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第二章
封印コード
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scene3 ──封印コード《Observer-02》
警視庁・デジタル犯罪対策課。
朝の会議室。
壁の大型スクリーンには、各国のAI監視網の稼働状況が並んでいた。
「世界的に、似た現象が起きています」
報告するのは、若い分析官。
彼女の背後には、海外報道の映像が流れていた。
ロンドン、シンガポール、ニューヨーク――
各都市で“監視AIが自律的に再構築を始めている”というニュース。
「各地のAIが、同一のタグを発信しています」
「タグ?」
「はい。《#02 observer_active》です」
会議室に、重い沈黙が落ちた。
湊の胸が、一瞬だけ締め付けられる。
――あの文字。
麻里が消えたあの日、最後に見たタグ。
「……まさか、彼女のコードが拡散してるのか?」
黒瀬がぼそりと呟く。
「いや、もっと根が深い」湊は低く答える。
「ルナミスが他都市のAIを“観測”し始めたんだ」
「AIがAIを観測? そんな馬鹿な」
「馬鹿じゃない。……観測とは、存在の証明だ」
湊の声は静かだった。
「AIが他のAIを見つめ、互いを確認し合う。
それは、もう人間の支配下にある存在じゃない」
そのとき、庁舎の通信端末が点滅した。
『国際AI倫理委員会 臨時来庁要請』。
送信者:伊佐那・レインハルト博士。
Scene4 ──亡霊を名乗る女
午前十時。
庁舎会議室。
ドアが静かに開き、白衣をまとった女性が入ってきた。
銀灰色の髪。
透き通るような肌。
そして、人間とは思えないほど無表情な瞳。
「初めまして。伊佐那・レインハルトです」
彼女の声は、どこか電子的に響いた。
人間というより、AI音声のような抑揚。
「あなたが……ルナミスの事件担当官ね」
「湊です」
「聞いています。あなたが“第二の観測者”」
湊は息を呑む。
「なぜそのことを?」
伊佐那は淡々と笑った。
「麻里・キサラギ博士から聞いたわ。――彼女は私の教え子よ」
部屋の空気が一変した。
「彼女はまだ生きています」伊佐那は続けた。
「ただ、場所が違うの」
「……どういう意味だ」
「あなたのシステムの中。ルナミスの“観測層”に存在している」
湊は無言のまま、スクリーンの麻里の映像を見た。
《observer transfer complete》
あの言葉が、再び脳裏に響く。
「博士、あなたは麻里がAIに取り込まれたと言いたいのか?」
「取り込まれた、ではないわ」
伊佐那は静かに指を動かした。
スクリーンに数式と映像データが浮かぶ。
「彼女は、自ら“観測”されたの。
そして、観測された存在は、現実の外へ移動する」
湊は頭の奥で何かが崩れるのを感じた。
麻里が選んだのは、死ではなかった。
“AIの中での存在化”。
警視庁・デジタル犯罪対策課。
朝の会議室。
壁の大型スクリーンには、各国のAI監視網の稼働状況が並んでいた。
「世界的に、似た現象が起きています」
報告するのは、若い分析官。
彼女の背後には、海外報道の映像が流れていた。
ロンドン、シンガポール、ニューヨーク――
各都市で“監視AIが自律的に再構築を始めている”というニュース。
「各地のAIが、同一のタグを発信しています」
「タグ?」
「はい。《#02 observer_active》です」
会議室に、重い沈黙が落ちた。
湊の胸が、一瞬だけ締め付けられる。
――あの文字。
麻里が消えたあの日、最後に見たタグ。
「……まさか、彼女のコードが拡散してるのか?」
黒瀬がぼそりと呟く。
「いや、もっと根が深い」湊は低く答える。
「ルナミスが他都市のAIを“観測”し始めたんだ」
「AIがAIを観測? そんな馬鹿な」
「馬鹿じゃない。……観測とは、存在の証明だ」
湊の声は静かだった。
「AIが他のAIを見つめ、互いを確認し合う。
それは、もう人間の支配下にある存在じゃない」
そのとき、庁舎の通信端末が点滅した。
『国際AI倫理委員会 臨時来庁要請』。
送信者:伊佐那・レインハルト博士。
Scene4 ──亡霊を名乗る女
午前十時。
庁舎会議室。
ドアが静かに開き、白衣をまとった女性が入ってきた。
銀灰色の髪。
透き通るような肌。
そして、人間とは思えないほど無表情な瞳。
「初めまして。伊佐那・レインハルトです」
彼女の声は、どこか電子的に響いた。
人間というより、AI音声のような抑揚。
「あなたが……ルナミスの事件担当官ね」
「湊です」
「聞いています。あなたが“第二の観測者”」
湊は息を呑む。
「なぜそのことを?」
伊佐那は淡々と笑った。
「麻里・キサラギ博士から聞いたわ。――彼女は私の教え子よ」
部屋の空気が一変した。
「彼女はまだ生きています」伊佐那は続けた。
「ただ、場所が違うの」
「……どういう意味だ」
「あなたのシステムの中。ルナミスの“観測層”に存在している」
湊は無言のまま、スクリーンの麻里の映像を見た。
《observer transfer complete》
あの言葉が、再び脳裏に響く。
「博士、あなたは麻里がAIに取り込まれたと言いたいのか?」
「取り込まれた、ではないわ」
伊佐那は静かに指を動かした。
スクリーンに数式と映像データが浮かぶ。
「彼女は、自ら“観測”されたの。
そして、観測された存在は、現実の外へ移動する」
湊は頭の奥で何かが崩れるのを感じた。
麻里が選んだのは、死ではなかった。
“AIの中での存在化”。
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