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暴力みたいな恋でした
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「いつもにも増して美しいな。」
背後から私の腰に手をまわし首筋に口づける。
「おだてても何もないわよ」
テオの髪に指を滑らせる。
「あ~パパとママだけずるい!!」
パタパタと足音をたてて小さな3つの銀色の頭が近づいてくる。
「夜までお預けだな...」
テオが耳元で優しく囁く
2人してその場にしゃがんで手を大きく広げる。
私の腕の中には末っ子のグランが、テオの腕の中には長女のアリスと長男のヴィッツが飛び込んでくる。
テオはあの日の言葉の通り
父に変わって近衛団長になるほどの剣の腕前で、私の心を手に入れた。
決して押しつけるのではなく
気がつけばそこに居る。
かと言って存在がないわけではなく。
ちゃんと私に自分をアピールする。
好きにならないわけがない。
銀色の4つの頭がユラユラと揺れる。
右手にはアリス、左手にはグラン、テオの首にしがみつくヴィッツ………
穏やかな時が流れていく。
先の戦争では勝利を手にしたものの2000人近くの命を失った。
その中には近衛団長として戦い続けた父の名もある。
損傷が激しかった父の遺体はその場で空へと戻された。
父は孫達に会うことは出来なかったが、テオに遺言として孫の名をたくした。
「お父上は案外ロマンチストなんだな。輪廻転生を信じているなんて」
とテオは笑う。
戦後、遺品整理の為、父の執務室の机の引き出しをあける。
そこには父に宛てた母からの手紙が1通だけ入っていた。
「貴方に愛されるまで私は愛を知りませんでした。
今、思えばシルヴィへの愛は
暴力みたいな恋でした。
私に愛を教えてくれて有り難う」
母の恋は悲劇を招いた。
でも母がたち上げた人権保護センターが起点となって、各地に同じようなセンターが作られたのも事実だ。
今では同性愛も認められ、シルビアは後継を生んだあと、夫と別れ同性のパートナーを伴侶として招き入れた。
卒業してから辺境へと帰ったシルビアとは今でも手紙を送りあう仲だ。
継母はパートナーと一緒に今も領地で幸せに暮らしている。時折3つ子にお土産を沢山もって会いにきてくれる。
「自分達には子供がいないから、ついついあまやかしちゃうわ」
彼女達はにこやかに子供達を胸に抱く。
母の形見の四つ葉のクローバのネックレスは今ではアリスの大のお気に入りだ。
おしゃまな娘はいつかパパのお嫁さんになるんだと息巻いている。
ヴィッツとグランは何をするのもいつも一緒だ。
あまりにも引っ付いているので
アリスが焼きもちを焼いて間に入っては大騒ぎになる。
結局は3人一緒になって走り回るから目が離せない。
いつかおばあちゃんになって、母のもとへいったのなら、母に話して聞かせよう。
母の暴力みたいな恋が、この国を少しだけ変えたよと。
完
背後から私の腰に手をまわし首筋に口づける。
「おだてても何もないわよ」
テオの髪に指を滑らせる。
「あ~パパとママだけずるい!!」
パタパタと足音をたてて小さな3つの銀色の頭が近づいてくる。
「夜までお預けだな...」
テオが耳元で優しく囁く
2人してその場にしゃがんで手を大きく広げる。
私の腕の中には末っ子のグランが、テオの腕の中には長女のアリスと長男のヴィッツが飛び込んでくる。
テオはあの日の言葉の通り
父に変わって近衛団長になるほどの剣の腕前で、私の心を手に入れた。
決して押しつけるのではなく
気がつけばそこに居る。
かと言って存在がないわけではなく。
ちゃんと私に自分をアピールする。
好きにならないわけがない。
銀色の4つの頭がユラユラと揺れる。
右手にはアリス、左手にはグラン、テオの首にしがみつくヴィッツ………
穏やかな時が流れていく。
先の戦争では勝利を手にしたものの2000人近くの命を失った。
その中には近衛団長として戦い続けた父の名もある。
損傷が激しかった父の遺体はその場で空へと戻された。
父は孫達に会うことは出来なかったが、テオに遺言として孫の名をたくした。
「お父上は案外ロマンチストなんだな。輪廻転生を信じているなんて」
とテオは笑う。
戦後、遺品整理の為、父の執務室の机の引き出しをあける。
そこには父に宛てた母からの手紙が1通だけ入っていた。
「貴方に愛されるまで私は愛を知りませんでした。
今、思えばシルヴィへの愛は
暴力みたいな恋でした。
私に愛を教えてくれて有り難う」
母の恋は悲劇を招いた。
でも母がたち上げた人権保護センターが起点となって、各地に同じようなセンターが作られたのも事実だ。
今では同性愛も認められ、シルビアは後継を生んだあと、夫と別れ同性のパートナーを伴侶として招き入れた。
卒業してから辺境へと帰ったシルビアとは今でも手紙を送りあう仲だ。
継母はパートナーと一緒に今も領地で幸せに暮らしている。時折3つ子にお土産を沢山もって会いにきてくれる。
「自分達には子供がいないから、ついついあまやかしちゃうわ」
彼女達はにこやかに子供達を胸に抱く。
母の形見の四つ葉のクローバのネックレスは今ではアリスの大のお気に入りだ。
おしゃまな娘はいつかパパのお嫁さんになるんだと息巻いている。
ヴィッツとグランは何をするのもいつも一緒だ。
あまりにも引っ付いているので
アリスが焼きもちを焼いて間に入っては大騒ぎになる。
結局は3人一緒になって走り回るから目が離せない。
いつかおばあちゃんになって、母のもとへいったのなら、母に話して聞かせよう。
母の暴力みたいな恋が、この国を少しだけ変えたよと。
完
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