恋のヤンキー闇日記

あらき奏多

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遅かれ早かれ(side美夜飛)

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 突っ張ねたはずの腕は、押し負けて折り畳まれる。

「んぁ……っ、」
 
 今まで、こいつとの体格差なんて意識したことがなかった。
 骨の太さも筋肉量も重量感も、自分と全然違う。ホールドされると見動きがとれない。

 やつの身体にすっぽりと収まり、掌握されてしまいそうな気分が胸くそ悪くて、吐きそう。
 ぎゅっと瞑った目尻に、生理的な涙が滲む。

「っあ゙、ぅあ……っん、ぐ……やめろぉ゙……!」

 絞りだした声が潰れた。
 喉奥が熱く、チリッと焼けつく。

 首を振って何とか無理やり喋ったら、口を開いたのをむしろ好機とばかりに、口内を、歯列を、頬の内側を、追いかけてきた兼嗣の舌が探るように動きまわって。

 くちゅっと聞こえた濡れた音に、おぞましくて泣きたくなる。

「やっ、ぁ……んむ゙っ、」

 舌の裏の剥き出しの粘膜をちろちろと擽られて、嫌悪感に、じゅわりと甘い唾液が溢れる。

 それを音を立てながら啜られ、柔らかな舌同士が擦れる。

 兼嗣の舌は、薄いのに俺よりも大きくて、それが蝶の羽みたいに口の中でひらひらして、口内をいっぱいに満たす。

「んぅっ、あふ……ん」

 上顎の奥の柔らかいところに触れたとき、鼻にかかった変な声が漏れて、かあぁっと恥ずかしくなった。

「ふ……っ、ん、んぅ゙……っ」

 長い長い貪るようなキス。
 兼嗣の、味がする。
 飲み込めず顎に垂れた唾液を舐めあげ、また唇ごと食われる。

 脳髄まで吸われたみたいな感覚に、耳の奥のほうがびりびり痺れた。

 お前の舌が薄くて大きいなんて、そんな情報いらない。
 忌々しい悪寒はぞくぞくとした別の熱い何かに変わりそうで、これ以上は知りたくなくて。

「ん……っふ、んっ、んぅ!」

 さすがにもう我慢できない。
 ねちっこい口付けをやめさせたくて、身をくねらせ、相手のTシャツを掴んだまま胸や肩をドンドンと叩くが、なんのダメージもない。

 苦肉の策で、重なった身体の隙間に、無理やり膝を曲げて滑り込ませる。

 腹に力を入れ、兼嗣の肩口を、渾身の力で蹴りあげた。


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