しあわせ

紺野真

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しあわせ

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しあわせ
君を愛している。
言葉は、声は、ぬくもりは僕の本質を、思いの丈を伝え切れやしない。
幾度も幾度も考えた。
常人ならば恐らく食傷しているだろう。それでも僕は頭を悩ませ続けた。でも僕の君への気持ちはそんなものじゃ足りないのかもしれない。
君が望むなら何だって。

まだ足りない!これじゃない!!何時になったら形にできるんだろう!!
虚像だって模造品だって構わない。僕は頭を振った。しかし感傷に耽ける暇などない。
早く、早く君に伝えなくては、形に残さなければいけない。
君をどうか、君のすべてを僕のすべてに。
僕のすべてを君のすべてにしたい。捧げたい。蒼惶としている。
しあわせを渇望する僕にしとしとと透明な霧のような雨が降り注ぐ。
「僕を認めないのか?」苛立ちを隠せない。

そんな僕を見て君は「子供みたい」と微笑む。
君が望むのならなんだって。君との幸せの為にならなんだって出来るんだ!

そうだ!しあわせは絶美で在りたい!
君に似合うのはそんなしあわせだ。
僕らが一緒にここに居るという仕合わせを絶佳な無上なものにしよう!
君に僕の印を。僕に君の印を。君の桜色の肌から妖美な唐紅が零れ落ちた。
これで僕らは一生忘れられない今日を覚えていられなくなるだろう。
白無垢の君。さあ、橙を灯そう。永遠は二人だけの世界はすぐそこだよ。
綺麗だなあ。その姿をもうすぐ見えなくなる。目に焼き付けるよ。
「やっぱり怖い?」
「いや。僕の事なんかのことより君はどうだい?僕はそれが不安だよ」
「しあわせよ」
「ああ。僕もだ」
「これでおわりなんだね」
「違うよ。永遠に続くんだ」
「それもそうね」
「ねえ、このしあわせは〝幸せ〟というのね」
その言葉を最後に君は言葉を発しなくなった。
嗚呼。幸せだろう?浮世なんてもう要らないよな。今、僕らは世界を止めたんだ。
君と僕の死合わせ。
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