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舞踏会で咲く氷の花は どこまでも青い
舞踏会の準備
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~舞踏会の朝~
朝、部屋の中。国王の部屋には誰もいない。国王は支度しているので少し待ってくださいと、執事のケイセさんに言われた。ぼんやりとしていると、ドアの開く音がした。
「待たせたね。サファイア、まだ準備ができてないみたいだから私の部屋に来ないか?」
部屋なんて入って良いのだろうかと、思いながら頷く。優しく笑いかけて、「じゃあ、行こうか」と立ち上がり、再び豪華な廊下を歩く。さらに豪華になっていく廊下に、戸惑ってしまった。
「入って。」
執務室よりも少し落ち着いた感じの、木製のドアを開けてこちらを見つめる。なんだかこんなところに入って良いのだろうかと、今さら不安に似た変な気持ちになる。
ゆっくりと入ると、広くて豪華ないかにも国王らしい私室。壁や天井から下がる豪華なシャンデリアにも、水晶やアメジスト、サファイアが散りばめられている。姉が広い私室を欲しがっていたのも、貴族としての憧れなのかもしれない。自分の私室なんて、家で働く侍女と変わらない大きさだし不満な訳でもない。こうして国王の私室を見てみると、すごいなと思う。 改めて、身分の差がどれだけのものなのか思い知る。やはり、自分はこんな人の隣に並んで良いわけがない。だからこそあくまでも仕事として、ということをしっかりと意識しなければならない。
「サファイア、私と舞踏会に出るのは嫌か?」
突然にそう言われて、サファイアはびっくりした。何より、国王の顔がとても寂しそうだ。どうしてそんな顔をするのだろうと疑問に思うと同時に、胸の奥をきゅうと握られたような感覚を感じた。
「どうしてそんなことをおっしゃられるのですか?」
サファイア個人の嫌かどうかなんていう感情ではなく、仕事のはずなのに・・・
(そんな顔をされたら、誤解してしまいそう・・・・ ただ、私は口説かれているだけのはずなのに・・・・)
「仕事なんて言って押し付けたけど、もしかして君に一緒に行きたい人がいたのなら悪いことをしたと・・・・ だから嫌なら嫌と言って構わない。」
どうしてそんなことを言うのかと聞いたのは自分なのに、彼の答えを聞いて落ち込んでいる自分がいた。裏を返せば、期待していたということになる。
(国王が私のことを想うなんて、ありえないのにどうして期待なんて・・・)
「初めに言ったはずです。一緒に行きたい相手なんて、いません。」
彼の甘ったるくて熱い言葉は一体、どれだけの人を惑わして来たのだろう。サファイアは、絶対にそのうちの一人になりたくなかった。
「そうだった。 だったら私と一緒に舞踏会に行きたいか? 仕事ではなく、一人の女性として。」
また甘ったるい目で、ぽぅっと見つめられる。
逸らしたいのに逸らせず、逸らして欲しいのになかなか逸らしてくれない。
(何を考えてこんなことをしているのかしら・・・・ こんなことまでして口説くなんて、酷な人ね・・・)
「そ、それは・・・・・」
なんて答えたら良いのか、全く分からない。だってこの質問の答えは、彼に対して好意を持つか持たないかということに直結する。
「舞踏会が終わるまでに、教えてくれればいい。」
~サファイアの気持ち~
まるで告白のようで、戸惑ってしまった。けれどただ口説かれているのに、もてあそばれでいるような気もする。の、はずなのに口説かれている。そう思う度に、胸がチクリと痛む。 頑張って己を貫き通そうとしているの、気がつけばいつも彼のペースだ。振り回されては自分を戒め、気をつけている。
彼のあの甘い視線と、熱っぽい声音は人を惑わす。普段はとても厳格で、かんぺきに執務もこなし機転も利くそうだ。サファイアの前にいるのはそんな完璧な国王ではなく、女であれば誰だって口説くような軽率な人である。これで彼のことを好きになってしまったら、かれの思う壷である。舞踏会に自分を誘った理由だって、『仲良くなりたい』からなどと明らかに信じがたいことを言ってきた。
