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第六章
第二百五十三話 モフモフの誘惑
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フォルティシモはニコラスがカリオンドル皇城で主催したパーティーに出席していた。フォルティシモの随伴はわざわざ別ルートから外交大使として入国したエンシェント一人だけ。
このパーティーは昼間に行われた歓迎式典とは違い、格式ばった固いものではない。豪華なシャンデリアがいくつも設置され、踊る者たちを照らすダンスホール。フォルティシモにはそれらを見渡せる最高の席が用意され、ソファに座るフォルティシモとエンシェントの目の前で代わる代わるダンスが披露される。
見目麗しい亜人族の、それはもう良い毛並みの者たちが踊る。猫人族、犬人族、栗鼠人族、獅子人族、狼人族、狸人族、熊人族、兎人族、長尾驢族などなど。
ここが天国、ヴァルハラ、エデン、高天原か。
「これは凄いな。ファーアースオンラインでも実装されるべきだ」
フォルティシモはそれはもう楽しんでいた。
「主くらいしか見ないだろう」
「俺が維持できる分を課金してみせる」
「本当にやりかねないな」
フォルティシモがリアルワールドでは有り得ない、素晴らしいモフモフのダンスを堪能していると、ニコラスが近寄ってきた。
「お気に召して頂けて光栄でございます。お楽しみになりたい娘がおりましたか? すぐにお呼び致しましょう」
ニコラスの笑顔の裏に何かがあるのは分かっているが、ここで欲望を全開にして、彼女たちの尻尾の触り比べをしたいと言うべきか迷った。
フォルティシモは己の思考が正常でないと思うが、これから祖父に関する嫌なことがあるはずだ。ならば今の内に楽しんでおくべきだとも思う。
「キュウに告げ口するぞ」
フォルティシモが欲望に負けそうになっていると、エンシェントから冷や水を浴びせかけられた。キュウはルナーリス主催の夜会兼食事会に参加している。あちらはピアノ、セフェール、アルティマ、キャロル、エルミアに大勢のエルフたちと戦力は万全だ。
「エンシェント様。最高の価値は他のものを知るからこそ、より実感できるものでありましょう。この者たちは天空の王后キュウ陛下の引き立て役になることを自ら望んでおります。フォルティシモ陛下、彼女たちは我が国の誇るものでありますが、比して王后陛下が素晴らしかったと、どうぞご活用ください」
カリオンドル皇国の最高の踊り子たちの尻尾を楽しんだが、やはりキュウが最高だと言って仲を深めて欲しい、という意味だ。なるほど、そう言われると彼女たちを一人残らず楽しむのは、キュウが最高であるという証明に等しいのではないだろうか。
「主、文化の違いをきちんと理解しないと、キュウを悲しませることになるからな。これから主がやろうとしていることを、キュウに話せるか?」
キュウはキュウ以外の尻尾をモフモフして楽しんでも、文句は言わないはずだ。いつものように「ご主人様の望むことが私の望むことです」と言ってくれる。
けれども想像の中のキュウは、なんだか寂しそうな顔をしていた。
蜂人族のニコラス、恐ろしい男だった。フォルティシモの胸を締め付け、想像の上とは言えキュウにこんな顔をさせるとは。
複数の種族の尻尾をモフモフして楽しむことは諦めた。名残惜しいのはたしかだけれど、部屋に帰ったらその分キュウの尻尾を楽しませて貰う。それなら何の憂いもなく、思う存分心の底から楽しめる。
キュウのせいで諦めたのだから、キュウに責任を取って貰わなければならない。その後もフォルティシモの飲み物を取り替えにくるモフモフの誘惑に耐えながら、それでもなかなか楽しめたパーティーを過ごした。
「フォルティシモ陛下!」
モフモフたちのダンスパーティを楽しんだフォルティシモが、大勢の兵士や侍女を伴ってカリオンドル皇城の廊下を歩いていると、着飾った獅子人族の第一皇女―――名前は忘れた―――が現れた。
