11 / 22
回想~流れのままに 2~
しおりを挟む
翌日、朝の走り込みの後 私はテオに声をかける。
「昼休み、少し時間もらえる?」
テオは頷くと
「談話室を押さえておくよ」
そう言って私の頭を軽く叩く。
テオが去った後、シルビアが私を軽く睨みながら
「私には内緒の話しなのかしら?」とひにくる。
「まさか、ただこれから婚約する相手だから少し打ち解けようと思ってね」
私の言葉にシルビアは顔色を青くさせたが
「そう。やっぱりね…」
とつぶやいた。
「じゃあ、行こうか?」
私に手をさしのべるテオを軽く睨むと私はその手を無視してスタスタと歩き始める。
貴族の多い学園では家紋同志の付き合いや婚約者との語らいのために、談話室と表する個室がいくつか用意されていて、申告すると借りることが出来る。
談話室に入ると
そこにはあらかじめ軽めのランチが用意されていた。
「サンドイッチでもつまみながら話を聞こうか?」
テオの言葉に頷くと私は自分の想いを打ち明ける。
1つは近衛騎士団長になれなくとも卒業試験は受けること。
そして、私自身テオに対して何の感情もないこと。
私の言葉にテオは少し考えてから
「君はもう少し賢い人だと思ったんだけどね。代々続く騎士団長の座を失ってまで君を守る事を選んだ君の父上の事を少しは考えたことはあるかい?」
「私を守る??」
「この国は今、大きな分岐路にたっているんだ。どちらにしても争いになるだろう。」
社会情勢に疎い私ですら、最近の国の動きがおかしいのはわかっている。
物価の高騰、海外への渡航規制
、傭兵の受け入れ
全てが1つの答えにつながる。
そう帝国からの圧力だ。
我が国は内陸部にあり、四方を高い山々に囲まれている。
それが自然の要塞となり、幾度となく他国の侵略を防いできた。
土地は広大で山々の雪解け水で水源は豊かであり、鉱山や土地を活かした農産物が豊富だ。
帝国からしたら是が非でも欲しい国だろう。
「戦争になったら、騎士見習いとなった君は間違いなく戦争に駆り出されるだろう。後方支援といってもそこは戦場に変わりない。君の父上は伝統や血統より君の安全を選んだんだ。
それに僕にとっても、良い話しだったからね。君を手にすることが出来るのだからね。」
テオの言葉がぐるぐると頭の中を駆け巡る。
父は私のために、この婚約話をしたのか?
だとしたら、何故ちゃんと教えてくれなかったのだろう?
「まぁ、俺への気持ちは追々高めてけばいいから、まずはお互いに歩み寄ろうか?」
そう言ってテオは握手を求める。私の手より大きくて硬くゴツゴツした手が私の手を力強く握りしめる。
私も負けじとテオの手を握りかえす。
そこには何の感情の揺らぎも感じられなかった。
でも1つ言えるとしたら、私はテオの手をすんなりと受け入れられたということだ。
「とりあえず、再来月には婚約式らしいから宜しくな。」
私は静かに頷くしかなかった。
「昼休み、少し時間もらえる?」
テオは頷くと
「談話室を押さえておくよ」
そう言って私の頭を軽く叩く。
テオが去った後、シルビアが私を軽く睨みながら
「私には内緒の話しなのかしら?」とひにくる。
「まさか、ただこれから婚約する相手だから少し打ち解けようと思ってね」
私の言葉にシルビアは顔色を青くさせたが
「そう。やっぱりね…」
とつぶやいた。
「じゃあ、行こうか?」
私に手をさしのべるテオを軽く睨むと私はその手を無視してスタスタと歩き始める。
貴族の多い学園では家紋同志の付き合いや婚約者との語らいのために、談話室と表する個室がいくつか用意されていて、申告すると借りることが出来る。
談話室に入ると
そこにはあらかじめ軽めのランチが用意されていた。
「サンドイッチでもつまみながら話を聞こうか?」
テオの言葉に頷くと私は自分の想いを打ち明ける。
1つは近衛騎士団長になれなくとも卒業試験は受けること。
そして、私自身テオに対して何の感情もないこと。
