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おしゃれと隣人
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まずは服装。彼女の隣に立っても違和感のないくらいの格好をしなければ。
私はそんな思いに駆られ、やや慌ただしくクローゼットの中を漁る。しかし、私のセンスなど知れたものだし、慌てたところで見栄えの良い服が出現するわけでもない。結局、一番気に入っている銀ボタンの付いた紺色のブレザーに、バカの一つ覚えの薄い水色のオックスフォードシャツ、少しでも背が高く見えることを願ってベージュの細身のチノパンを選ぶ。後はラウンドトゥのドレスシューズで良いかな。
そして私はそのまま慌てて洗面台に急ぐ。寝癖はついていないが、そのままなのも不味いかと思い、軽く崩しつつも髪を上げると言った感じにセットする。いつもこれで良いのか不安になるが、少なくとも美容室で教えてもらったとおりの髪型にはなっている。大人っぽくしつつ、かっちりし過ぎないように崩してあげるというのがポイントらしい。
ここまですれば十分だろう。とりあえず、三十路なりの努力は認めて欲しい。
「すいません、お待たせしてしまいました」
ソファーに座っている彼女に声をかける。人栄さんは先日この部屋で見たリラックスした猫背とは異なり、しっかり背筋を伸ばして緊張したような様子だった。しかし、彼女は私の格好を見て、
「わあ……カッコいいです、素敵です、とってもいいですよ!」
満面の笑顔でそう言ってくれる。若い子にそう言ってもらえると、嬉しいやら恥ずかしいやら、むず痒い思いになる。
「ありがとうございます。では、えー、どこかに行くのでしたか?」
「はい、表に車で待っていてもらっていますので、そこまで行きましょう」
車を待たせている、わけではない。あくまで車で待っていて貰っている、と彼女は言った。何となく事情が読めてきた気がするが、まあ答え合わせはもうすぐだ。
「目島さん、こんばんは。本日は時間を取らせてしまって申し訳ない」
私が想像していたとおり、佐須杜さんが車の前で待っていた。もしハードなスポーツカーだったらどうしようかと思ったが、環境に良いことで有名で、よく売れている大衆車だった。薄いグリーンのボディがオレンジ色の街灯に照らされ、不思議な色合いになっている。
「こんばんは佐須杜さん。今日の件は人栄さんのお誘いだけど、計画はあなたでしょうか?」
別に隠しているわけではないだろう。変にこじれても良くないので始めからはっきり聞いておく。
私の発言を聞くと、彼女は「そりゃ、分かるよなあ」と苦笑する。
「え!なんで分かったんですか!?」
一方で、私の斜め後ろで驚愕に顔を染めるのは隣人の彼女だ。
「流れで察しますよね」
「まあ、とにかく店は予約してます。私もご一緒しますが構いませんか?」
「もちろん。むしろ、うら若い女性と二人っきりで食事とかだとどうしたものかと思うところです」
うら若い女性が増えるというのは状況が改善しているのかは不明だが、私の心情的には二人っきりよりはマシだ。無論、矢賀さんのように付き合いが長いと気疲れもしないのだが。
「よっし、じゃあ行きましょうか」
佐須杜さんはそういって運転席に乗り込む。
「一応、レディーファーストということで」
私の気遣いは正解なのかは分からないが、少なくとも人栄さんは嬉しそうにして、後部座席に乗り込んでくれた。
さて、一体どのようなお店に行くのだろうか――。
私はそんな思いに駆られ、やや慌ただしくクローゼットの中を漁る。しかし、私のセンスなど知れたものだし、慌てたところで見栄えの良い服が出現するわけでもない。結局、一番気に入っている銀ボタンの付いた紺色のブレザーに、バカの一つ覚えの薄い水色のオックスフォードシャツ、少しでも背が高く見えることを願ってベージュの細身のチノパンを選ぶ。後はラウンドトゥのドレスシューズで良いかな。
そして私はそのまま慌てて洗面台に急ぐ。寝癖はついていないが、そのままなのも不味いかと思い、軽く崩しつつも髪を上げると言った感じにセットする。いつもこれで良いのか不安になるが、少なくとも美容室で教えてもらったとおりの髪型にはなっている。大人っぽくしつつ、かっちりし過ぎないように崩してあげるというのがポイントらしい。
ここまですれば十分だろう。とりあえず、三十路なりの努力は認めて欲しい。
「すいません、お待たせしてしまいました」
ソファーに座っている彼女に声をかける。人栄さんは先日この部屋で見たリラックスした猫背とは異なり、しっかり背筋を伸ばして緊張したような様子だった。しかし、彼女は私の格好を見て、
「わあ……カッコいいです、素敵です、とってもいいですよ!」
満面の笑顔でそう言ってくれる。若い子にそう言ってもらえると、嬉しいやら恥ずかしいやら、むず痒い思いになる。
「ありがとうございます。では、えー、どこかに行くのでしたか?」
「はい、表に車で待っていてもらっていますので、そこまで行きましょう」
車を待たせている、わけではない。あくまで車で待っていて貰っている、と彼女は言った。何となく事情が読めてきた気がするが、まあ答え合わせはもうすぐだ。
「目島さん、こんばんは。本日は時間を取らせてしまって申し訳ない」
私が想像していたとおり、佐須杜さんが車の前で待っていた。もしハードなスポーツカーだったらどうしようかと思ったが、環境に良いことで有名で、よく売れている大衆車だった。薄いグリーンのボディがオレンジ色の街灯に照らされ、不思議な色合いになっている。
「こんばんは佐須杜さん。今日の件は人栄さんのお誘いだけど、計画はあなたでしょうか?」
別に隠しているわけではないだろう。変にこじれても良くないので始めからはっきり聞いておく。
私の発言を聞くと、彼女は「そりゃ、分かるよなあ」と苦笑する。
「え!なんで分かったんですか!?」
一方で、私の斜め後ろで驚愕に顔を染めるのは隣人の彼女だ。
「流れで察しますよね」
「まあ、とにかく店は予約してます。私もご一緒しますが構いませんか?」
「もちろん。むしろ、うら若い女性と二人っきりで食事とかだとどうしたものかと思うところです」
うら若い女性が増えるというのは状況が改善しているのかは不明だが、私の心情的には二人っきりよりはマシだ。無論、矢賀さんのように付き合いが長いと気疲れもしないのだが。
「よっし、じゃあ行きましょうか」
佐須杜さんはそういって運転席に乗り込む。
「一応、レディーファーストということで」
私の気遣いは正解なのかは分からないが、少なくとも人栄さんは嬉しそうにして、後部座席に乗り込んでくれた。
さて、一体どのようなお店に行くのだろうか――。
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