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入学後
エルド① リンゼイ視点
エルドは、魔法学院の入学試験で、魔法陣を使わないと発言した。
そして、試しにと連れてかれた訓練場で先生達が騒ぎ出す。
『本当に魔法陣無しで魔法が使えたんです!』
『馬鹿な……』
『彼はとても希少価値のある人材です! 手放してはなりません! 国で管理すべきです!』
試験どころではなくなっているような雰囲気にみんな不安になっていた。
戻ってきたエルドは、魔力測定のやり直しをする事になった。
他のみんなが終わった試験をたった一人で受けた。
そこでも前代未聞の魔力量を叩き出した。魔石を光らせている時間が軽く15分を超えてエルドの魔力測定が中止になった。
計測不能……そんな魔力を持つ人間がいるなんて……。
たまたま近くにいた私は大興奮でエルドに声を掛けてしまう。
『君! すごいな!』
金糸のような綺麗な髪がサラリと揺れた。
こちらを見つめた赤い瞳は、鮮血のようで少し恐ろしく感じた。けれど、その瞳に吸い込まれそうで目が離せなかった。
『あー……これってやっぱり普通じゃない?』
苦笑いをする顔は、喜んでいるというよりは、戸惑っているように見えた。
エルドは、そのまま先生達に連れてかれてしまう。
級友からは、すでに妬みと憧れの両方で見られていた。
『あいつさ、特別室だってさ。いいご身分だよな』
『すごいですよ! 彼の頭の中を見てみたい!』
『天才っているんだな……俺達って魔法を学ぶ意味ある?』
『魔法陣がいらないなんてすごすぎ』
『人間じゃねぇよ』
エルドが学院で一緒に学んだのはほんの少しの間だけだった。
どの先生も、エルドの顔を窺うように授業をする。
どんな魔法もエルドが一番理解して使えた。
そんな中で、天才であるエルドは、目の敵にされる。
『エルドは俺らの事、馬鹿にしてるんだろ?』
『一緒に学ぶ必要ないじゃないか。来んなよ』
そんな言葉を、エルドは澄ました顔で全て受け流した。
どんな風に聞いていたのかすらわからない。
そして、エルドは一緒に学ぶ事がなくなった。
入学してすぐに、四つ星クラスの魔法使いとして認められたからだ。
エルドは、なぜだか学院の寮の特別室から引っ越す事をしなかった。
寮の特別室に住んで時々姿を見かける。
そんな存在になっていた。
◆◇◆
授業以外での魔法の練習は、訓練場でできる。けれど、他にしている人もいて、自分もやるスペースがない。
そうなると学院の敷地内にある近くの森で、一人で魔法の練習をしていた。
水魔法が得意だったので、それを伸ばそうと思った。
魔法陣を描いて、そこからできるだけ多くの水を出す練習をする。
出した水は川に流す。
何度か練習したが、お風呂一杯分の水を出すのが精一杯だった。
自分で描いた魔法陣を見ながら首を傾げる。
『魔法陣の式が間違っているのかな?』
『そうだね。そこの文字をこうするといい』
うーんと唸っていれば、急に聞こえた声にびっくりする。出された手が魔法陣を書き替えた。
私の隣にいたのはエルドだった。
『これでやってみれば?』
フッと笑った顔にドギマギする。
エルドの描いた魔法陣に魔力を通せば、先ほどよりも多めの水が出た。
これは、中級魔法と言っていい。
『そうか! ここが違ったんだ! この魔法陣、私が使ってもいいのかい?』
『いいよ。使いすぎて魔力がなくならないようにしろよ』
『エルド、ありがとう』
『別に』
そう言いながらほんのり赤くなって視線を逸らすのが可愛く見えた。
エルドは、みんなが噂するように、気取ってもいないしとても優しかった。
『エルドは、どうしてこんな所に?』
『リンゼイこそどうしてだ?』
『練習するスペースがなくて……』
『ふぅん……俺で良ければ……ここで魔法を見てやろうか?』
『い、いいのか!?』
遠慮がちに言われた言葉に思わず飛び付いた。
現役の魔法使いに魔法を見てもらえるなんて貴重で誇らしい。
『リンゼイって変わってるな……』
『どうして?』
『みんな俺を嫌ってる。俺から教わろうなんて思わないだろ?』
寂しそうに笑った顔に思わず大きな声で答えてしまった。
『私は嫌ってなんかない!』
エルドのキョトンとした顔に恥ずかしさが込み上げてくる。
エルドが嫌っているなんて言うからだ……。
『わ、私はエルドに魔法を教えてもらえたら……嬉しい……』
エルドはキョトン顔から吹き出して笑った。
『ははっ。わかった。リンゼイになら色々教えてやるよ。例えば、ほんの少しの水で相手を窒息させる水魔法とかね』
ニヤリと笑いながら怖い事を言われた。
拷問の時に役に立つぞなんて言われて苦笑いだ。
それから、私はエルドに魔法を教わった。
待ち合わせをしている訳ではないのに、そこで会える時間がとても楽しかった。
エルドは、私が来たとわかるとパッと笑顔を見せる。
エルドが不機嫌な時は、お菓子を持って行って機嫌を取った。
エルドは甘い物が好きらしい。それを知っているのは私だけなんじゃないかと思うと嬉しかった。
エルドはとても寂しがり屋だったみたいだ。本当は誰かと一緒にいたかったんじゃないだろうか。だから、魔法使いになっても寮から出なかったんじゃないだろうか。
それなら、私がずっと一緒にいてやるのに……そう思う自分がそこにいた。
