好感度0になるまで終われません。

チョコパイ

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アポロンの恋

19年間の恋煩い

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「気に入ってくれると嬉しいのだが…」

そう言って夫が差し出したのは深紅のルビーで出来た薔薇のネックレスだ。

心臓がうるさく騒ぎだす。

息子ができてからは一度も夜を共にすることはなかった。

夫の心にはいつも別の女がいたからだ。

「有り難うございます。
大切にします…」

声が震えぬよう少しだけ早口になる。

「フレイヤに言われたんだ…陛下の目は節穴だとね。」

夫が私の肩に手をおく。

『いちばん近くに美しく咲き誇る薔薇を手にしているのに、遠くで咲き誇るカトレアを求めるなんて…』

フレイヤらしい言葉だ。
思わず小さく笑ってしまう。

「一からやり直してみないかい?」

夫の手が優しく肩をなでる。

「皇后も知っていると思うが私はずっと公爵夫人に想いを寄せていた。
だから彼女以外の女性は私には何の意味がなかったんだ。

その事で皇后や息子に長い間、嫌な想いをさせてしまった。

私が今、皇后に対して感じている想いが愛なのかどうなのかはまだわからない。

でも…最近の皇后はとても生き生きとしていて目がはなせない時があるんだ。」

フレイヤの言った事が今ならきちんとわかる。

『陛下の美しさを理解しない男のために、自分の美しさを偽らなくていい』

フレイヤは私にそうはっきりと言ったのだ。

『薔薇はカトレアにはなれないと……』

夫が長年にわたって愛した公爵夫人には私はなれなかった。

夫に愛されようと公爵夫人を真似れば真似るほど夫の気持ちは私から離れていくのに、愚かな私はそれを人のせいにばかりしていた。

フレイヤは約束通り、私の名でオークションを開き、売り上げの一部を孤児院や無料診療所の運営資金に寄付し名実ともに私こそが帝国の母として確かなものに変えてくれた。

「陛下、知っていますか?『恋するのに遅すぎることはないって…』
これもフレイヤの言葉なんですけどね。」

私は夫の顔を見つめ囁く。

「陛下……出会った19年前からお慕いしています。

覚悟しておいてください。

私、かなり美しいみたいなんです。
そのうち陛下の心もがっちりといただきますから...」

驚いた表情を浮かべる夫の頬に唇をよせると

耳元で囁く

「続きは夜にでも……」

19年燻っていた恋が今、動きだした。
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