230 / 509
第五章
第二百二十九話 狐の説得と魔王の勅命
しおりを挟む
キュウは主人のことを凄いと思っていた。それこそこの世で最も信仰されている女神マリアステラよりも、主人は絶対に凄いのだと信じていた。キュウの考えは欠片も間違っていない。
それを証明するかのように、女神マリアステラが何もできずに逃げるしかなかった竜神ディアナ・ルナーリスも主人の前に下されようとしていた。
この世の終わりかと思える数のドラゴンを、主人は箒で埃を払うかのように消し去る。それだけに留まらず、第二の太陽を産み出したかと思ったら、その光はドラゴンたちの生存を許さなかった。主人はこのまま巨大な白竜となった竜神ディアナ・ルナーリスを制圧するだろう。
最強。これがキュウの主人の力だ。女神マリアステラも、大国カリオンドル皇国の兵たちも、ラナリアとアーサーでも、どうしようもなかった竜神ディアナ・ルナーリスを圧倒する。
「………え?」
主人に抱き寄せられ、腕と尻尾を主人に擦り付けていたキュウは、己の思考の異常を感じ取る。
女神マリアステラが竜神ディアナ・ルナーリスを前に逃走を選択したのは、キュウも一緒に影隼に乗っていたので知っている。カリオンドル皇国の兵たちが戦ったのは想像に難くない。
しかしキュウの思考にラナリアとアーサーが出て来るのは、おかしい。
キュウは知らないはずだ。キュウが到着する寸前、ラナリアとアーサーが虐殺を始めようとした白竜を首都から移動させ、この無人の空まで引き寄せたことを。ましてそのお陰で、カリオンドル皇国の首都は最低限の犠牲で済んだことなんて知るはずがなかった。
その方法は竜神ディアナ・ルナーリスの中にある第二皇女ルナーリスへ語り掛け、その意識によって白竜の肉体の制御を奪うという作戦だったことなど、【拠点】で主人の部屋の掃除をしようとしていたキュウが知っているはずがない。
「【座標移動】か、そのチートにも穴がある。VRMMOにも使われるVR空間の仕様として、移動先に物体があると移動できなくなる。つまりお前くらいの巨体だと、簡単に転移先を絞れる。気が付かなかったか? 俺が小さなアイテムを空中にバラ巻き続けていたことを」
キュウの意識は現実に引き戻された。
竜神ディアナ・ルナーリスが瞬間移動をして、天烏の眼前に現れたのだ。それに対して、主人は欠片も焦っていなかった。キュウの耳はむしろ、主人の余裕を聞き取っている。
そんな主人の元にいるキュウは、このまま主人がキュウの進言を聞いて竜神ディアナ・ルナーリスを制圧するのを待つ。主人と出会ったばかりの頃であれば、それだけで主人の役に立てたのだと思い、奴隷としての役割を果たせたと安堵した。しかし今は違う。
キュウが主人の役に立ちたいのは奴隷だからではない。主人を心より慕っているからである。
そう思ったら、キュウは大声をあげていた。
「ルナーリスさん! ご主人様の奴隷になってください!」
「………………………キュウ?」
主人が驚いてキュウを振り返った。
同じように瞬間移動で主人やキュウを攻撃しようとしていた竜神ディアナ・ルナーリスも動きを止め、キュウを見つめていた。
◇
無限湧きモンスターへの対処、チーターへの罠、すべてが上手くいっていた。最悪、失敗しても天烏にキュウを安全地帯へ運ばせれば、フォルティシモ的には勝ったも同然だったので成功率は高いと思っていた。
罠に嵌まった竜神ディアナ・ルナーリスは【座標移動】で、フォルティシモの予測通りの場所へ現れる。
プレイヤーだろうがチーターだろうが、容赦なく抹殺するための場所へ。
キュウの進言によって竜神ディアナ・ルナーリスは制圧に留めるつもりだった。しかし、それはなかなかに難しい。異世界ファーアースはゲームではないので、どこまでやったら制圧になるのか分からない。ひとまずは全力で攻撃して生きていたら説得でもしてみようと思っていた。
失敗するかも知れないが、その時はキュウに謝って、最強の力はまだまだ足りないからキュウの協力が必要だとか言おうと思う。上手く説き伏せる自信はまったくないけれど、キュウなら分かってくれるはずだ。
