愛し合えない夫婦です

十人 秋夜

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プロローグ

好きじゃないんだもの

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 たくさんの人が後ろにいる。自分を見ている。無意識に震える手を一生懸命に抑えながら、どうしてこんなことになってしまったのか振り返る。

 何もかもの始まりは一通の手紙だった。
------アーシャ・エレノア殿------
 
 其方に我が息子セルザイトと、婚約していただきたい。
 使いが迎えに行く、早急な話で申し訳ないがエファッセの未来のために其方が必要なのだ。

 ジアザイト・クロア

----------------------

 王家の紋章の描かれた便箋、封筒。ジアザイト・クロアという名前。現国王から手紙が届いた、それだけでも十分すぎる衝撃だった。しかし、確かに書かれた自分の名前、こんな場所に届いたということ、「間違い」という逃げ先がない。
 我が息子セルザイト、つまり国王の子息ということになる。長男であるセルザイトは、現在最も王位継承権が高い。その人と婚約ということは、後の王妃ということもある。

 一夫多妻が当たり前の今、結婚していても愛人なんかと変わらない・・・・そう思っていたのに・・・・




「では、誓いのキスを。」


「ほらアーシャ殿、キスですよ?」




 キスなんてできないよ・・・・・ だって・・・・・・・・・私あなたのこと好きじゃないんですっっっ!
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