さすがの兵士や侍女たちも自国の第一皇女を制止する訳にはいかないようで、彼女は一直線にフォルティシモへ向かってやって来た。
「コーデリア皇女殿下、フォルティシモ陛下は旅の疲れをお癒やしになられますので、謁見は後日に―――」
一国の王である天空の国フォルテピアノのフォルティシモを待ち伏せし、許可も得ずに一方的に話し掛けるなど、アクロシア大陸の常識では有り得ない無礼だろう。
フォルティシモはその程度の無礼を気にもしないが、フォルティシモが獅子人族と懇意にしたなんて言われたら困る。さっきのダンスに獅子人族が居たけれど。
「ルナーリスのことが終わってからにしろ。そしたら話を聞いてやる」
「本当ですか!? 最高のお茶をご用意してお待ちしております! お好きなお茶菓子はございますか!? ああ、この格好はいかがでしょう!? 少しでも好みを教えて頂ければ、当日は望まれるがままに整えさせて頂きます!」
どうせ獅子人族の第一皇女コーデリアが、竜人族の第二皇女ルナーリスを押し退けてカリオンドル皇国の皇位に就きたいとか言われるのだと思っていた。だからルナーリスが戴冠するまでは、どんな話も聞くつもりはないと拒絶したつもりだ。
そう思っていたのだけれど、何だか予想と違う反応だった。
周囲の反応を確認すると、兵士や侍女たちだけではなく、ニコラスまで唖然とした表情をしている。
「菓子は、あまり甘くないのが好きだ。というか、そもそも俺はお茶よりコーヒー派だ」
「最高のコーヒーを準備させて頂きますね!」
第一皇女コーデリアは何故か満面の笑みで答え、深々とお辞儀をして去って行った。
「エン、何だったんだ?」
「信じられないことに、この主を見ても幻滅しない人間がまだいたようだ」
◇
皇族である獅子人族たちが住む宮殿では、一人の青年を中心にした話し合いが行われていた。
「第一皇子! もはや一刻の猶予もありませぬ! 皇位を継ぐべきなのは皇子であるべきです!」
「まったく許されません。“女皇”などと、偉大なる初代皇帝陛下の椅子を汚すだけでしょう」
「あまつさえ、神聖なる墓所へ他国の者を入れるなどと、気でも違ったのか竜の忌み子め」
それは話し合いと言うべきではなかった。獅子人族や獅子人族に近い者たちが第二皇女ルナーリスを罵倒し、彼女への恨み言を吐くための場となっていた。
ここに集まっているのは第一皇子の勢力である。彼らは第一皇子こそが、最も次期皇帝に相応しいと信じて疑わない。
疑いたくないとも言い換えられる。第二皇女ルナーリスが女皇に就けば、これまでの持っていた権力が確実に落ちてしまう。否、それだけであれば、ここまで反対はしなかった。長い歴史の中、獅子人族と竜人族は代わる代わる皇帝を排出してきたので、どちらかの権力が落ちることもある。
問題はルナーリスである点だ。彼らは第一皇子の勢力であると同時に、先代皇帝の側にも立っていた。ルナーリスを出来損ないだと言い放題に言っていたし、積極的にあれの母親は不貞を働いたのだと噂を流した。
そして決定的に、彼らは第二皇女ルナーリスの暗殺に忍部隊が使われることを知っていた。それどころか、ルナーリスや虫型の大使たちのスケジュールをリークし、大使館襲撃を促したのは他ならない彼らだった。
第二皇女ルナーリスが女皇となれば、いくらでも彼らを粛正する理由がある。
「しかし天空の王フォルティシモ陛下は、我ら獅子からの会談を断っていると言うぞ」
「あの蜂がそう言っているだけであろう? 蠅にも劣る糞虫め」
「騒ぐな」
第一皇子である獅子人族の青年は、まったく焦ることなく臣下たちを見回した。その様子にある者は安堵を覚え、ある者は危機感を持ってくれと口にする。
「我は既に手を打っている」
「おお、さすが第一皇子。やはり皇帝に相応しいのは、あなた様以外におりません」