「ルナーリスさん! ご主人様の奴隷になってください!」
「………………………キュウ?」
そんなフォルティシモの考えを見透かしたかのように、キュウが声をあげた。そしてその内容は、フォルティシモさえも意味が分からずに首を傾げてしまう。
フォルティシモはキュウが叫んだ内容に驚いて、思わずキュウを見つめた。キュウは至極真面目な表情で、竜神ディアナ・ルナーリスに語り掛けている。
「あなたの願いは、ご主人様の奴隷になれば叶います!」
そうは思えないんだが、と誰よりもフォルティシモが口を挟みたい。しかしキュウの真剣な表情を見れば口を挟む気にはなれなかった。
ただ言えることは、竜神ディアナ・ルナーリスが攻撃を止めたという事実だ。
「あなたのことはラナリアさんから聞きました! この大陸でまだ十人もいない地位になれば、見返せます! あなたが頑張れば頑張っただけ、評価されます! ご主人様の下であれば、皇族なんかって笑い飛ばせます! 私たちと一緒に行きましょう! このままカリオンドル皇国で暴れるよりも、ずっと、ずっと、あなたの復讐になるはずです!」
竜神ディアナ・ルナーリスは攻撃だけではなく、動きそのものを止めて首を動かしてキュウを見つめている。キュウの言葉は間違いなく第二皇女ルナーリスへ届いているのだ。
キュウを褒めちぎろうとして、キュウが顔を青くしたのが分かった。続く言葉はフォルティシモも聞き取れる。
『邪魔を、するなっ………私はあの御方の復讐をする!』
キュウは戸惑ったようだが、言葉を告げるのを止めなかった。
「あなたはディアナさんでしたが、ディアナ皇妃ではありません! ルナーリスさんの復讐は、それでは達成されません!」
キュウの叫びに竜神ディアナ・ルナーリスは狼狽えたのか、大きな目玉を忙しなく動かした。
「今の自分が余りにも辛いから、初代皇妃と同一視してしまうのは仕方ありません! 私も家族に奴隷として売られたから、少しだけ分かります! 自分は役立たずなんかじゃないって証明したい! 私もです! だって私は王后でも何でもありません! 奴隷なんです! 何の役にも立たない、捨てられたのが私です!」
何故かフォルティシモの心にクリティカルのダメージが入った気がする。胸を抑えて、帰ったら今日の夕食はキュウの好きな物を用意して貰おうと思う。あと何かキュウにプレゼントを買おうと決めた。
『キュウ陛下が奴隷? 人を、奴隷に、するなんて、あの御方の目指した理想は、やはり砕かれた。キュウ陛下の言葉は、本当? この国を興されたのは人の権利を守り平等を目指して、私は子供の頃から感銘を受けて。でもそれは本で読んだだけで、本当の皇族は誰も、アクロシアよりも、私を奴隷どころか人とも思ってなくて。こんな世界だからあの御方が、元の世界へ帰ってしまったのも、全部、全部っ』
「この胸の痛みは黄金竜のブレスを受けた時並に―――元の世界に帰っただと? それはマリアステラが帰したのか?」
『マリアステラぁぁぁ! あああああああああ!』
竜神ディアナ・ルナーリスの激昂に反応する。しかし先ほどまでのように、執拗にフォルティシモへ向かってくる様子はない。戸惑い混乱しているような印象を受ける。
「………キュウの言う通りだ。キュウはいつも俺のために進言をしてくれる。こいつは、殺さずに情報を引き出す必要があると、今理解した。あと、キュウって宝石とかドレスとか欲しいと思ったりするか?」
「はい。きっとご主人様に必要な情報を持っています。………えっと、宝石とかドレスは、別に。つうさんが作ってくれる服がすごく素敵なので、嬉しいなって言うのは思いますけど」
「もう一つ、確認なんだが」
フォルティシモは“ディアナ”の名前は珍しく覚えている。カリオンドル皇国の大使館が襲撃された日、アルティマを傷付けたデーモンの女武者を捜し回っていた時に助けた竜人族の少女だ。そして覚えている理由は、彼女が偽キュウの情報を提供してくれたからである。