私の言葉にテオは少し考えてから
「君はもう少し賢い人だと思ったんだけどね。代々続く騎士団長の座を失ってまで君を守る事を選んだ君の父上の事を少しは考えたことはあるかい?」
「私を守る??」
「この国は今、大きな分岐路にたっているんだ。どちらにしても争いになるだろう。」
社会情勢に疎い私ですら、最近の国の動きがおかしいのはわかっている。
物価の高騰、海外への渡航規制
、傭兵の受け入れ
全てが1つの答えにつながる。
そう帝国からの圧力だ。
我が国は内陸部にあり、四方を高い山々に囲まれている。
それが自然の要塞となり、幾度となく他国の侵略を防いできた。
土地は広大で山々の雪解け水で水源は豊かであり、鉱山や土地を活かした農産物が豊富だ。
帝国からしたら是が非でも欲しい国だろう。
「戦争になったら、騎士見習いとなった君は間違いなく戦争に駆り出されるだろう。後方支援といってもそこは戦場に変わりない。君の父上は伝統や血統より君の安全を選んだんだ。
それに僕にとっても、良い話しだったからね。君を手にすることが出来るのだからね。」
テオの言葉がぐるぐると頭の中を駆け巡る。
父は私のために、この婚約話をしたのか?
だとしたら、何故ちゃんと教えてくれなかったのだろう?
「まぁ、俺への気持ちは追々高めてけばいいから、まずはお互いに歩み寄ろうか?」
そう言ってテオは握手を求める。私の手より大きくて硬くゴツゴツした手が私の手を力強く握りしめる。
私も負けじとテオの手を握りかえす。
そこには何の感情の揺らぎも感じられなかった。
でも1つ言えるとしたら、私はテオの手をすんなりと受け入れられたということだ。
「とりあえず、再来月には婚約式らしいから宜しくな。」
私は静かに頷くしかなかった。
0
あなたにおすすめの小説
上司に恋していいですか?
茜色
恋愛
恋愛に臆病な28歳のOL椎名澪(しいな みお)は、かつて自分をフッた男性が別の女性と結婚するという噂を聞く。ますます自信を失い落ち込んだ日々を送っていた澪は、仕事で大きなミスを犯してしまう。ことの重大さに動揺する澪の窮地を救ってくれたのは、以前から密かに憧れていた課長の成瀬昇吾(なるせ しょうご)だった。
澪より7歳年上の成瀬は、仕事もできてモテるのに何故か未だに独身で謎の多い人物。澪は自分など相手にされないと遠慮しつつ、仕事を通して一緒に過ごすうちに、成瀬に惹かれる想いを抑えられなくなっていく。けれども社内には、成瀬に関する気になる噂があって・・・。
※ R18描写は後半まで出てきません。「ムーンライトノベルズ」様にも投稿しています。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
(R18)灰かぶり姫の公爵夫人の華麗なる変身
青空一夏
恋愛
Hotランキング16位までいった作品です。
レイラは灰色の髪と目の痩せぎすな背ばかり高い少女だった。
13歳になった日に、レイモンド公爵から突然、プロポーズされた。
その理由は奇妙なものだった。
幼い頃に飼っていたシャム猫に似ているから‥‥
レイラは社交界でもばかにされ、不釣り合いだと噂された。
せめて、旦那様に人間としてみてほしい!
レイラは隣国にある寄宿舎付きの貴族学校に留学し、洗練された淑女を目指すのだった。
☆マーク性描写あり、苦手な方はとばしてくださいませ。
あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~【after story】
けいこ
恋愛
あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
のafter storyです。
よろしくお願い致しますm(_ _)m
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる