97 / 107
犬を飼うということは、(side美夜飛)
04
しおりを挟むちょっと苛立って、つい語気を強めた。
泣いてる俺にちんこ勃たせてたのが、心からショックだった。
さっきのも、そうだ。
自分をオナホとしか見ていない証拠だと思った。
やめてって言ってるのにやめてくれないのも、悲しかった。
やられた行為そのものよりも、自分の意思を全く尊重してくれなかったことのほうが、つらかった。
「……逆になんで、あんなこと白状したの。罰してほしかったのか、誰かに」
「……」
「廣瀬にも、花岡も、お前の身勝手で嫌な役回りさせんなよ。そういうところがムカつくんだよ、俺は」
「……ごめん」
「……お前さあ、喋るオナホでもほしかったの」
「っそんなわけない! そんなっ、そんな恐ろしいこと考えたことないよっ」
「いや、でも実際そうだったろ。あんとき、俺はお前のテンガだったんだよ。さっきのことだって、お前はそんなつもりなくても、俺がそう思ったんだからそうなんだよ」
無感情のまま冷ややかに言えば、兼嗣は青ざめた表情でわなわなと震える唇を横に引き締める。
……だからなんでお前が、そんな悲しい顔をするんだよ。
いつも、そうだ。昔から。
俺は本当のことしか言わないのに、それを言うと誰かが傷つく。
いやな目に遭いたくないから鎧をまとうのに、鎧をまとうと標的になる。
なのに世間一般では正直に生きろとか嘘はつくなとか言う。本当に意味が分からない。そんな器用なこと、どうやればいいんだ。
弱い自分がいやだ。
傷つきたくないから強くなったのに、強くなったら、傷つける。
守りたいはずの他人も、自分さえ。
「俺のことなんかどうでもよかったんだろ?」
「……」
「そういうの、考えたことなかった? 俺の気持ち。俺がお前のこと嫌になって、目の前からいなくなるって」
「……ごめ、ん」
「カラダだけ先に奪って、食い散らかして、ご馳走さまもなしか。ぜんぶ自己完結で、俺自身はずっと置いてきぼりなんか」
「……本当に自分のことしか、頭になかったんだね」
……ああ、そうだ。本当にな。
俺だって結構怒ってる。でも怒るだけじゃだめだ。
殴ったり、傷つけたり、罵ったりするのは簡単なんだ。
身体の横でぎゅっと拳を握った。手のひらに爪が食い込む。
落ち着け、俺。
感情的になるな。
大きく息を吸って、密かに吐いた。
5
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる