真面目な貴族は甘えん坊！？

消しきれない想い

上手くいかない

　サユナと料理長が楽しげに話していたり、触れ合っていたところを見てから、ずっとイライラしていた。
　だからほんの少しだけでもサユナに自分と同じ気持ちになって欲しくて、わざと他の女と触れ合っているところを見せた。それなのに、何も言わず、顔色すら変えず、静かに部屋を出て行った。

　
　それから日を重ねるごとに、二人は更に親しくなっていくのが、見ようとしなくても分かるようになり、料理人やメイド達の間で二人は恋仲なのではと噂され始めた。
　そんな姿を見る度にイライラと胸の煙たさが募り、なんだか面白くない。

　サユナと話す機会も無く、二人が仲良さげに話しているところばかりが目に入る。

　サユナはあの男が好きなのだから、自分が誰と何をしようとなんとも思わないに決まっている。当たり前のことなのにそう思うと、胸が痛む。



　仕事も落ち着き、することも無くただ何もせず椅子に座っている。仕事が落ち着いたらサユナのところへ行って色々と話しを聞きたいと思っていたのに、どうせ行っても二人の邪魔だと思い、立ち上がれない。


　水を持ってきてもらったように、サユナを指名すればサユナが来てくれるのだろうか。 
　　


　サユナが誰を好きになろうが関係無いのに、今はそれが無性に気になる。やはりあの男なのなのか、それとも他の人なのか、自分は恋愛対象に入っているのか・・・・

　
　自分はサユナのことをどう思っているのだろう・・・・・　

　普通のメイドだったら気にならないことが、気になってしかたない。
　薄々気が付いてはいたけれど、認めたくないような気がしていた。



　
　サユナ・・・・
　好きになってしまったんだ・・・・・