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番外編
執事の仕返し 修也視点
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今日は、僕の家に崇臣が煌麻からのお礼を持ってやってきた。
崇臣は、この前かなり揶揄ってやったので怒っているのかと思ったけれど普通だった。
仕事だから僕に怒れないのはわかるけれど、それじゃあつまらない。
もう少し揶揄ってやろうかとニヤニヤとしながら声を掛ける。
「それで、崇臣はプレゼントはもらえた?」
「はい。大変ありがたく受け取らせて頂きました」
深々とお辞儀をしてニッコリと微笑まれる。
この笑顔、読めないんだよねぇ。
「もう少し僕に怒っていると思ってたけど、意外と平気?」
「何の事でございますか? 怒ってなどおりませんよ」
この前は、あの崇臣の笑顔が引きつっているのがわかって楽しかったのに、もういつも通りだ。
崇臣が持ってきた煌麻からのお土産はケーキだったらしく、崇臣と零亜で用意をしてくれた。
一人で食べても味気ないので弟の慎也も呼んでもらった。
二人で椅子に座ってケーキと紅茶でティータイムだ。
慎也と他愛ない会話をする。
崇臣は、零亜と立っているだけでつまらない。
「ねぇ、崇臣、何か僕にないのぉ?」
思わず声を掛ける。
「それならば、修也様、一つお聞きしたい事がございます」
お。来たーー♪
「なになに? なんでも答えちゃうよ」
「それで──修也様のアルバイトとはどういったものでしたか?」
やっぱり気になるよねぇ。
「色々だよ。論文の資料集めと、僕が開発したアプリの管理とか」
「煌麻様がおっしゃていた事と同じですね」
「あとは……写真撮らせてもらった。あれ? 煌麻から聞いてない?」
だとしたら面白いかも。
「お聞きしております」
なんだ……聞いてたんだ。
もう少し揶揄ってやろうかな。
「その時の写真、見る?」
「見せて頂けるのですか?」
「いいよぉ」
予想外に嬉しそうにされた。手応えがないな。
スマートフォンを取り出して、煌麻の写真を見せびらかす。
僕の手伝いをしている時の普通の写真や一緒に撮ったものを見て嫉妬ぐらいするかもしれない。
「修也様、良く見えません。少し貸して頂いても?」
「いいよぉ」
崇臣にスマートフォンを手渡して、嬉しそうに眺めている崇臣を見ても面白くない。
もっと崇臣が悔しそうにする姿が見たいんだけどなぁ。
「修也様、ありがとうございました」
スマートフォンを返されて覗き込んで呆気に取られる。
「え……? 何? 何これ?」
画面が買った時と同じものに戻っている。
「初期化させて頂きました」
ニッコリ笑顔で何を言ってるんだ!?
「暗証番号は!? どうやって知ったわけ!?」
「煌麻様がアルバイトをしている時に、煌麻様に教えてあげていましたね。すぐに変えなかった修也様の落ち度です」
そういえば、僕のスマートフォンも使ってたから……煌麻にもすぐ使えるように暗証番号を教えてたっけ……。
「う……そ……。全部……全部……消えてる……」
指を必死で動かしても何も残っていない。
大学で使う資料を撮影したものも、友人や飲み友達の電話番号も、レベマにしたアプリゲームも全て削除されている……。
「消すなら写真だけにしてよ!」
それだったら、また煌麻に頼んで撮らせて貰えばいいだけだ。
クスクスと笑った崇臣にギクリとする。
「今後、煌麻様の撮影は、一枚につき百万出して頂きましょうか?」
思考が読まれている……!
