし、急いで自身の教室に帰って来たのだ。……時間的にも授業に遅れてしまったと、そう思って。


 しかし、慌てて教室に辿り着いた俺の目に飛び込んで来たのは、普通に楽しそうにお喋りをしている女子達や、ふざけてジャレあっている男子達の姿であった……。

 俺は不思議に思いつつ、近くにいた男子に尋ねようとしてーーあっ!そうだった。


「(あっ……、そういや、5分だけ休み時間延長されてたんだった……。あの時はたったの5分増えた所でとか思ってたけど、今回は素直に助かったと言えるのかもな。)」


 ふと、休み時間がいつもより5分だけ延長されていた事を思い出して……、少しだけ、そして色んな意味でホッとした。


 そして、俺は何だかんだその事に安心してしまい、まだ始まらない授業の準備をして、教科書等を用意しているとーーシュポ!


「ん……?こんなタイミングで誰からのLINEだ?えーっと……、えっ?……雫から?」


 突然、俺のスマホから通知音が聞こえて、確認してみると雫からのLINE通知である。

 いつもなら直ぐにでも確認する雫からの通知も、今朝の一件があった為、その内容を見るのがとても不安だ。

 だが、いつまでも怖がって、メッセージを見ない訳にもいかないので、俺は恐る恐るそのLINEに書かれている内容を確認する。


 すると、書かれていた雫からの文章に一通り目を通して俺は思わず「ぶは!!」と、驚きのあまり過剰な反応をしてしまい、クラスメイトからは変な目で見られてしまう。

 しかし、俺はそれらの視線にも気にならないくらい驚き、そして何だか気恥ずかしい気持ちになっていて……。


「(だって!こんな赤裸々に書いてくるなんて……。色々と反則過ぎるって雫!マジで!こんな、こんなにも嬉し恥ずかしい事を普通にLINEで書いてくるなんて!)」


 俺は自身のスマホを握り締め、だらしなく顔を緩ませた、我ながら気持ちの悪い表情をしていると自分でも何となく理解する。

 なぜなら、雫からのLINEには今朝の出来事についての説明が、赤裸々にその心情を含めて長々と書かれていたのだ。

 ーー雫からのLINEはこんな感じだ。


『今朝の事について、お兄ちゃんにちゃんと話したいと思っていたんだけど、お兄ちゃんが委員会で忙しくなると思うし、LINEここでお兄ちゃんに私の気持ちを伝えておくね?
 まずは…今朝、せっかくの三葉さんとの初めての登校だったのに、私の感情が昂ぶって、突然みんなの前で泣いちゃったのは本当にごめんなさい。
 突然の事で、お兄ちゃんも三葉さんもビックリしたと思うけど……、あの時はあまり突っ込まないでいてくれてありがとう。三葉さんにはお兄ちゃんから『ありがとう。』って伝えておいてくれると助かるかな。』

 それから2トーク目に続いてーー

『それで話は今朝の涙についてだけど……、あの時私が泣いちゃったのは、お兄ちゃんが三葉さんに取られたみたいに感じて、それが悲しかったっていう気持ちは確かに心の中にあったんだけど、それ以上に……、私の居場所がなくなったみたいに、お兄ちゃんにみたいに感じちゃって、それで思わず泣いちゃったんだ。
 でも心配しないで…って、そう言ってもお兄ちゃんはきっと私を心配してくれるから、敢えてそうは言わないけど……、勘違いしないで欲しいのは、それだから私にもっと構って欲しいとかそういう事じゃないんだ。
 ホントに私が願うのは、お兄ちゃんがこれまで通り雫の大切なお兄ちゃんでいてくれる事。それが私のーー私からのお願いなんだ……。』


 と言った感じで、今朝の登校の際に起きた自身の感情の変化について事細かに、そして、少しの寂しさを滲ませながら、雫はLINEにそのように書き記していたのだった……。

 俺はそこまで読んで、今後どうしていくべきかを思い悩みそうになるが……、まだその下の方に、改行を重ねながらもう少しだけ文章が続いていたという事に気が付く。


 なので、その続きを読み進めてみるとーー


『P.Sーー今日のお弁当の。本当は冗談半分というか……、面白半分でハートのお弁当にしてみたんだけど……。
 何て言うか……、私の方が三葉さんよりもお兄ちゃんの事をよく理解してるって言うか、まだ私の方がお兄ちゃんの隣に相応しいって、今の私の中ではそう思ってるから!
 せめてもの、三葉さんへの抵抗として、また私が定期的にお兄ちゃんのお弁当を作る事にするね?あっ!勿論、またハートのお弁当も定期的に作るよ!お兄ちゃん♪それも含めて……、今後は覚悟してね?』


 と、なぜか雫は三葉先輩に対抗する姿勢を見せており、今後も俺のお弁当にハートを定期的に投下していいか(する事)を確認(宣言)してくる。

 自ら俺の弁当を作ると申し出てくれるのは正直嬉しいのだが、あんまり、ハートのお弁当を作られるのは……、色々と困る。


 流石のそれには俺も苦笑気味で、『ま、まあ、とりあえず……、色々とお手柔らかにお願いしたいかな?』と、控えめな文章をLINEで雫に送り返した所ーーシュポ!


『うん!と一緒に、私も三葉さんに張り合えるように頑張るから……、楽しみにしといてね!お兄ちゃん♡』


 などと、何とも不安を覚える文面が、恐らく向こうは授業中にもかかわらず、ほとんど最速と思われる速度で返信されてくる。

 確かに、あっちの授業時間を考えずにいきなりLINEを送ったのは、確実に俺の方が悪かったが……、そんなに早く返信をーーそれも兄のLINEに『♡』を送り付けるのは、色々と兄としては心配になってしまう。


「(雫が俺の事を好いてくれる事は素直に嬉しいんだが、兄としては妹の今後が若干不安になるんだよな……、ブラコン的な意味で。
 今朝みたいな悲しい想いを、今もしていないというのは良かったんだけど……、思いの外天然な和葉ちゃんと一緒に頑張るって文言が普通に怖いんだよな……。主に、心臓に悪い事を突然してきそうで……。)」


 俺は雫からのLINEでそんな不安ととりあえずの安心を同時に味わいながら、5分の延長休みを終えて、次の授業を何とも言えない気持ちで受講するのだった……。
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