そしてフォルティシモはキャロルの要望を聞いて、ディアナを課金アイテムのアバター変更を使用して虎人族の姿へ変えた。
「キュウ、あの時鍵盤商会にいた虎人族のディアナが、第二皇女なのか?」
「はい。間違いありません。声が全く同じです」
キュウはフォルティシモの目を見て、揺らぐことのない自信を以て頷いた。キュウの声紋照合はDNA鑑定を超えているのではなかろうか。
「あの竜人族は第二皇女ルナーリスだったのか。会った時と【隠蔽】を使う時にちゃんと【解析】も使ったんだが」
フォルティシモは竜人族の少女ディアナと出会った晩と鍵盤商会で再会した時、【解析】を使って彼女の情報を得ている。その時に情報ウィンドウに表示された名前はディアナだった。一緒にいたキャロルも使ったはずなので、間違いないはずだ。
説得に成功しそうなキュウには申し訳ないが。
「しかし、まあ、だったら、この戦いは終わりだ」
「ご主人様?」
フォルティシモはただ馬鹿みたいに大勢にスキル設定を配ったり、貴重な課金アイテムで姿を変えてやったりしていた訳ではない。フォルティシモがそんな善人であるはずがなかった。
スキル設定や課金アイテムアバター変更を使うには、一瞬だけでもフォルティシモの従者になる必要がある。この異世界ファーアースにおいて従者とは【隷従】を受けることを意味する。
その瞬間に、トロイの木馬を仕掛けている。
個人の従者は人数の限界があり、だからこそエルフ王ヴォーダンはネズミ講という戦術で大勢を奴隷にすることに成功した。
フォルティシモは、その先を行く。
スキルの発動は時限式にすることが可能だ。これはトラップ系のスキルからすれば当然の事柄で、ある条件を満たした時に発動するスキル設定は作成できる。
だからフォルティシモは、フォルティシモが作ったスキルを習得するためのスペルスクロールを使ったり、アバター変更を貰ったり、一度でも【隷従】が必要な事柄を受けた相手に対して、条件が達成された時に発動するスキルを仕掛けていた。
「遅延起動《デスペルタドール》【隷従】、命令する、戦いを止めて大人しくしろ」
それは魔王の勅命だ。
それを証明するかのように、女神マリアステラが何もできずに逃げるしかなかった竜神ディアナ・ルナーリスも主人の前に下されようとしていた。
この世の終わりかと思える数のドラゴンを、主人は箒で埃を払うかのように消し去る。それだけに留まらず、第二の太陽を産み出したかと思ったら、その光はドラゴンたちの生存を許さなかった。主人はこのまま巨大な白竜となった竜神ディアナ・ルナーリスを制圧するだろう。
最強。これがキュウの主人の力だ。女神マリアステラも、大国カリオンドル皇国の兵たちも、ラナリアとアーサーでも、どうしようもなかった竜神ディアナ・ルナーリスを圧倒する。
「………え?」
主人に抱き寄せられ、腕と尻尾を主人に擦り付けていたキュウは、己の思考の異常を感じ取る。
女神マリアステラが竜神ディアナ・ルナーリスを前に逃走を選択したのは、キュウも一緒に影隼に乗っていたので知っている。カリオンドル皇国の兵たちが戦ったのは想像に難くない。
しかしキュウの思考にラナリアとアーサーが出て来るのは、おかしい。
キュウは知らないはずだ。キュウが到着する寸前、ラナリアとアーサーが虐殺を始めようとした白竜を首都から移動させ、この無人の空まで引き寄せたことを。ましてそのお陰で、カリオンドル皇国の首都は最低限の犠牲で済んだことなんて知るはずがなかった。
その方法は竜神ディアナ・ルナーリスの中にある第二皇女ルナーリスへ語り掛け、その意識によって白竜の肉体の制御を奪うという作戦だったことなど、【拠点】で主人の部屋の掃除をしようとしていたキュウが知っているはずがない。
「【座標移動】か、そのチートにも穴がある。VRMMOにも使われるVR空間の仕様として、移動先に物体があると移動できなくなる。つまりお前くらいの巨体だと、簡単に転移先を絞れる。気が付かなかったか? 俺が小さなアイテムを空中にバラ巻き続けていたことを」
キュウの意識は現実に引き戻された。