二人で過ごす時間はとても有意義で、私に友情以上の気持ちを芽生えさせていった。
そして、試しにと連れてかれた訓練場で先生達が騒ぎ出す。
『本当に魔法陣無しで魔法が使えたんです!』
『馬鹿な……』
『彼はとても希少価値のある人材です! 手放してはなりません! 国で管理すべきです!』
試験どころではなくなっているような雰囲気にみんな不安になっていた。
戻ってきたエルドは、魔力測定のやり直しをする事になった。
他のみんなが終わった試験をたった一人で受けた。
そこでも前代未聞の魔力量を叩き出した。魔石を光らせている時間が軽く15分を超えてエルドの魔力測定が中止になった。
計測不能……そんな魔力を持つ人間がいるなんて……。
たまたま近くにいた私は大興奮でエルドに声を掛けてしまう。
『君! すごいな!』
金糸のような綺麗な髪がサラリと揺れた。
こちらを見つめた赤い瞳は、鮮血のようで少し恐ろしく感じた。けれど、その瞳に吸い込まれそうで目が離せなかった。
『あー……これってやっぱり普通じゃない?』
苦笑いをする顔は、喜んでいるというよりは、戸惑っているように見えた。
エルドは、そのまま先生達に連れてかれてしまう。
級友からは、すでに妬みと憧れの両方で見られていた。
『あいつさ、特別室だってさ。いいご身分だよな』
『すごいですよ! 彼の頭の中を見てみたい!』
『天才っているんだな……俺達って魔法を学ぶ意味ある?』
『魔法陣がいらないなんてすごすぎ』
『人間じゃねぇよ』
エルドが学院で一緒に学んだのはほんの少しの間だけだった。
どの先生も、エルドの顔を窺うように授業をする。
どんな魔法もエルドが一番理解して使えた。
そんな中で、天才であるエルドは、目の敵にされる。
『エルドは俺らの事、馬鹿にしてるんだろ?』
『一緒に学ぶ必要ないじゃないか。来んなよ』
そんな言葉を、エルドは澄ました顔で全て受け流した。
どんな風に聞いていたのかすらわからない。
そして、エルドは一緒に学ぶ事がなくなった。
入学してすぐに、四つ星クラスの魔法使いとして認められたからだ。
エルドは、なぜだか学院の寮の特別室から引っ越す事をしなかった。
寮の特別室に住んで時々姿を見かける。
そんな存在になっていた。
◆◇◆
授業以外での魔法の練習は、訓練場でできる。けれど、他にしている人もいて、自分もやるスペースがない。
そうなると学院の敷地内にある近くの森で、一人で魔法の練習をしていた。
水魔法が得意だったので、それを伸ばそうと思った。
魔法陣を描いて、そこからできるだけ多くの水を出す練習をする。
出した水は川に流す。
何度か練習したが、お風呂一杯分の水を出すのが精一杯だった。
自分で描いた魔法陣を見ながら首を傾げる。
『魔法陣の式が間違っているのかな?』
『そうだね。そこの文字をこうするといい』
うーんと唸っていれば、急に聞こえた声にびっくりする。出された手が魔法陣を書き替えた。
私の隣にいたのはエルドだった。
『これでやってみれば?』
フッと笑った顔にドギマギする。
エルドの描いた魔法陣に魔力を通せば、先ほどよりも多めの水が出た。
これは、中級魔法と言っていい。
『そうか! ここが違ったんだ! この魔法陣、私が使ってもいいのかい?』
『いいよ。使いすぎて魔力がなくならないようにしろよ』
『エルド、ありがとう』
『別に』
そう言いながらほんのり赤くなって視線を逸らすのが可愛く見えた。
エルドは、みんなが噂するように、気取ってもいないしとても優しかった。
『エルドは、どうしてこんな所に?』
『リンゼイこそどうしてだ?』
『練習するスペースがなくて……』
『ふぅん……俺で良ければ……ここで魔法を見てやろうか?』
『い、いいのか!?』
遠慮がちに言われた言葉に思わず飛び付いた。
現役の魔法使いに魔法を見てもらえるなんて貴重で誇らしい。
『リンゼイって変わってるな……』
『どうして?』
『みんな俺を嫌ってる。俺から教わろうなんて思わないだろ?』
寂しそうに笑った顔に思わず大きな声で答えてしまった。
『私は嫌ってなんかない!』
エルドのキョトンとした顔に恥ずかしさが込み上げてくる。
エルドが嫌っているなんて言うからだ……。
『わ、私はエルドに魔法を教えてもらえたら……嬉しい……』
エルドはキョトン顔から吹き出して笑った。
『ははっ。わかった。リンゼイになら色々教えてやるよ。例えば、ほんの少しの水で相手を窒息させる水魔法とかね』
ニヤリと笑いながら怖い事を言われた。
拷問の時に役に立つぞなんて言われて苦笑いだ。
それから、私はエルドに魔法を教わった。
待ち合わせをしている訳ではないのに、そこで会える時間がとても楽しかった。
エルドは、私が来たとわかるとパッと笑顔を見せる。
エルドが不機嫌な時は、お菓子を持って行って機嫌を取った。
エルドは甘い物が好きらしい。それを知っているのは私だけなんじゃないかと思うと嬉しかった。
エルドはとても寂しがり屋だったみたいだ。本当は誰かと一緒にいたかったんじゃないだろうか。だから、魔法使いになっても寮から出なかったんじゃないだろうか。
それなら、私がずっと一緒にいてやるのに……そう思う自分がそこにいた。
二人で過ごす時間はとても有意義で、私に友情以上の気持ちを芽生えさせていった。
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