恋のヤンキー闇日記

あらき奏多

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遅かれ早かれ(side美夜飛)

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 肉体が危機にさらされていると、全身の細胞が、ものすごい勢いで脳に異常事態を警告している。

「みーちゃ……っ!」

「あぅ゙……っ、ゔッ……っ──ッ!」

 ちゃんと、呼吸しなきゃ。刺激が、ダイレクトすぎる。

 本来は麻酔とかいるやつなんじゃないか、これ。
 シラフで感じていい痛みじゃなくねえか。

 身体は必死で逃れようとするのに、足の指が虚しく、がむしゃらにシーツを引っ掻くだけ。

 枕を掴んで上に逃げようと這いずれば、気づいた兼嗣が俺のニの腕を掴んで引きよせる。

「っゔ、んァ、あぁ゙あ……──ッッ!」 

 窮屈な肉壁を内側から食い破るように、ぐ、とさらに奥まで侵食される。

 悲鳴が押し出され、なんの前兆もなく涙がボロボロ溢れた。

「は、あぅ゙……う、ッ落ち、つけ……っ、」

「んぁっ、みーちゃん……!」

「逃げ、ねえ……っからぁ……!」

 本当は逃げたくて逃げたくて仕方がなかった。
 今すぐこいつを突き飛ばして記憶から抹消して、数時間前の自分に戻りたいと思った。

 だけどそれよりこの激痛が地獄だった。
 とにかく早く終わらせたかった。

──それしか、考えていなかった。

「あぁ゙……ッ兼嗣……っ動く、な、頼む……」

 じわりと背中に脂汗が滲む。
 呼吸もままならない中で、上体をよじって兼嗣に手を伸ばす。

 こめかみに生ぬるい涙がつうっと流れた。

 兼嗣は押し進んでいた腰を止めて、伸ばした手を優しく掴む。
 ただの処世術でしかないそれに、宝物に触れる犬みたいに頬を擦り寄せて。

「みーちゃん、かわいい、全部すき……」

「……そうかよ」

「まだ半分くらいだよ……。確かにすごい窮屈だけど、やっぱり痛い?」

「あ、あぁ……、激痛でしかない。俺には無理……っん、んぅッ」

 都合の悪いことは聞きたくない子どもみたいだ。
 俺の言葉を遮って、口付けられる。

 唇の隙間からぬるりと舌が侵入し、柔らかな濡れた粘膜が触れ合う。


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