竜神ディアナ・ルナーリスが瞬間移動をして、天烏の眼前に現れたのだ。それに対して、主人は欠片も焦っていなかった。キュウの耳はむしろ、主人の余裕を聞き取っている。
そんな主人の元にいるキュウは、このまま主人がキュウの進言を聞いて竜神ディアナ・ルナーリスを制圧するのを待つ。主人と出会ったばかりの頃であれば、それだけで主人の役に立てたのだと思い、奴隷としての役割を果たせたと安堵した。しかし今は違う。
キュウが主人の役に立ちたいのは奴隷だからではない。主人を心より慕っているからである。
そう思ったら、キュウは大声をあげていた。
「ルナーリスさん! ご主人様の奴隷になってください!」
「………………………キュウ?」
主人が驚いてキュウを振り返った。
同じように瞬間移動で主人やキュウを攻撃しようとしていた竜神ディアナ・ルナーリスも動きを止め、キュウを見つめていた。
◇
無限湧きモンスターへの対処、チーターへの罠、すべてが上手くいっていた。最悪、失敗しても天烏にキュウを安全地帯へ運ばせれば、フォルティシモ的には勝ったも同然だったので成功率は高いと思っていた。
罠に嵌まった竜神ディアナ・ルナーリスは【座標移動】で、フォルティシモの予測通りの場所へ現れる。
プレイヤーだろうがチーターだろうが、容赦なく抹殺するための場所へ。
キュウの進言によって竜神ディアナ・ルナーリスは制圧に留めるつもりだった。しかし、それはなかなかに難しい。異世界ファーアースはゲームではないので、どこまでやったら制圧になるのか分からない。ひとまずは全力で攻撃して生きていたら説得でもしてみようと思っていた。
失敗するかも知れないが、その時はキュウに謝って、最強の力はまだまだ足りないからキュウの協力が必要だとか言おうと思う。上手く説き伏せる自信はまったくないけれど、キュウなら分かってくれるはずだ。
「ルナーリスさん! ご主人様の奴隷になってください!」
「………………………キュウ?」
そんなフォルティシモの考えを見透かしたかのように、キュウが声をあげた。そしてその内容は、フォルティシモさえも意味が分からずに首を傾げてしまう。
フォルティシモはキュウが叫んだ内容に驚いて、思わずキュウを見つめた。キュウは至極真面目な表情で、竜神ディアナ・ルナーリスに語り掛けている。
「あなたの願いは、ご主人様の奴隷になれば叶います!」
そうは思えないんだが、と誰よりもフォルティシモが口を挟みたい。しかしキュウの真剣な表情を見れば口を挟む気にはなれなかった。
ただ言えることは、竜神ディアナ・ルナーリスが攻撃を止めたという事実だ。
「あなたのことはラナリアさんから聞きました! この大陸でまだ十人もいない地位になれば、見返せます! あなたが頑張れば頑張っただけ、評価されます! ご主人様の下であれば、皇族なんかって笑い飛ばせます! 私たちと一緒に行きましょう! このままカリオンドル皇国で暴れるよりも、ずっと、ずっと、あなたの復讐になるはずです!」
竜神ディアナ・ルナーリスは攻撃だけではなく、動きそのものを止めて首を動かしてキュウを見つめている。キュウの言葉は間違いなく第二皇女ルナーリスへ届いているのだ。
キュウを褒めちぎろうとして、キュウが顔を青くしたのが分かった。続く言葉はフォルティシモも聞き取れる。
『邪魔を、するなっ………私はあの御方の復讐をする!』
キュウは戸惑ったようだが、言葉を告げるのを止めなかった。
「あなたはディアナさんでしたが、ディアナ皇妃ではありません! ルナーリスさんの復讐は、それでは達成されません!」
キュウの叫びに竜神ディアナ・ルナーリスは狼狽えたのか、大きな目玉を忙しなく動かした。
「今の自分が余りにも辛いから、初代皇妃と同一視してしまうのは仕方ありません! 私も家族に奴隷として売られたから、少しだけ分かります! 自分は役立たずなんかじゃないって証明したい! 私もです! だって私は王后でも何でもありません! 奴隷なんです! 何の役にも立たない、捨てられたのが私です!」
