暴力みたいな恋でした(完結)

チョコパイ

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回想~流れのままに 2~

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 翌日、朝の走り込みの後 私はテオに声をかける。
 「昼休み、少し時間もらえる?」
 テオは頷くと
 「談話室を押さえておくよ」
 そう言って私の頭を軽く叩く。
 テオが去った後、シルビアが私を軽く睨みながら
 「私には内緒の話しなのかしら?」とひにくる。
 「まさか、ただこれから婚約する相手だから少し打ち解けようと思ってね」
 私の言葉にシルビアは顔色を青くさせたが
 「そう。やっぱりね…」
 とつぶやいた。

 「じゃあ、行こうか?」
 私に手をさしのべるテオを軽く睨むと私はその手を無視してスタスタと歩き始める。
 貴族の多い学園では家紋同志の付き合いや婚約者との語らいのために、談話室と表する個室がいくつか用意されていて、申告すると借りることが出来る。

 談話室に入ると
 そこにはあらかじめ軽めのランチが用意されていた。
 「サンドイッチでもつまみながら話を聞こうか?」
 テオの言葉に頷くと私は自分の想いを打ち明ける。
 1つは近衛騎士団長になれなくとも卒業試験は受けること。
 そして、私自身テオに対して何の感情もないこと。
 私の言葉にテオは少し考えてから 
 「君はもう少し賢い人だと思ったんだけどね。代々続く騎士団長の座を失ってまで君を守る事を選んだ君の父上の事を少しは考えたことはあるかい?」
「私を守る??」
「この国は今、大きな分岐路にたっているんだ。どちらにしても争いになるだろう。」
社会情勢に疎い私ですら、最近の国の動きがおかしいのはわかっている。
物価の高騰、海外への渡航規制
、傭兵の受け入れ
全てが1つの答えにつながる。
そう帝国からの圧力だ。
我が国は内陸部にあり、四方を高い山々に囲まれている。
それが自然の要塞となり、幾度となく他国の侵略を防いできた。
土地は広大で山々の雪解け水で水源は豊かであり、鉱山や土地を活かした農産物が豊富だ。
帝国からしたら是が非でも欲しい国だろう。
「戦争になったら、騎士見習いとなった君は間違いなく戦争に駆り出されるだろう。後方支援といってもそこは戦場に変わりない。君の父上は伝統や血統より君の安全を選んだんだ。
それに僕にとっても、良い話しだったからね。君を手にすることが出来るのだからね。」

テオの言葉がぐるぐると頭の中を駆け巡る。
父は私のために、この婚約話をしたのか?
だとしたら、何故ちゃんと教えてくれなかったのだろう?
「まぁ、俺への気持ちは追々高めてけばいいから、まずはお互いに歩み寄ろうか?」
そう言ってテオは握手を求める。私の手より大きくて硬くゴツゴツした手が私の手を力強く握りしめる。
私も負けじとテオの手を握りかえす。

そこには何の感情の揺らぎも感じられなかった。
でも1つ言えるとしたら、私はテオの手をすんなりと受け入れられたということだ。
「とりあえず、再来月には婚約式らしいから宜しくな。」
私は静かに頷くしかなかった。




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