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第三章
見つかってたまるか テアロ視点
客のふりをしてジュドが店にやってきた。
ミオは、奥で仕事中だ。
カウンターで話を聞く。
「テアロ様、レイジェルが来ます」
「わかった」
店の奥へ引っ込む。
「ミオ、知り合いの客が来てるんだが、頼まれたコサージュが見つからない。俺の部屋かもしれないから先に行って探しておいてくれないか?」
「いいよ」
二階に上がったミオを確認する。
カウンターにジュドを入れて、俺は奥の仕事場で待機だ。
そこにやってきたレイジェルにジュドが対応する。
「少し質問いいですか?」
「はい」
「他に従業員は?」
「従業員はいません。見ての通り狭い店ですので──」
そんなやり取りが聞こえてくる。
ジュドも上手くやってくれている。
「何か仕立てますか?」
「いいえ。また来ます」
レイジェルが店を出たのを確認して、カウンターに戻る。
これで暫くは、ここには来ないだろう。
あいつなら俺だとわかると思っていた。
それほど問題はない。
「とっとと国に帰りゃいいのに」
「あと数日ですよ。その間にミオ様と仲良くして下さい」
ニコニコするジュドを見つめる。
任務で女を口説く事はあっても、本気の相手を口説いた事はない。
正直、俺は恋愛初心者だ。
ミオは初恋で、そこからずっと俺はミオだけを見てきた。
好きだと言って意識してもらったばかりで、この先をどうしたらいいのかわからない。
変態なジュドでも少しは参考にはなるかもしれない。
「お前って……好きな相手にどうやって好きになってもらうんだ?」
ジュドの時間が一瞬止まったけれど、すぐにニコニコし出す。
「まさかテアロ様からそんな相談を受けるとは思いもしませんでした」
なんかムカつくな……。
「私でしたら、催眠術を使いますね。その間に既成事実を──」
「聞いた俺がバカだった……」
俺は血迷ったらしい。
ジュドがまともな事を言うはずはなかった。
ミオに催眠術なんて──効きそうだな……その辺のやつらに掛けられそうで少し心配になった。
「仲良くったってなぁ……」
何をするべきかわからない。
「喜ぶことをしてあげたらいいと思います」
「そうだよな」
それが一番いいかもしれない。
◆◇◆
次の日、ミオの為に夕飯の買い出しに来ていた。
今日は、ミオの好きな物を作って点数稼ぎだ。アスラーゼの野菜が入ったシチューを頬張って食べている時なんて可愛くて仕方ない。ミオが喜ぶ事を考えたら美味しいものを作ってやろうと思った。
「おばちゃん、りんごも頂戴」
露天のおばちゃんに声を掛ける。
「ミオにかい?」
「ああ。果物大好物だからな。うさぎにしたら喜ぶ」
これもミオの喜ぶ事だ。
「相変わらず仲良しだね。ミオはどうしたんだい?」
「あいつは暫く留守番。ほら、この前言っただろ? この辺で俺やミオを捜している人がきたら、知らないって言っといてくれよ」
「わかってるよ。みんなお前達の味方だからね。服を気に入ったからって、無理矢理連れてかれて働かされるんじゃ可哀想だ」
レイは俺たちを無理矢理連れて行く偉い人って設定だ。近所の人は、俺たちの事を喋ったりしないだろう。
レイを欺いているとはいえ、安心はできない。
とんだ人攫いだ。ミオをレイに攫われてたまるか。
ミオが迷いなんかなくなるくらい俺を好きになるといいのに……。
「これ、テアロにおまけだよ」
りんごを一個余分にもらった。
「やったね。ありがと」
「またおいで」
この辺の人たちは本当に馬鹿みたいにお人好しだ。
それがとても心地良い。俺はここの生活を気に入っている。
ここでミオと一緒に普通の生活をしていたい──。
買い物が終わって店に戻ってきた。
そこで、カウンターの上に置いてある手紙を発見する。
『花を摘みに森へ行ってきます』
それを読んで気が気じゃなくなる。
「あのバカ!」
あれほどミオに外に出るなと言ったのに!
すぐに連れ戻さないといけない。
レイは今どこだ!?
あいつより先に見つけなければいけない。
荷物をカウンターに置いたまま森へ向かって走り出した。
ミオは、奥で仕事中だ。
カウンターで話を聞く。
「テアロ様、レイジェルが来ます」
「わかった」
店の奥へ引っ込む。
「ミオ、知り合いの客が来てるんだが、頼まれたコサージュが見つからない。俺の部屋かもしれないから先に行って探しておいてくれないか?」
「いいよ」
二階に上がったミオを確認する。
カウンターにジュドを入れて、俺は奥の仕事場で待機だ。
そこにやってきたレイジェルにジュドが対応する。
「少し質問いいですか?」
「はい」
「他に従業員は?」
「従業員はいません。見ての通り狭い店ですので──」
そんなやり取りが聞こえてくる。
ジュドも上手くやってくれている。
「何か仕立てますか?」
「いいえ。また来ます」
レイジェルが店を出たのを確認して、カウンターに戻る。
これで暫くは、ここには来ないだろう。
あいつなら俺だとわかると思っていた。
それほど問題はない。
「とっとと国に帰りゃいいのに」
「あと数日ですよ。その間にミオ様と仲良くして下さい」
ニコニコするジュドを見つめる。
任務で女を口説く事はあっても、本気の相手を口説いた事はない。
正直、俺は恋愛初心者だ。
ミオは初恋で、そこからずっと俺はミオだけを見てきた。
好きだと言って意識してもらったばかりで、この先をどうしたらいいのかわからない。
変態なジュドでも少しは参考にはなるかもしれない。
「お前って……好きな相手にどうやって好きになってもらうんだ?」
ジュドの時間が一瞬止まったけれど、すぐにニコニコし出す。
「まさかテアロ様からそんな相談を受けるとは思いもしませんでした」
なんかムカつくな……。
「私でしたら、催眠術を使いますね。その間に既成事実を──」
「聞いた俺がバカだった……」
俺は血迷ったらしい。
ジュドがまともな事を言うはずはなかった。
ミオに催眠術なんて──効きそうだな……その辺のやつらに掛けられそうで少し心配になった。
「仲良くったってなぁ……」
何をするべきかわからない。
「喜ぶことをしてあげたらいいと思います」
「そうだよな」
それが一番いいかもしれない。
◆◇◆
次の日、ミオの為に夕飯の買い出しに来ていた。
今日は、ミオの好きな物を作って点数稼ぎだ。アスラーゼの野菜が入ったシチューを頬張って食べている時なんて可愛くて仕方ない。ミオが喜ぶ事を考えたら美味しいものを作ってやろうと思った。
「おばちゃん、りんごも頂戴」
露天のおばちゃんに声を掛ける。
「ミオにかい?」
「ああ。果物大好物だからな。うさぎにしたら喜ぶ」
これもミオの喜ぶ事だ。
「相変わらず仲良しだね。ミオはどうしたんだい?」
「あいつは暫く留守番。ほら、この前言っただろ? この辺で俺やミオを捜している人がきたら、知らないって言っといてくれよ」
「わかってるよ。みんなお前達の味方だからね。服を気に入ったからって、無理矢理連れてかれて働かされるんじゃ可哀想だ」
レイは俺たちを無理矢理連れて行く偉い人って設定だ。近所の人は、俺たちの事を喋ったりしないだろう。
レイを欺いているとはいえ、安心はできない。
とんだ人攫いだ。ミオをレイに攫われてたまるか。
ミオが迷いなんかなくなるくらい俺を好きになるといいのに……。
「これ、テアロにおまけだよ」
りんごを一個余分にもらった。
「やったね。ありがと」
「またおいで」
この辺の人たちは本当に馬鹿みたいにお人好しだ。
それがとても心地良い。俺はここの生活を気に入っている。
ここでミオと一緒に普通の生活をしていたい──。
買い物が終わって店に戻ってきた。
そこで、カウンターの上に置いてある手紙を発見する。
『花を摘みに森へ行ってきます』
それを読んで気が気じゃなくなる。
「あのバカ!」
あれほどミオに外に出るなと言ったのに!
すぐに連れ戻さないといけない。
レイは今どこだ!?
あいつより先に見つけなければいけない。
荷物をカウンターに置いたまま森へ向かって走り出した。
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