上 下
42 / 49
本編

奴隷じゃなくても

しおりを挟む
 紫狼にそのまま覆い被さって挿入された。
 確かにさっきまで紫狼と繋がっていたからスムーズに入ったし、体はまだ熱い。
 媚薬が少し残っているのだろうか。すごく感じる。

「あ、あっ、しろうっ……! あんっ……待ってっ……てば……!」

 三人が来るって知っててこんな事するんだから!

「オレ兎和に夢中だもぉん。今は兎和が気持ちいい事が重要。他の事なんて知らなぁい」

 何度も腰を振られるたびに快感に震える。
 気持ちいい所をこすられると驚くほどすぐにイキそうになる。
 気持ち良過ぎて何も考えられなくなってきた……。

「しろうっ……! イキそうっ! あんっ! ふぁっ、ああっ!」
「イッていいよ……!」

 と、ガラリとドアを開けて入ってきた三人。
 イキそうな時に来ないでーっ!

「あはっ。三人共お帰りぃ」
「紫狼! 兎和に触れるなよ!」
「おかえりじゃねぇ! 何やってんだ!」
「挿れてますよ! なんて人でしょう!」
「あっ! やだっ……! あんっ、あっ!」

 三人がベッドに近付いてくる。
 今は出てって欲しい!

「紫狼の邪魔しちゃダメだよ」
「紫狼と兎和は相思相愛です。二人の営み、すごいです」

 羊助と鷲也がベッドの前で三人を通せんぼする。
 二人もいたのね……。

 さっきまで紫狼にガツガツ攻められていたのに、急にユルユルと動かれた。
 イキそうだったのに中途半端だ。
 体を寄せてきた紫狼に、抱きついてジッと見つめる。

「兎和ぁ、三人が止めようとするけど、どうするぅ? 終わりにするぅ?」

 わかっているのに俺に言わせるのか……。
 ニコニコしながら焦らされたままだ。
 もう耐えられない!

「しろうっ……イカせて!」

 ピタリと止まった三人。
 そんなまじまじと見ないで欲しい……。
 俺は快感に弱くなった……。

「あんな風に言われた事ない!」
「あんなによがって悔し過ぎる!」
「私ともしましょう!」
「あはっ。わかるよねぇ? 兎和は、オレのものでもあるのぉ。兎和、イカせてあげるからね!」

 また強く腰を振られれば、絶頂に導かれていく。

「しろうっ……イクッ! あっ、ああっ……ンンああぁぁッ──!」

 紫狼は、俺がイッたと同時に濃厚なディープキスをしてくる。
 その舌の感触も気持ちよくて、夢中で貪った。
 もうどうにでもなれ……。

「兎和が可愛すぎる……」
「紫狼のやつがそんなにいいのか……」
「紫狼を認めるの……嫌ですねぇ」

 紫狼は嬉しそうに笑った。

「オレの事も認めれば、お前らにいい事教えてあげてもいいよぉ」

 紫狼は話しながらも止まる事なく俺の気持ちいい所を攻め続ける。
 やばい……気持ちいい……!
 体はもうすっかり快感を覚えてしまった。

「兎和が認めているなら仕方ないだろ……」
「紫狼のやつ、いつの間に兎和と仲良くなったんだ」
「不本意ですが、仕方ありませんね」
「「「で、いい事って何?」」」

 いい事が聞きたいわけね……。

「鷲也と羊助、教えてあげてぇ。オレ、兎和もっとイカせたいからぁ」

 紫狼は、こっちに集中するようだ。
 こちらを見下ろす紫狼は嬉しそうにキスしてくる。
 紫狼の動きでまたイキそう……!

「あのね、兎和がやられそうだった時、三人の名前呼んでたらしいよ」
「ええ。必死で叫んでいたそうです」
「あっ、ふっ、それ……言わないでっ……!」

 そんな事を言われるとは思っていなかった。
 俺の方が集中できない!

 三人は、驚いて目を見開いた。

「それって……僕達にベタ惚れって事⁉︎」
「あっ! ち、違うっ!」

 ベタ惚れって事はないと思う!

「俺達にやられたいんだ!」
「あんっ! あっ……違うってばっ!」

 やられたいなんて思ってない!
 今現在紫狼にやられてるけれど!

「私達の事を呼んだなんて、兎和ったら仕方のない人ですね!」
「もうっ……話、聞いてっ! ぅんっ、はっ……!」

 嬉しそうにする三人にこれからの事が不安になる。

「オレの名前も呼んでたんだぁ」
「ああっ! あ、あんっ! しろうっ……!」

 余計な事言ってないで動くのもうやめて!

「こうやって名前呼ばれるのも最高……」
「はぁっ! ああっ……! もう……ムリィィ──!」

 紫狼の腰の動きが気持ち良すぎてまたイッた……。
 心も体もキャパオーバーだ……。
 
 俺は奴隷じゃなくなったはずなのに、なんでこんな事になっているんだ⁉︎

     ◆◇◆

 紫狼に気持ち良くされて、やっと紫狼が射精した後はもうぐったりだ。
 4人はベッドから動けない俺を覗き込んでくる。

「兎和は紫狼も好きなのか?」
「え……?」

 紫狼もって俺……好きだって言ったっけ?
 獅貴の質問に返答に困る。
 紫狼を見つめればニコニコとする。

「あはっ。さっきの見ればみんな納得だよねぇ」

 紫狼のやつ……その為にみんなの前でやったな……。
 参ったなぁ……。

「俺らの名前呼ぶほど好きなんだろ?」

 う……俺は血迷っていた……。
 でも、他の人に触られた時は気持ち悪かった。
 そうなると、俺は……こいつらが好きって事なのか?

「す、好きかどうかは……よくわからない……でも……お前らに触れられるのは嫌じゃない……」

 これは正直な気持ちだ。

「4人の中で誰が一番好きなんですか?」

 誰が一番って……うーん……。

「一番を決めたら他の人は諦めてくれるのか?」

 だったら無理にでも一番決める。

「いいえ。諦めるなんてとんでもないですよ。一番になるまで攻め続けます」

 穂鷹の言葉に青ざめる。
 攻めるってどういう意味なんだろう……。
 他の奴らも頷きながら、同じ目をしていた。

「お、お前らに……順番なんて付けられない……」

 一番のやつには好き勝手やられて、二番以下には酷い目に遭わされるのが目に見えた。
 怖くて順番なんて付けられない。

 4人は目を合わせてから、全員が捨てられた獣みたいな瞳でウルウルと見つめてくる。

「兎和は奴隷じゃなくなった。それでも僕と一緒にいてよ……」
「俺は兎和ともっと色々な所行きたい……」
「私は兎和の後をついて離れませんよ……」
「兎和ぁ。オレ兎和がいないとダメェ……」

「「「「だから、そばに居させて」」」」

 う……。
 なんだ……この良心を揺さぶる感じ……。
 俺って……押しに弱いんだな……今更そんな事を実感する。

「………………いいよ」

 4人の顔がパッと笑顔になった。
 俺は奴隷じゃなくても、結局こいつらに弱いらしい。

「オレ、ここに引っ越してこよぉーっと」
「それなら、僕と鷲也もね」
「はい。私達を忘れないで下さい」
「もちろぉん。三人一緒でねぇ」

 すると、獅貴達の態度が一変する。

「勝手に何言ってんだよ」
「そんなの許すわけねぇじゃん」
「馬鹿も休み休み言え、ですね」

 この先不安しかない……。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

異世界ライフは山あり谷あり

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:667pt お気に入り:1,554

いつから魔力がないと錯覚していた!?

BL / 連載中 24h.ポイント:16,344pt お気に入り:10,454

片思いの相手に偽装彼女を頼まれまして

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:12

鉱夫剣を持つ 〜ツルハシ振ってたら人類最強の肉体を手に入れていた〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,002pt お気に入り:160

聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,100pt お気に入り:845

その美人、執着系攻めにつき。

BL / 連載中 24h.ポイント:255pt お気に入り:113

悪役令息にならなかったので、僕は兄様と幸せになりました!

BL / 連載中 24h.ポイント:2,302pt お気に入り:2,592

処理中です...