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猫をかぶった犬のホンネ(side兼嗣)
03
しおりを挟む自覚したのは小学校の高学年のときだった。
最初は勘違いだと思った。
子どものころから知ってるみーちゃんに、そんな劣情を抱くわけがないって。
自分とは正反対な性格のみーちゃんに、男としての憧れを勘違いしてるだけだって、そう何度も自分に言い聞かせた。
だけどそうこうしているうちに、好きになるアニメや漫画のキャラクターは、軒並み言動が激しくて、味方なのにちょっと恐いギャルやヤンキーのような悪役っぽいキャラばかりになっていって。
それがどんどん、年齢を重ねていくごとに拗らせてしまって。
思えば初めての精通も、みーちゃんとのちょっとエッチな夢だった。
当初はそれが疚しくて良くないことなんだろうと、罪悪感からひとりでは抱えきれず、神妙な面持ちで、夢の中でみーちゃんとキスをしてしまった話を、何を思ったか本人にした。
自分が楽になりたいがためにした告白に、案の定彼は言葉もなく目を丸くした。が、次の瞬間には、吹き出して笑い飛ばしたのだ。
“なんだそれ、そんなこと気にするな”って。
言われた途端に、目の前が明るく、晴れ間が見えたような気がした。
それは今思えばお互い小学生の子どもだったし、みーちゃんはいつも明るくてさっぱりした性格だから、単にそこまで深刻に捉えていなかったんだろう。
全然気にしてないあっけらかんとした様子に心底安心して、彼の器の大きさに、優しさに甘えた。
そして距離をとるタイミングを完全に見失って、そのまま中学も高校も同じで。
とくに夢はなかったけど手に職はつけたいと思い、どうせなら、とみーちゃんと同じ工業系の専門学校にまで行ってしまって、今ではすっかり手遅れ。
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