大魔法使いは二度目の人生を〝普通〟に楽しみたい

おみなしづき

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入学後

不思議な新入生 リンゼイ視点

「これです! これ! この魔法陣は上級の召喚魔法陣です!」

 アンリ先生は、色んな先生方を教室に集めて興奮気味に言った。

「まさか新入生の中にこんな陣が描ける者がいるなんて思いませんでした!」
「でも、魔法陣は知識があれば誰でも描けるものです」
「そうですが、これを新入生が描けるなんて信じられません。魔法使いでなければ読めない書物を見ているということになります」

 確かに上級の魔法陣を描くなんて、相当勉強して来ているのではないだろうか。

「魔法使いの知り合いでもいるんでしょう? 本を見ることぐらい誰にでもできるさ。描けるだけじゃね。使えなきゃ」

 攻撃魔法を教えるベルナルド先生は鼻で笑った。

「知識は褒めるべき点ではありますが、それでは成り立ちませんね」

 柔らかい笑顔のトマス先生も、ニッコリ笑いながらも辛辣だ。
 私自身も魔法陣が描けただけでは、それほど驚きもしない。それでも、アンリ先生は鼻息を荒くする。

「エルド・クリスティアも言っていたでしょう! 知識は宝です! ディノ・バスカルディ、将来が楽しみですよ!」

 気になっていた生徒の名前が出てきて思わず聞き返してしまった。

「これ……ディノ・バスカルディが描いたのですか?」
「ええ! あの子が五分もかからずにスラスラと!」

 ディノ・バスカルディの綺麗な水色の髪と翡翠のような瞳を思い出す。
 そして、あの入学試験で私の前でフッと笑った顔がエルドとダブって見えた。
 顔は全く似ていない。エルドの方がキツい印象だ。
 それなのに、どうしてあの子がエルドに見えたのか……。

 エルドとの会話を思い出す。

『エルドは、どうしていつも風魔法を使うんだ?』
『リンゼイ、木ってのは生きてるんだ。焼き尽くしたら可哀想だろ?』

 ディノが言っていたあの言葉は、エルドと同じだった。

『──木はまだ生きています。倒すだけでいいのなら、火を使う必要はありません。焼き尽くしてしまうのは可哀想でしょう?』

 そして、極め付けは名前だ。

先生、もう終わりですよね? 戻っても?』

 彼はそう言ったんだ。
 私はまだ自己紹介をしていないのに、私の名前を呼んだんだ。
 ディノは私の記憶にはない人物で初対面だ。会った事があるかと問い掛ければないと言った。

 だったら……どうして名前を知っているのか……。
 先生方から私の名前が出ていた可能性もある……のか……?

 そんな疑問の中で、この魔法陣を描いたのがディノ・バスカルディだと言う。
 描いた経緯を聞けば、いたずらみたいに先生を揶揄うなんてエルドみたいだと思う。
 考えれば考えるほどエルドに似ている気がしてならない。

 エルドの事を考えすぎて、彼にエルドを追い求めてしまったんだろうか?

 だとしても、なぜエルドとは似ても似つかない彼に?

 私はエルド以外の人を初めて意識した。
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