「しかし、それはどのような策なのでしょうか? 失礼ながら、天空の国が後援する第二皇女を切り崩すのは………」
第一皇子は穏やかな笑みを浮かべた。
「妹ルナーリスの戴冠を祝えば良い」
「は、はあ。その後は?」
「それだけだ」
「それだけ、とは?」
「そこまでしか命を受けていないのでな」
第一皇子の瞳は濁っており、表情もどこか虚ろだ。数カ月前までの我こそが次の皇帝に相応しいという態度が一欠片も残っていなかった。
カリオンドル皇国の次代の皇族たちは、数ヶ月前に行方不明になり、父である先代皇帝に酷い拷問を受けていたと言う。戻って来た皇族たちはほとんどが正気を失っており、第一皇子はこの調子、第一皇女は敵国の王に熱を上げ、酷い者は遠くの国へ逃げてしまった。
彼らの動物的本能は、第一皇子という大船に穴が空いてしまったのではないか、そんな危機を感じ取らせていた。
コンコンと部屋の扉がノックされる。
「入ってくれ」
誰でも無い第一皇子が入室を許可したため、誰も文句は言えない。だが現れた人物を見て、第一皇子に背いてでもドアを閉め切っておくべきだったと考えた。
「ご機嫌よう、皆様。お久しぶりですね。自己紹介は不要でしょうが、ラナリア・フォン・デア・プファルツ・アクロシアです」
アクロシア王国の王女ラナリア。祖国を天空の国へ捧げて地位を得た売国奴。かつて獅子人族と揉め事を起こしたため、二度とカリオンドル皇国の土を踏むなと宣告した女が、獅子人族の宮殿に入ってきていた。
彼らはラナリアを見て、隠さない苛立ちの表情を浮かべる。しかし反対に、ラナリアは余裕の表情だった。
「私は限界まで踊らせたところでひっくり返すのも好きなのですが、フォルティシモ様が好まれないようなので、踊る前に終わって貰います」
アクロシア王国の王女ラナリアの言葉はこれ以上ないほどに明確で、彼らの陰謀と野望は始まる前に終わりを迎える。
アクロシア王国の王女ラナリアはその様子を見届けた後、板状の魔法道具を使い、フォルティシモやエンシェントへ報告を入れた。万事恙なく。
なお、同じ頃フォルティシモが亜人族たちのモフモフを楽しんでいたと知った時、さすがのラナリアも拗ねたくなったのはまた別の話。
このパーティーは昼間に行われた歓迎式典とは違い、格式ばった固いものではない。豪華なシャンデリアがいくつも設置され、踊る者たちを照らすダンスホール。フォルティシモにはそれらを見渡せる最高の席が用意され、ソファに座るフォルティシモとエンシェントの目の前で代わる代わるダンスが披露される。
見目麗しい亜人族の、それはもう良い毛並みの者たちが踊る。猫人族、犬人族、栗鼠人族、獅子人族、狼人族、狸人族、熊人族、兎人族、長尾驢族などなど。
ここが天国、ヴァルハラ、エデン、高天原か。
「これは凄いな。ファーアースオンラインでも実装されるべきだ」
フォルティシモはそれはもう楽しんでいた。
「主くらいしか見ないだろう」
「俺が維持できる分を課金してみせる」
「本当にやりかねないな」
フォルティシモがリアルワールドでは有り得ない、素晴らしいモフモフのダンスを堪能していると、ニコラスが近寄ってきた。
「お気に召して頂けて光栄でございます。お楽しみになりたい娘がおりましたか? すぐにお呼び致しましょう」
ニコラスの笑顔の裏に何かがあるのは分かっているが、ここで欲望を全開にして、彼女たちの尻尾の触り比べをしたいと言うべきか迷った。
フォルティシモは己の思考が正常でないと思うが、これから祖父に関する嫌なことがあるはずだ。ならば今の内に楽しんでおくべきだとも思う。
「キュウに告げ口するぞ」
フォルティシモが欲望に負けそうになっていると、エンシェントから冷や水を浴びせかけられた。キュウはルナーリス主催の夜会兼食事会に参加している。あちらはピアノ、セフェール、アルティマ、キャロル、エルミアに大勢のエルフたちと戦力は万全だ。