「勝手に撮ってごめんって! 今度から撮る時は崇臣の許可も得るよ!」
「お約束でございますよ」
「全部消えちゃって……どうすんのぉ……」
何も考えられなくてがっくりと肩を落とす。
「バックアップがございますでしょう?」
「あ! そうだ! そうだった! バックアップ! ああ……良かった……」
バックアップを取っておいた。
慌ててると頭が回らなくなるんだと実感させられた。
心底安心した。
「これに懲りたら、面白半分で煌麻様をダシに使わない事です──」
目を細めた崇臣に背中に冷や汗が伝った。
まさかこんな仕返しをされるとは……。
「この程度で済んで良かったですね。次はバックアップごと消して差し上げますよ──」
やばい……この人やばい人だ……。
目が笑ってない。
データどころか『お前も消すぞ』と言われているような気になる……。
「わ、わかったよ……もう揶揄ったりしないよ……」
崇臣を揶揄うのは、僕の神経もすり減らさなきゃいけないらしい。怖いなぁ。
「それは良い心掛けでございますね。頷かれなければ、修也様が男でありながら好きなものが──」
「うわぁ! ごめんごめん! それ慎也の前で言わないでぇ!」
なんでみんなに隠してきた僕が好きな趣味を知ってんの……。
「──冗談でございます」
クスクスと笑う崇臣に脱力する。
「あんなに慌ててる兄さんを見るの初めてだ……」
慎也にそんな目を向けられて居た堪れない。
崇臣自身を揶揄っても、こんな事をされた事はない。
これは煌麻も関わっている事だからなんだろうな……。
そう思うと仕返しされたのに、なんだか微笑ましくて顔がニヤけてくる。
「やっぱり崇臣には敵わないなぁ」
ニッコリ笑顔を向けられて、思わず笑ってしまった。
────────────
※あとがき
最後まで読んで頂いた皆様に感謝致します。
本当にありがとうございます!
少しでも読者の皆様が楽しめたなら嬉しいです。
今回の崇臣は、公開するまで苦労しました。腹黒にしたいのに病んでしまって書き直しばかりの男でした……。
最初は煌麻視点で書いていた作品を、崇臣視点に書き直す事でやっと話も進んで行きました。
今までの作品の感想を読み返して元気をもらい、読者の皆様の力は偉大だと思わずにはいられません。
読者の皆様に感謝を忘れずに、これからも楽しんで作品を書いていけたらと思います。
本当にありがとうございました。
崇臣は、この前かなり揶揄ってやったので怒っているのかと思ったけれど普通だった。
仕事だから僕に怒れないのはわかるけれど、それじゃあつまらない。
もう少し揶揄ってやろうかとニヤニヤとしながら声を掛ける。
「それで、崇臣はプレゼントはもらえた?」
「はい。大変ありがたく受け取らせて頂きました」
深々とお辞儀をしてニッコリと微笑まれる。
この笑顔、読めないんだよねぇ。
「もう少し僕に怒っていると思ってたけど、意外と平気?」
「何の事でございますか? 怒ってなどおりませんよ」
この前は、あの崇臣の笑顔が引きつっているのがわかって楽しかったのに、もういつも通りだ。
崇臣が持ってきた煌麻からのお土産はケーキだったらしく、崇臣と零亜で用意をしてくれた。
一人で食べても味気ないので弟の慎也も呼んでもらった。
二人で椅子に座ってケーキと紅茶でティータイムだ。
慎也と他愛ない会話をする。
崇臣は、零亜と立っているだけでつまらない。
「ねぇ、崇臣、何か僕にないのぉ?」
思わず声を掛ける。
「それならば、修也様、一つお聞きしたい事がございます」
お。来たーー♪
「なになに? なんでも答えちゃうよ」
「それで──修也様のアルバイトとはどういったものでしたか?」
やっぱり気になるよねぇ。
「色々だよ。論文の資料集めと、僕が開発したアプリの管理とか」
「煌麻様がおっしゃていた事と同じですね」
「あとは……写真撮らせてもらった。あれ? 煌麻から聞いてない?」
だとしたら面白いかも。
「お聞きしております」
なんだ……聞いてたんだ。
もう少し揶揄ってやろうかな。
「その時の写真、見る?」
「見せて頂けるのですか?」
「いいよぉ」
予想外に嬉しそうにされた。手応えがないな。
スマートフォンを取り出して、煌麻の写真を見せびらかす。
僕の手伝いをしている時の普通の写真や一緒に撮ったものを見て嫉妬ぐらいするかもしれない。
「修也様、良く見えません。少し貸して頂いても?」
「いいよぉ」
崇臣にスマートフォンを手渡して、嬉しそうに眺めている崇臣を見ても面白くない。
もっと崇臣が悔しそうにする姿が見たいんだけどなぁ。
「修也様、ありがとうございました」
スマートフォンを返されて覗き込んで呆気に取られる。
「え……? 何? 何これ?」
画面が買った時と同じものに戻っている。
「初期化させて頂きました」
ニッコリ笑顔で何を言ってるんだ!?
「暗証番号は!? どうやって知ったわけ!?」
「煌麻様がアルバイトをしている時に、煌麻様に教えてあげていましたね。すぐに変えなかった修也様の落ち度です」
そういえば、僕のスマートフォンも使ってたから……煌麻にもすぐ使えるように暗証番号を教えてたっけ……。
「う……そ……。全部……全部……消えてる……」
指を必死で動かしても何も残っていない。
大学で使う資料を撮影したものも、友人や飲み友達の電話番号も、レベマにしたアプリゲームも全て削除されている……。
「消すなら写真だけにしてよ!」
それだったら、また煌麻に頼んで撮らせて貰えばいいだけだ。
クスクスと笑った崇臣にギクリとする。
「今後、煌麻様の撮影は、一枚につき百万出して頂きましょうか?」
思考が読まれている……!
「勝手に撮ってごめんって! 今度から撮る時は崇臣の許可も得るよ!」
「お約束でございますよ」
「全部消えちゃって……どうすんのぉ……」
何も考えられなくてがっくりと肩を落とす。
「バックアップがございますでしょう?」
「あ! そうだ! そうだった! バックアップ! ああ……良かった……」
バックアップを取っておいた。
慌ててると頭が回らなくなるんだと実感させられた。
心底安心した。
「これに懲りたら、面白半分で煌麻様をダシに使わない事です──」
目を細めた崇臣に背中に冷や汗が伝った。
まさかこんな仕返しをされるとは……。
「この程度で済んで良かったですね。次はバックアップごと消して差し上げますよ──」
やばい……この人やばい人だ……。
目が笑ってない。
データどころか『お前も消すぞ』と言われているような気になる……。
「わ、わかったよ……もう揶揄ったりしないよ……」
崇臣を揶揄うのは、僕の神経もすり減らさなきゃいけないらしい。怖いなぁ。
「それは良い心掛けでございますね。頷かれなければ、修也様が男でありながら好きなものが──」
「うわぁ! ごめんごめん! それ慎也の前で言わないでぇ!」
なんでみんなに隠してきた僕が好きな趣味を知ってんの……。
「──冗談でございます」
クスクスと笑う崇臣に脱力する。
「あんなに慌ててる兄さんを見るの初めてだ……」
慎也にそんな目を向けられて居た堪れない。
崇臣自身を揶揄っても、こんな事をされた事はない。
これは煌麻も関わっている事だからなんだろうな……。
そう思うと仕返しされたのに、なんだか微笑ましくて顔がニヤけてくる。
「やっぱり崇臣には敵わないなぁ」
ニッコリ笑顔を向けられて、思わず笑ってしまった。
────────────
※あとがき
最後まで読んで頂いた皆様に感謝致します。
本当にありがとうございます!
少しでも読者の皆様が楽しめたなら嬉しいです。
今回の崇臣は、公開するまで苦労しました。腹黒にしたいのに病んでしまって書き直しばかりの男でした……。
最初は煌麻視点で書いていた作品を、崇臣視点に書き直す事でやっと話も進んで行きました。
今までの作品の感想を読み返して元気をもらい、読者の皆様の力は偉大だと思わずにはいられません。
読者の皆様に感謝を忘れずに、これからも楽しんで作品を書いていけたらと思います。
本当にありがとうございました。
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執事さんに目を付けられたら大変ですね。自分も気付かないうちに消される……かも( ̄Д ̄;)
最後まで読んで頂けて嬉しいです。ありがとうございました。
感想ありがとうございます。
楽しんで頂けて嬉しいです♡
危険でしたかねw目が無事である事を願います(^人^)
執事を好きになって頂けてとても嬉しいです。
ありがとうございました(〃ω〃)
退会済ユーザのコメントです
感想ありがとうございます。
本当ですか!?(前のめりで手を握ってしまいそうです)
自分の妄想を文にする事が楽しくて書いていますが、書籍化……考えた事がありませんでした。考えるきっかけになるかもしれません。
最大級の褒め言葉をありがとうございます(;∀;)