ロマネスクは突然に*完結*

チョコパイ

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ドナドナ

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領主や村人の話を聞いて
害虫の正体がわかった。

正体は
「かたつむり」だ。

この村では数年に1度
かたつむりが
大量発生するとの事。

私はかたつむり恐ろしさを
知っている。

あいつらは
家庭菜園愛好家の敵だ。

さっそく、
畑へ調査に出たのだが

「!!!」

えっ、これ本当に
かたつむり??
と、疑いたくなる
サイズ感だった。

ソフトボールくらいの
大きなカタツムリが
鈴なりなのだ。

「………」

日本のカタツムリが
可愛く思えた。

こういう時
貧乏子沢山のスキルが
役立つ。

父は無農薬野菜に
こだわった。

そこで父が考えたのが
共存だ。

確か…
まずは手袋をして
かたつむりを捕獲し
大きなお鍋で煮て処分する。

次に畑を取り囲むように
かたつむり用の野菜を植え
その内側にコーヒーかすを
まく。

「しばらくこれで様子を
見てください。」

5日はこちらにいるので
何かあったら連絡下さい。

帰りの馬車の中、
私は侍女に謝罪した。

「もう一つよろしいでしょうか?」

「えぇ、お願いするわ。」

「ちゃんと皇太子様を
見てあげて下さい。
皇太子の公務だけでも
大変なのに、
皇太子妃の公務まで
1人でこなしてるんですよ。
皇太子様を
どうかよろしく
お願いいたします。」

王国へと帰省した時
父に聞かれたのだ。

「公務は辛くはないかい?」
と……。

結局、
私は何も見ていないのだ。
違う。
見て見ぬふりを
しているのだ。

馬車の窓の外に
目をやると

「!!
あれは何?」

「あぁ…奴隷ですね。」

「奴隷?」

数十名にもわたる
首輪をつけた人が
手を拘束されたうえ
ロープに繋がれ
ぞろぞろと歩いている。

あまりの衝撃に
身の毛がよだつ。

「帝国には奴隷がいるの?」

「何をおっしゃってるんですか?
帝国民以外は皆
下級民俗じゃないですか?」

「皇太子妃様の王国は
特別なんですよ。
普通はああやって
貢ぎ物として
贈られてくるんですよ。」

「…何が贈られてくるの?」

「奴隷ですよ。
戦争に負けた国が
帝国に贈ってくるんですよ」

「……そうなんだ。」

やはり
私は何も見えていなかったみたいだ。

頭の中にメロディーが
流れた。

ドナドナドーナドーナ
仔牛をのせて
ドナドナドーナドーナ
荷馬車が揺れる
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