いつか彼の瞳に惑わせれてしまうのだろうか・・・
朝、部屋の中。国王の部屋には誰もいない。国王は支度しているので少し待ってくださいと、執事のケイセさんに言われた。ぼんやりとしていると、ドアの開く音がした。
「待たせたね。サファイア、まだ準備ができてないみたいだから私の部屋に来ないか?」
部屋なんて入って良いのだろうかと、思いながら頷く。優しく笑いかけて、「じゃあ、行こうか」と立ち上がり、再び豪華な廊下を歩く。さらに豪華になっていく廊下に、戸惑ってしまった。
「入って。」
執務室よりも少し落ち着いた感じの、木製のドアを開けてこちらを見つめる。なんだかこんなところに入って良いのだろうかと、今さら不安に似た変な気持ちになる。
ゆっくりと入ると、広くて豪華ないかにも国王らしい私室。壁や天井から下がる豪華なシャンデリアにも、水晶やアメジスト、サファイアが散りばめられている。姉が広い私室を欲しがっていたのも、貴族としての憧れなのかもしれない。自分の私室なんて、家で働く侍女と変わらない大きさだし不満な訳でもない。こうして国王の私室を見てみると、すごいなと思う。 改めて、身分の差がどれだけのものなのか思い知る。やはり、自分はこんな人の隣に並んで良いわけがない。だからこそあくまでも仕事として、ということをしっかりと意識しなければならない。
「サファイア、私と舞踏会に出るのは嫌か?」
突然にそう言われて、サファイアはびっくりした。何より、国王の顔がとても寂しそうだ。どうしてそんな顔をするのだろうと疑問に思うと同時に、胸の奥をきゅうと握られたような感覚を感じた。
「どうしてそんなことをおっしゃられるのですか?」
サファイア個人の嫌かどうかなんていう感情ではなく、仕事のはずなのに・・・
(そんな顔をされたら、誤解してしまいそう・・・・ ただ、私は口説かれているだけのはずなのに・・・・)
「仕事なんて言って押し付けたけど、もしかして君に一緒に行きたい人がいたのなら悪いことをしたと・・・・ だから嫌なら嫌と言って構わない。」
どうしてそんなことを言うのかと聞いたのは自分なのに、彼の答えを聞いて落ち込んでいる自分がいた。裏を返せば、期待していたということになる。
(国王が私のことを想うなんて、ありえないのにどうして期待なんて・・・)
「初めに言ったはずです。一緒に行きたい相手なんて、いません。」
彼の甘ったるくて熱い言葉は一体、どれだけの人を惑わして来たのだろう。サファイアは、絶対にそのうちの一人になりたくなかった。
「そうだった。 だったら私と一緒に舞踏会に行きたいか? 仕事ではなく、一人の女性として。」
また甘ったるい目で、ぽぅっと見つめられる。
逸らしたいのに逸らせず、逸らして欲しいのになかなか逸らしてくれない。
(何を考えてこんなことをしているのかしら・・・・ こんなことまでして口説くなんて、酷な人ね・・・)
「そ、それは・・・・・」
なんて答えたら良いのか、全く分からない。だってこの質問の答えは、彼に対して好意を持つか持たないかということに直結する。
「舞踏会が終わるまでに、教えてくれればいい。」
~サファイアの気持ち~
まるで告白のようで、戸惑ってしまった。けれどただ口説かれているのに、もてあそばれでいるような気もする。の、はずなのに口説かれている。そう思う度に、胸がチクリと痛む。 頑張って己を貫き通そうとしているの、気がつけばいつも彼のペースだ。振り回されては自分を戒め、気をつけている。
彼のあの甘い視線と、熱っぽい声音は人を惑わす。普段はとても厳格で、かんぺきに執務もこなし機転も利くそうだ。サファイアの前にいるのはそんな完璧な国王ではなく、女であれば誰だって口説くような軽率な人である。これで彼のことを好きになってしまったら、かれの思う壷である。舞踏会に自分を誘った理由だって、『仲良くなりたい』からなどと明らかに信じがたいことを言ってきた。
いつか彼の瞳に惑わせれてしまうのだろうか・・・
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