「エンシェント様。最高の価値は他のものを知るからこそ、より実感できるものでありましょう。この者たちは天空の王后キュウ陛下の引き立て役になることを自ら望んでおります。フォルティシモ陛下、彼女たちは我が国の誇るものでありますが、比して王后陛下が素晴らしかったと、どうぞご活用ください」
カリオンドル皇国の最高の踊り子たちの尻尾を楽しんだが、やはりキュウが最高だと言って仲を深めて欲しい、という意味だ。なるほど、そう言われると彼女たちを一人残らず楽しむのは、キュウが最高であるという証明に等しいのではないだろうか。
「主、文化の違いをきちんと理解しないと、キュウを悲しませることになるからな。これから主がやろうとしていることを、キュウに話せるか?」
キュウはキュウ以外の尻尾をモフモフして楽しんでも、文句は言わないはずだ。いつものように「ご主人様の望むことが私の望むことです」と言ってくれる。
けれども想像の中のキュウは、なんだか寂しそうな顔をしていた。
蜂人族のニコラス、恐ろしい男だった。フォルティシモの胸を締め付け、想像の上とは言えキュウにこんな顔をさせるとは。
複数の種族の尻尾をモフモフして楽しむことは諦めた。名残惜しいのはたしかだけれど、部屋に帰ったらその分キュウの尻尾を楽しませて貰う。それなら何の憂いもなく、思う存分心の底から楽しめる。
キュウのせいで諦めたのだから、キュウに責任を取って貰わなければならない。その後もフォルティシモの飲み物を取り替えにくるモフモフの誘惑に耐えながら、それでもなかなか楽しめたパーティーを過ごした。
「フォルティシモ陛下!」
モフモフたちのダンスパーティを楽しんだフォルティシモが、大勢の兵士や侍女を伴ってカリオンドル皇城の廊下を歩いていると、着飾った獅子人族の第一皇女―――名前は忘れた―――が現れた。
さすがの兵士や侍女たちも自国の第一皇女を制止する訳にはいかないようで、彼女は一直線にフォルティシモへ向かってやって来た。
「コーデリア皇女殿下、フォルティシモ陛下は旅の疲れをお癒やしになられますので、謁見は後日に―――」
一国の王である天空の国フォルテピアノのフォルティシモを待ち伏せし、許可も得ずに一方的に話し掛けるなど、アクロシア大陸の常識では有り得ない無礼だろう。
フォルティシモはその程度の無礼を気にもしないが、フォルティシモが獅子人族と懇意にしたなんて言われたら困る。さっきのダンスに獅子人族が居たけれど。
「ルナーリスのことが終わってからにしろ。そしたら話を聞いてやる」
「本当ですか!? 最高のお茶をご用意してお待ちしております! お好きなお茶菓子はございますか!? ああ、この格好はいかがでしょう!? 少しでも好みを教えて頂ければ、当日は望まれるがままに整えさせて頂きます!」
どうせ獅子人族の第一皇女コーデリアが、竜人族の第二皇女ルナーリスを押し退けてカリオンドル皇国の皇位に就きたいとか言われるのだと思っていた。だからルナーリスが戴冠するまでは、どんな話も聞くつもりはないと拒絶したつもりだ。
そう思っていたのだけれど、何だか予想と違う反応だった。
周囲の反応を確認すると、兵士や侍女たちだけではなく、ニコラスまで唖然とした表情をしている。
「菓子は、あまり甘くないのが好きだ。というか、そもそも俺はお茶よりコーヒー派だ」
「最高のコーヒーを準備させて頂きますね!」
第一皇女コーデリアは何故か満面の笑みで答え、深々とお辞儀をして去って行った。
「エン、何だったんだ?」
「信じられないことに、この主を見ても幻滅しない人間がまだいたようだ」
◇
皇族である獅子人族たちが住む宮殿では、一人の青年を中心にした話し合いが行われていた。
「第一皇子! もはや一刻の猶予もありませぬ! 皇位を継ぐべきなのは皇子であるべきです!」
「まったく許されません。“女皇”などと、偉大なる初代皇帝陛下の椅子を汚すだけでしょう」
「あまつさえ、神聖なる墓所へ他国の者を入れるなどと、気でも違ったのか竜の忌み子め」
