異世界に転移したんだけど……、自由に生きてもいいよね?

リン

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謝罪とチート

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2「謝罪とチート」

俺が女神さまに対してアイスの所在を尋ねたところ…アイスのごとく女神さまは凍りついてしまった

俺は立ち上がって女神さまに近づき、おーいと手を目の前でさっさと振る
すると女神様はようやくハッとして、正気を取り戻す

「あっ、す、すいません…
も、もう一度お願い出来ますか?
私、少し疲れてらみたいで…アイスがどこにあるかなんて言葉が聞こえてしまったみたいで…」

女神様は目頭を軽く押さえて、少し苦笑気味に俺に問いかけてくる

ただまあ、何度聞いても俺の答えが変わるわけでは無いんだが…

「だから、アイスですよアイス
俺が死ぬ前持ってたはずのわさびアイス練乳入りはどこにやったんですか?
生まれ変わりとかについては、まあなんとかしてくれそうなんで、先にそれの場所を教えてくださいよ」

死んでしまった事をいつまでも悔やんでも仕方がない
だが、アイスは死んだこととは関係ないはずなのだ

俺はそう言って、何でも答えてくれるという女神さまの言葉を信じて、再び女神さまに問いかける


すると、はじめは何を言っているのか理解出来ないといった表情だったが、だんだん俺の言った言葉を理解し始めたようで

「ばっ!バカにしてるんですか!?
あなたは死んでしまったんですよ?
そんなどうでもいい事よりも、あなたが残して来てしまった奥さんの今後のことを心配したらどうですか!」

と、言って女神様は可愛らしく頬を膨らませ、俺に説教をしてくる

しかし、どうでもいいとはなんだ!あのアイス160円もしたんだぞ!
買ったものを食べずに死んでしまうなんて死んでも死にきれない

というかそんなことよりも…

「奥さんってなんの話だ?
俺には奥さんなんていないぞ?
いるのは、俺をパシリに使う妹ぐらい
のもんだぞ?」

俺はそう言って、女神さまの意味不明な発言を指摘する

俺はこの20年近く生きているが…
彼女がいたことはあるが、結婚なんて勿論していない
まあ、彼女がいたって言っても数える程だし
あんまり長続きしたような記憶もない

俺のその言葉に、女神さまは「えっ?」といった顔をして

「……?……はい?奥さんがいない? 
えっ、えっとあなたはタカナシ カルマさん
ですよね?
20歳の大学生で学生結婚をした…」

そう言って、手元にA5サイズほどのノートのような物を出現させ、手元を確認しながらそう尋ねてくる

タカナシ カルマ?なんだそのキラキラネーム

俺は自分の名前の一文字違いの名前に、自分の名前を棚に上げて心の中で突っ込む

「いや、俺は小鳥遊 空羅(たかなし かるら)って名前だけど?
20歳の大学生で彼女無しの」

と、何でもない風にそう返すと…


女神様は再び凍りついた様子になり
何やら頭の輪に手をかけ、頭部の輪をクルクルと動かして何かをしている

すると数秒たって顔を上げた女神さまは、先程以上に真っ青な顔になってしまっていた

そして、バッと勢いよく頭を下げて…

「大変申し訳ありません!カルラさん!
あなたは今日死ぬはずの方では、本当はありませんでした
私の手違いで死後の世界に招いてしまったようで…本当に申し訳ありませんでした…
なんとお詫びしたらいいのか…」

女神さまは文字通り真っ青な顔をして、そう俺に深々と頭を下げて謝罪してくる

それに真っ青な顔になっているだけでなく…心なしか頭上の輪っかも少し翳っている気がする

流石にその様子に、空気を読めないと言われまくっている俺も可哀想に思えてきた

「まあ、神さまにだってちょっと間違えることぐらいはあるさ
間違えて死んじまったことを悔やむことはもういいからさ…
俺のアイスを出してから、次の世界に送ってくれよ女神さま」

と、軽く女神さまを慰めつつ、自分の要求を改めて伝えたところ


女神様はハッと顔を上げて

「本当に申し訳ないです…カルラさん
あなたの優しさに心から感謝します
お詫びと言ったら何ですけど、次の世界で何か希望などはございませんか?」

何やら女神様によると
手違いのお詫びとして、次の世界でのステータスやらアイテムやら、さらには転生なのか転移なのかというところまで選べるみたいだ

まあわかりやすく言うと、女神さまは俺にチートをくれるみたいだ

「なら俺は……」
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