恋のヤンキー闇日記

あらき奏多

文字の大きさ
52 / 107
遅かれ早かれ(side美夜飛)

38

しおりを挟む



「……ん……み、ちゃん……」

 気だるくいやらしい空気に浸るように、兼嗣が俺に擦りよってくる。

 指先で自分の腹に触れると、サラサラしたローションでも浴びたみたいにぬるついている。
 潤滑剤だったら、まだよかったのに。

 だけどこれは、紛れもなく俺自身が垂れ流したカウパーと精液で。
 気持ちよくなって、感じて漏らした証拠だった。

 自分の意思に反して、淫欲に溺れた身体を目の当たりにし、今になって羞恥心が総動員で襲ってくる。

 何してんだ、俺は。
 しがみついて、喘いで。あれだけ嫌だって、のたまったくせに、口ばっかりで。

「……っ、離れろ、はなせ……っ、触んな!」

 頬に触れた兼嗣の手を弾く。

……恥ずかしかった。自分が。

 とてつもなく浅ましい生き物になったみたいで、そんな俺を、こんな熱のこもった視線で見つめてくるのも耐えられなかった。

「っも、いやだ……、後ろ、抜いて……っ、抜けよぉ……っ!」

 張りついた喉は、悲痛に濁った音をだす。

 こんな中途半端な気持ちのまま、無責任にこんなこと、したくなかった。

 感じたくなんて、なかった。
 兼嗣を、受け入れられてしまった。
 壊れるのなんて簡単だった。
 おれが、無力だったばっかりに。
 たったひとりの幼なじみを、親友を失った。
 
 色んな感情がせめぎ合い、まだナカに入ったままのをはやく抜いてほしくて、腕で口許を覆ったまま顔を背ける。

 隠微に濡れそぼった、情事の痕跡丸出しの、真っ赤に汗ばんだ肉体を直視できない。

 自分で引き抜くなんてことも、恐ろしくてできそうにない。

 動いたらいくらでも熱くなる気がして、そんな自分が信じられなくて、怖かった。

「……みーちゃん、おれ……」



「──……っはあー、最悪っ! 充電器忘れるとかほんっとツイてないよなー!」

「!!!」


…………は?!

 自分たちの声しかないはずの空間に、唐突に入り口のドアが開く振動と、聞き覚えのある声が盛大に響いた。

 びくぅっ!とふたり同時に身体が張りつめる。


──声の主は、兼嗣と同室の、花岡だ。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...