それは話し合いと言うべきではなかった。獅子人族や獅子人族に近い者たちが第二皇女ルナーリスを罵倒し、彼女への恨み言を吐くための場となっていた。
ここに集まっているのは第一皇子の勢力である。彼らは第一皇子こそが、最も次期皇帝に相応しいと信じて疑わない。
疑いたくないとも言い換えられる。第二皇女ルナーリスが女皇に就けば、これまでの持っていた権力が確実に落ちてしまう。否、それだけであれば、ここまで反対はしなかった。長い歴史の中、獅子人族と竜人族は代わる代わる皇帝を排出してきたので、どちらかの権力が落ちることもある。
問題はルナーリスである点だ。彼らは第一皇子の勢力であると同時に、先代皇帝の側にも立っていた。ルナーリスを出来損ないだと言い放題に言っていたし、積極的にあれの母親は不貞を働いたのだと噂を流した。
そして決定的に、彼らは第二皇女ルナーリスの暗殺に忍部隊が使われることを知っていた。それどころか、ルナーリスや虫型の大使たちのスケジュールをリークし、大使館襲撃を促したのは他ならない彼らだった。
第二皇女ルナーリスが女皇となれば、いくらでも彼らを粛正する理由がある。
「しかし天空の王フォルティシモ陛下は、我ら獅子からの会談を断っていると言うぞ」
「あの蜂がそう言っているだけであろう? 蠅にも劣る糞虫め」
「騒ぐな」
第一皇子である獅子人族の青年は、まったく焦ることなく臣下たちを見回した。その様子にある者は安堵を覚え、ある者は危機感を持ってくれと口にする。
「我は既に手を打っている」
「おお、さすが第一皇子。やはり皇帝に相応しいのは、あなた様以外におりません」
「しかし、それはどのような策なのでしょうか? 失礼ながら、天空の国が後援する第二皇女を切り崩すのは………」
第一皇子は穏やかな笑みを浮かべた。
「妹ルナーリスの戴冠を祝えば良い」
「は、はあ。その後は?」
「それだけだ」
「それだけ、とは?」
「そこまでしか命を受けていないのでな」
第一皇子の瞳は濁っており、表情もどこか虚ろだ。数カ月前までの我こそが次の皇帝に相応しいという態度が一欠片も残っていなかった。
カリオンドル皇国の次代の皇族たちは、数ヶ月前に行方不明になり、父である先代皇帝に酷い拷問を受けていたと言う。戻って来た皇族たちはほとんどが正気を失っており、第一皇子はこの調子、第一皇女は敵国の王に熱を上げ、酷い者は遠くの国へ逃げてしまった。
彼らの動物的本能は、第一皇子という大船に穴が空いてしまったのではないか、そんな危機を感じ取らせていた。
コンコンと部屋の扉がノックされる。
「入ってくれ」
誰でも無い第一皇子が入室を許可したため、誰も文句は言えない。だが現れた人物を見て、第一皇子に背いてでもドアを閉め切っておくべきだったと考えた。
「ご機嫌よう、皆様。お久しぶりですね。自己紹介は不要でしょうが、ラナリア・フォン・デア・プファルツ・アクロシアです」
アクロシア王国の王女ラナリア。祖国を天空の国へ捧げて地位を得た売国奴。かつて獅子人族と揉め事を起こしたため、二度とカリオンドル皇国の土を踏むなと宣告した女が、獅子人族の宮殿に入ってきていた。
彼らはラナリアを見て、隠さない苛立ちの表情を浮かべる。しかし反対に、ラナリアは余裕の表情だった。
「私は限界まで踊らせたところでひっくり返すのも好きなのですが、フォルティシモ様が好まれないようなので、踊る前に終わって貰います」
アクロシア王国の王女ラナリアの言葉はこれ以上ないほどに明確で、彼らの陰謀と野望は始まる前に終わりを迎える。
アクロシア王国の王女ラナリアはその様子を見届けた後、板状の魔法道具を使い、フォルティシモやエンシェントへ報告を入れた。万事恙なく。
なお、同じ頃フォルティシモが亜人族たちのモフモフを楽しんでいたと知った時、さすがのラナリアも拗ねたくなったのはまた別の話。
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