何故かフォルティシモの心にクリティカルのダメージが入った気がする。胸を抑えて、帰ったら今日の夕食はキュウの好きな物を用意して貰おうと思う。あと何かキュウにプレゼントを買おうと決めた。
『キュウ陛下が奴隷? 人を、奴隷に、するなんて、あの御方の目指した理想は、やはり砕かれた。キュウ陛下の言葉は、本当? この国を興されたのは人の権利を守り平等を目指して、私は子供の頃から感銘を受けて。でもそれは本で読んだだけで、本当の皇族は誰も、アクロシアよりも、私を奴隷どころか人とも思ってなくて。こんな世界だからあの御方が、元の世界へ帰ってしまったのも、全部、全部っ』
「この胸の痛みは黄金竜のブレスを受けた時並に―――元の世界に帰っただと? それはマリアステラが帰したのか?」
『マリアステラぁぁぁ! あああああああああ!』
竜神ディアナ・ルナーリスの激昂に反応する。しかし先ほどまでのように、執拗にフォルティシモへ向かってくる様子はない。戸惑い混乱しているような印象を受ける。
「………キュウの言う通りだ。キュウはいつも俺のために進言をしてくれる。こいつは、殺さずに情報を引き出す必要があると、今理解した。あと、キュウって宝石とかドレスとか欲しいと思ったりするか?」
「はい。きっとご主人様に必要な情報を持っています。………えっと、宝石とかドレスは、別に。つうさんが作ってくれる服がすごく素敵なので、嬉しいなって言うのは思いますけど」
「もう一つ、確認なんだが」
フォルティシモは“ディアナ”の名前は珍しく覚えている。カリオンドル皇国の大使館が襲撃された日、アルティマを傷付けたデーモンの女武者を捜し回っていた時に助けた竜人族の少女だ。そして覚えている理由は、彼女が偽キュウの情報を提供してくれたからである。
そしてフォルティシモはキャロルの要望を聞いて、ディアナを課金アイテムのアバター変更を使用して虎人族の姿へ変えた。
「キュウ、あの時鍵盤商会にいた虎人族のディアナが、第二皇女なのか?」
「はい。間違いありません。声が全く同じです」
キュウはフォルティシモの目を見て、揺らぐことのない自信を以て頷いた。キュウの声紋照合はDNA鑑定を超えているのではなかろうか。
「あの竜人族は第二皇女ルナーリスだったのか。会った時と【隠蔽】を使う時にちゃんと【解析】も使ったんだが」
フォルティシモは竜人族の少女ディアナと出会った晩と鍵盤商会で再会した時、【解析】を使って彼女の情報を得ている。その時に情報ウィンドウに表示された名前はディアナだった。一緒にいたキャロルも使ったはずなので、間違いないはずだ。
説得に成功しそうなキュウには申し訳ないが。
「しかし、まあ、だったら、この戦いは終わりだ」
「ご主人様?」
フォルティシモはただ馬鹿みたいに大勢にスキル設定を配ったり、貴重な課金アイテムで姿を変えてやったりしていた訳ではない。フォルティシモがそんな善人であるはずがなかった。
スキル設定や課金アイテムアバター変更を使うには、一瞬だけでもフォルティシモの従者になる必要がある。この異世界ファーアースにおいて従者とは【隷従】を受けることを意味する。
その瞬間に、トロイの木馬を仕掛けている。
個人の従者は人数の限界があり、だからこそエルフ王ヴォーダンはネズミ講という戦術で大勢を奴隷にすることに成功した。
フォルティシモは、その先を行く。
スキルの発動は時限式にすることが可能だ。これはトラップ系のスキルからすれば当然の事柄で、ある条件を満たした時に発動するスキル設定は作成できる。
だからフォルティシモは、フォルティシモが作ったスキルを習得するためのスペルスクロールを使ったり、アバター変更を貰ったり、一度でも【隷従】が必要な事柄を受けた相手に対して、条件が達成された時に発動するスキルを仕掛けていた。
「遅延起動《デスペルタドール》【隷従】、命令する、戦いを止めて大人しくしろ」
それは魔王の勅命だ。
0
あなたにおすすめの小説
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる