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誕生日
思惑
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「はぁっ?! 身売り?」
キルロは、驚嘆の声を上げ、激しい憤りを見せた。
一時休業を掲げた【ハルヲンテイム】の食堂。従業員一同とキルロとキノが加わり、ハルの言葉に耳を傾けていく。その言葉に一同は、厳しい顔を隠そうともしなかった。
「許せないわ」
「だよな」
いつもは見せない厳しい顔をモモが見せれば、ラーサも憤りを隠さない。
「でも、身売りって禁止でしょう?」
フィリシアも真剣な表情で、信じられない事実をどう処理すべきか困惑していた。困惑しているのはフィリシアだけではない。憤りと困惑が渦を巻く。ハルの冷静さが、この場の混乱を押し止めていた。
「そう、禁止。表面上はね」
「ハルさん、それはどういう事ですか?」
アウロは不安な表情を見せながら問い掛ける。意味深なハルの言葉を理解すべく、真剣な顔を向けた。
「エレナの父親はこの成人のタイミングを待っていたのよ。成人すると真っ先に何をした? フィリシア、どう?」
「真っ先⋯⋯ギルドへの登録?」
「それと一緒にフィリシアは【カミオトリマー】に所属の届出をしなかった?」
「あ! したした」
ポンと手を打ち、フィリシアが頷く横で怪訝な顔のままのラーサが、首を傾げていく。
「それが何か関係あるの??」
「成人の登録が終わると、自分の“意志”で所属を決める事が出来る。成人の登録を済ませ、その足で歓楽街の店の所属届にサインをしたら⋯⋯それは自分の“意志”でその店に所属した事になる」
厳しい顔を見せていたキルロの顔が更に厳しくなった。
「そんなの後からどうにでもなるんじゃねえのか? 登録を外しちまえばいいだけだ。そもそも、ギルドがそんな事を許さないだろう?! 無理やりだぜ?!」
「ギルドは何も言わない。だって、仕方ないとはいえ、本当に自分の意志で所属をする人もいるわけだからね。そこの見極めというのを、ギルドに求めるのは酷じゃない? きっと、厳しい契約で縛って、抜け出す事を許さない。それは、後からではどうにもならないって事。その厳しい契約を盾にして、逃げ出す事を実質不可能にする。逃げだしたら、それこそ酷い罰則が待っているのは容易に想像がつくでしょう」
押し黙る一同。空気は重く、思考が停滞していく。やるせない気持ち。もどかしさと怒り。暗転してしまう思考。救いの取っ掛かりが、見つからず、晴れない思いばかりが積もっていった。
パン!
ハルは両手を打ち鳴らす。一同を見つめるハルは口端を上げ、不敵な笑みを浮かべて行く。
「みんな手を貸して。キルロも。いい?」
ハルの問い掛けに頷く。その姿に納得の表情を浮かべ、ハルはテーブルに力強く手を置き立ち上がった。
「これより、【ハルヲンテイム】、【スミテマアルバレギオ】合同クエストを開始します。内容はエレナ・イルヴァンの奪還、及びあのクソ親父からの解放!」
一同の表情に力が戻り、口元に笑みを浮かべて行く。沈んでいた空気が一気に軽くなり、一同の瞳にやる気が灯っていった。
「それじゃあ、みんな万事宜しく。早速で悪いんだけど⋯⋯」
ハルの言葉に一同が耳を傾けていく。ハルの言葉がみんなの背を押していった。
重かった空気は払拭され、ハルの言葉にやる気に満ちた瞳を向けていった。
モモが、ラーサが、フィリシアが、ミドラスの街に消えて行った。片手にはハルがしたためた書状を握り締め、目的地へと散って行く。
「キノはここでアウロを守って」
「あいあーい」
真剣な顔で敬礼すると、白虎と戯れ始める。
こっちはこれで大丈夫。
ハルはキルロにひとつ頷いて見せると、ふたりは裏口からミドラスの末端を目指した。
◇◇◇◇
「どうした急に?」
「これ、ハルさんから」
獣人街ではラーサが、少し驚いて見せたマッシュに書状を手渡す。
「あなたは副団長殿のお店の方⋯⋯どうされました?」
「ハルさんからあなたにこれを託されました。こちらをどうぞ」
怪訝な顔を向けるエルフ。モモは柔らかな笑みを浮かべ、ネインにそれを手渡していく。
「おお! 王者さん! ど、どうしたですか??」
「恥ずかしいから、止めて⋯⋯って、今はそれどころじゃないのよ。これ、ハルさんから。エレナが大変なの」
フィリシアの一言に、フェインは穴が開きそうな勢いで書状に目を通して行く。柔和だった表情は厳しさを増して行き、顔を上げると真剣な表情で頷いて見せた。
「大丈夫です。何でもしますよ。出来る事があれば何でも言って下さいです」
力強いフェインの言葉にフィリシアは相好を崩す。
「それじゃあ、早速お願い⋯⋯」
何度も頷きながら、フィリシアの言葉に耳を傾けていった。
ミドラスの末端にふたり。
陰鬱な街にハルは再び足を運んだ。逸る心に後押しされ、地面を踏む足を忙しく動かして行く。
ハルは辺りを見渡し、ボロボロの建物の影にキルロを押し込むと、自身も物陰に隠れて行った。
建物の影からエレナが監禁されている集合住宅をふたりは覗く。
人の気配はまばらで、相変わらず鬱屈としたやる気のない空気がこの一帯を覆っていた。
「どれくらい待つ?」
「そうね。そんなに時間はないし、もう少し待って出て来なかったら突っ込むわよ」
「分かった」
ハルの言葉にキルロはひとつ気持ちを引き締める。
昼時を迎えようかという時間。勝負は日付変更までと考えるとあと半日。
のんびりとはしてはいられないが、焦る時間でもない。
「なぁ、出て来るかな?」
「知らないわよ。でも、昼ご飯を買いに外に出る可能性はあるでしょう?」
「確かに」
「ちょっと! 隠れて」
ハルはキルロを物陰へと押し込み、そっと外を覗いた。
集合住宅の正面玄関から、のそりと現れた汚い男。ハルは目を凝らし、その男の姿を確認していく。エレナとは似ても似つかない、粗暴な風貌。汚い無精ひげが汚らしさを後押しする。
母親似で良かったわね。ハルは心の底で呟いた。
「いた!」
「どれどれ」
ハルの頭越しに男を覗くとすぐに顔引っ込める。
「間違いないんだな?」
「間違いない」
「よし、ちょっと行って来る」
キルロはハルの肩を軽く叩き、飛び出して行った。ハルはしばらく顔を隠し、そっとキルロを覗いていく。
片手を軽く上げて父親を呼び止めると、肩を抱いて何かを話し始めた。顔を背ける父親にしつこく何かを話している。
大見得切って出て行ったけど、本当に大丈夫?
いらぬドキドキに襲われながら、キルロの様子を覗いていった。
ふと、キルロがギルドの方を指を差す。父親は怪訝な表情を浮かべながらも、キルロと共に歩き始めた。
よし、釣れた。
うまくいったみたいね。
ふたりの影が見えなくなるのを確認して、エレナの元へと駆け出して行く。
玄関のドアノブに手を掛けると、あっさりとノブは回った。
不用心で助かるわ。
ハルは急いで扉を押し開いた。
キルロは、驚嘆の声を上げ、激しい憤りを見せた。
一時休業を掲げた【ハルヲンテイム】の食堂。従業員一同とキルロとキノが加わり、ハルの言葉に耳を傾けていく。その言葉に一同は、厳しい顔を隠そうともしなかった。
「許せないわ」
「だよな」
いつもは見せない厳しい顔をモモが見せれば、ラーサも憤りを隠さない。
「でも、身売りって禁止でしょう?」
フィリシアも真剣な表情で、信じられない事実をどう処理すべきか困惑していた。困惑しているのはフィリシアだけではない。憤りと困惑が渦を巻く。ハルの冷静さが、この場の混乱を押し止めていた。
「そう、禁止。表面上はね」
「ハルさん、それはどういう事ですか?」
アウロは不安な表情を見せながら問い掛ける。意味深なハルの言葉を理解すべく、真剣な顔を向けた。
「エレナの父親はこの成人のタイミングを待っていたのよ。成人すると真っ先に何をした? フィリシア、どう?」
「真っ先⋯⋯ギルドへの登録?」
「それと一緒にフィリシアは【カミオトリマー】に所属の届出をしなかった?」
「あ! したした」
ポンと手を打ち、フィリシアが頷く横で怪訝な顔のままのラーサが、首を傾げていく。
「それが何か関係あるの??」
「成人の登録が終わると、自分の“意志”で所属を決める事が出来る。成人の登録を済ませ、その足で歓楽街の店の所属届にサインをしたら⋯⋯それは自分の“意志”でその店に所属した事になる」
厳しい顔を見せていたキルロの顔が更に厳しくなった。
「そんなの後からどうにでもなるんじゃねえのか? 登録を外しちまえばいいだけだ。そもそも、ギルドがそんな事を許さないだろう?! 無理やりだぜ?!」
「ギルドは何も言わない。だって、仕方ないとはいえ、本当に自分の意志で所属をする人もいるわけだからね。そこの見極めというのを、ギルドに求めるのは酷じゃない? きっと、厳しい契約で縛って、抜け出す事を許さない。それは、後からではどうにもならないって事。その厳しい契約を盾にして、逃げ出す事を実質不可能にする。逃げだしたら、それこそ酷い罰則が待っているのは容易に想像がつくでしょう」
押し黙る一同。空気は重く、思考が停滞していく。やるせない気持ち。もどかしさと怒り。暗転してしまう思考。救いの取っ掛かりが、見つからず、晴れない思いばかりが積もっていった。
パン!
