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02.兄王子
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再び目覚めた時には、『俺』はとある国の第二王子としての記憶も持っていた。
彼は、六歳にして天才の名を欲しいままにしていたという話だ。
しかし、それが徒になったのか、四つ上の第一王子派の者に毒を盛られた。一時、生死の境を彷徨っていたようだが、こうやって無事目を覚ました。
――とはいうものの、中身は別人。
いや、別世界の人間、とでもいえばいいのだろうか。
生死の境を彷徨っていた半月ほど、『俺』は覚醒しては昏睡し、深い眠りの中で記憶のすり合わせをしていった。
あの「声」からの事前の情報通り、服毒によって第二王子としての個は死に、その体に別世界の魂であった『俺』が入り込んだようだ。
なんとも荒唐無稽だが、それ以外に説明しようがない状況だった。
納得はできなくも、理解するしかなかった。
「今後、二度とお前をこのような目に遭わせることはないと、誓おう」
大分体調も回復した頃、兄である第一王子が見舞いに来た。
本来なら毒殺の首謀者、いや、教唆の大元であるのだが、この身体の元である第二王子は兄を慕っていた。そして、兄もまた弟を可愛がっていたのだ。
第二王子は毒を盛った犯人を憎みこそすれ、そんな状況に追い込まれた兄を心配するような子供だった。
「ご心配には及びません。たまたま――そう、不注意からの慢心のせいです」
兄はぐっと言葉に詰まり、苦しそうに続けた。
「幼いお前にそう言わせざるを得ない状況に追い込んだのは、私も同然だ。王になるものとして、軽々しく頭を下げることも、許しを請うこともできない。だが、お前を大切に思っている。決して死んで欲しいとは思っていたわけではない。それだけは信じて欲しい」
兄もまだ十を過ぎたばかり。
前世では死ぬか生きるかなどと縁遠い生き方をしていたが、この世界の子供はかなり見た目も考え方も大人びている。
これが今の世界。
これから『俺』が生きていかなければいけない世界、なんだ。
この国の王子は二人いた。
四つ違いではあるが、ともに優秀な頭脳に健康な体。
王太子は必ず第一子が継ぐわけでもなかったので、王子たちは双方互いに研鑽し合っていた。どちらが次の王座に就くのかわからない状態だった。
つまり、大人の思惑が絡んだ結果の、第二王子の毒殺騒ぎだった。
第一王子は決して無能ではなかった。
むしろ、十分に優秀だった。
だが、第二王子の方がその上を行く天才だったようだ。
最初はその株を下げまいと気負っていたのだが――どうやら、前世で社会人までしてた『俺』よりも、この六歳児ができすぎた。
「おかしいですなぁ。殿下は地理・歴史全て記憶されてたはずですが……」
「え、我が国以外の他言語をお忘れに?」
「単純な間違いが多いです。計算速度も以前と比べて落ちております」
どれだけできる子供だったんだろう、第二王子は。
望んでこの身体になったわけではない。
しかし、若くして死んでしまった子供の身体を奪った負い目もある。
失ったものを取り戻すべく、必死にくらいついて行った。
彼は、六歳にして天才の名を欲しいままにしていたという話だ。
しかし、それが徒になったのか、四つ上の第一王子派の者に毒を盛られた。一時、生死の境を彷徨っていたようだが、こうやって無事目を覚ました。
――とはいうものの、中身は別人。
いや、別世界の人間、とでもいえばいいのだろうか。
生死の境を彷徨っていた半月ほど、『俺』は覚醒しては昏睡し、深い眠りの中で記憶のすり合わせをしていった。
あの「声」からの事前の情報通り、服毒によって第二王子としての個は死に、その体に別世界の魂であった『俺』が入り込んだようだ。
なんとも荒唐無稽だが、それ以外に説明しようがない状況だった。
納得はできなくも、理解するしかなかった。
「今後、二度とお前をこのような目に遭わせることはないと、誓おう」
大分体調も回復した頃、兄である第一王子が見舞いに来た。
本来なら毒殺の首謀者、いや、教唆の大元であるのだが、この身体の元である第二王子は兄を慕っていた。そして、兄もまた弟を可愛がっていたのだ。
第二王子は毒を盛った犯人を憎みこそすれ、そんな状況に追い込まれた兄を心配するような子供だった。
「ご心配には及びません。たまたま――そう、不注意からの慢心のせいです」
兄はぐっと言葉に詰まり、苦しそうに続けた。
「幼いお前にそう言わせざるを得ない状況に追い込んだのは、私も同然だ。王になるものとして、軽々しく頭を下げることも、許しを請うこともできない。だが、お前を大切に思っている。決して死んで欲しいとは思っていたわけではない。それだけは信じて欲しい」
兄もまだ十を過ぎたばかり。
前世では死ぬか生きるかなどと縁遠い生き方をしていたが、この世界の子供はかなり見た目も考え方も大人びている。
これが今の世界。
これから『俺』が生きていかなければいけない世界、なんだ。
この国の王子は二人いた。
四つ違いではあるが、ともに優秀な頭脳に健康な体。
王太子は必ず第一子が継ぐわけでもなかったので、王子たちは双方互いに研鑽し合っていた。どちらが次の王座に就くのかわからない状態だった。
つまり、大人の思惑が絡んだ結果の、第二王子の毒殺騒ぎだった。
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むしろ、十分に優秀だった。
だが、第二王子の方がその上を行く天才だったようだ。
最初はその株を下げまいと気負っていたのだが――どうやら、前世で社会人までしてた『俺』よりも、この六歳児ができすぎた。
「おかしいですなぁ。殿下は地理・歴史全て記憶されてたはずですが……」
「え、我が国以外の他言語をお忘れに?」
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どれだけできる子供だったんだろう、第二王子は。
望んでこの身体になったわけではない。
しかし、若くして死んでしまった子供の身体を奪った負い目もある。
失ったものを取り戻すべく、必死にくらいついて行った。
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