ハルは両手を打ち鳴らす。一同を見つめるハルは口端を上げ、不敵な笑みを浮かべて行く。
「みんな手を貸して。キルロも。いい?」
ハルの問い掛けに頷く。その姿に納得の表情を浮かべ、ハルはテーブルに力強く手を置き立ち上がった。
「これより、【ハルヲンテイム】、【スミテマアルバレギオ】合同クエストを開始します。内容はエレナ・イルヴァンの奪還、及びあのクソ親父からの解放!」
一同の表情に力が戻り、口元に笑みを浮かべて行く。沈んでいた空気が一気に軽くなり、一同の瞳にやる気が灯っていった。
「それじゃあ、みんな万事宜しく。早速で悪いんだけど⋯⋯」
ハルの言葉に一同が耳を傾けていく。ハルの言葉がみんなの背を押していった。
重かった空気は払拭され、ハルの言葉にやる気に満ちた瞳を向けていった。
モモが、ラーサが、フィリシアが、ミドラスの街に消えて行った。片手にはハルがしたためた書状を握り締め、目的地へと散って行く。
「キノはここでアウロを守って」
「あいあーい」
真剣な顔で敬礼すると、白虎と戯れ始める。
こっちはこれで大丈夫。
ハルはキルロにひとつ頷いて見せると、ふたりは裏口からミドラスの末端を目指した。
◇◇◇◇
「どうした急に?」
「これ、ハルさんから」
獣人街ではラーサが、少し驚いて見せたマッシュに書状を手渡す。
「あなたは副団長殿のお店の方⋯⋯どうされました?」
「ハルさんからあなたにこれを託されました。こちらをどうぞ」
怪訝な顔を向けるエルフ。モモは柔らかな笑みを浮かべ、ネインにそれを手渡していく。
「おお! 王者さん! ど、どうしたですか??」
「恥ずかしいから、止めて⋯⋯って、今はそれどころじゃないのよ。これ、ハルさんから。エレナが大変なの」
フィリシアの一言に、フェインは穴が開きそうな勢いで書状に目を通して行く。柔和だった表情は厳しさを増して行き、顔を上げると真剣な表情で頷いて見せた。
「大丈夫です。何でもしますよ。出来る事があれば何でも言って下さいです」
力強いフェインの言葉にフィリシアは相好を崩す。
「それじゃあ、早速お願い⋯⋯」
何度も頷きながら、フィリシアの言葉に耳を傾けていった。
ミドラスの末端にふたり。
陰鬱な街にハルは再び足を運んだ。逸る心に後押しされ、地面を踏む足を忙しく動かして行く。
ハルは辺りを見渡し、ボロボロの建物の影にキルロを押し込むと、自身も物陰に隠れて行った。
建物の影からエレナが監禁されている集合住宅をふたりは覗く。
人の気配はまばらで、相変わらず鬱屈としたやる気のない空気がこの一帯を覆っていた。
「どれくらい待つ?」
「そうね。そんなに時間はないし、もう少し待って出て来なかったら突っ込むわよ」
「分かった」
ハルの言葉にキルロはひとつ気持ちを引き締める。
昼時を迎えようかという時間。勝負は日付変更までと考えるとあと半日。
のんびりとはしてはいられないが、焦る時間でもない。
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「知らないわよ。でも、昼ご飯を買いに外に出る可能性はあるでしょう?」
「確かに」
「ちょっと! 隠れて」
ハルはキルロを物陰へと押し込み、そっと外を覗いた。
集合住宅の正面玄関から、のそりと現れた汚い男。ハルは目を凝らし、その男の姿を確認していく。エレナとは似ても似つかない、粗暴な風貌。汚い無精ひげが汚らしさを後押しする。
母親似で良かったわね。ハルは心の底で呟いた。
「いた!」
「どれどれ」
ハルの頭越しに男を覗くとすぐに顔引っ込める。
「間違いないんだな?」
「間違いない」
「よし、ちょっと行って来る」
キルロはハルの肩を軽く叩き、飛び出して行った。ハルはしばらく顔を隠し、そっとキルロを覗いていく。
片手を軽く上げて父親を呼び止めると、肩を抱いて何かを話し始めた。顔を背ける父親にしつこく何かを話している。
大見得切って出て行ったけど、本当に大丈夫?
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ふと、キルロがギルドの方を指を差す。父親は怪訝な表情を浮かべながらも、キルロと共に歩き始めた。
よし、釣れた。
うまくいったみたいね。
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