魔王軍VS.王国軍・・・・??第三勢力出現!異端だと切り捨てられた田舎者、希少魔法で世界を変える

たま「ねぎ

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プロローグ

+++第八話:対立する勇者とセシル・ハルガダナ。ガラムバト掃討作戦決着

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 「なんで?」
 ハヤト・キリヤとナナセ・クミシマ。目の前の二人は、明らかにこちらを向いて武器を構える。
 
 「どういうことなんだよッ?」
 「ごめんなさい、ハルガダナ君。でも、これ以上やれば・・・・あなたは確実に殺されてしまうッ‼」
 やっと口を開いたかと思えば、赤くなった刀を持ち、クミシマは悲しそうにこちらを見つめた。俺もまた、整理が追い付かずに頭を押さえる。そんななか、キリヤだけは冷静に俯瞰しているように感じた。
 
 「俺たちは勇者だ。お前のことは、なんとかしてやるよ」
 「・・・・はあ⁉」
 二日早くこの町に来ているだけで、なにもかも理解している感じだ。ようやくこちらにも、彼らの意図がわかってくる。つまり結局、俺は謀反者。彼らは王国という途方もない巨大な権力から、そんな大罪人を守ってくれるつもりのようだ。
 だけどそんなこと・・・・。
 「頼んでねーよ」
 「ああ⁉」
 
 ||||||||||||||||||||||||||||
 
 「俺がお前らにしてほしいのは、そういうことじゃないんだって!!王国軍のやってることは、間違ってるはずだろ!だったら一緒に立ち向かってくれ‼それともニホンではこれが普通なのか⁉」
 「うるせえな‼なにもわかってねえくせに、口だけはごちゃごちゃ言いやがって‼言われたんだよ!!その日本に帰るには、王国軍の力が必要なんだ!!過去には戻れねぇからな、俺はいまあるものを守る‼‼‼」

 ||||||||||||||||||||||||||||
 
 「「ハア、ハア・・・・」」
 それぞれ、思っていることをぶつけ合う。しかし、どちらも正しいと思っているのだから、対立する意見を完全に消化しあうなんて不可能だ。
 (・・・・・・)
 議論は平行線である。この町では、俺はまるで一人だった。
 「でもお前らなら・・・・俺と同じでなにも知らなかったニホン人なら、王国の暴挙に一緒に立ち向かってくれる。そう、思っていたんだけどな!」
 「ハルガダナ君、私たちだってつらいのよ?」
 「だけどお前らは、この虐殺を黙認するんだろ?それが正しいと思ったんだよな」
 「ええそうよ!私たちには私たちで、王国側に協力しなくてはいけない理由がある!だってそうでしょ⁉私たちは神じゃない・・・・それぞれ自分たちの都合があるの‼」
 
 俺が一方的に攻め立てるのを嫌ったか、彼女は似合わない感情論でそうまくしたてる。
 (なんでそんなに、確信を持っているんだよ)
 俺たちは・・・・絶対死ぬと思ったあのときも、なんとかなったじゃないか。お前らがエレナやトレイノルと出会ったのは、王国軍によって仕組まれた必然だったかもしれない。だが、あのとき・・・・ミヤダイが俺を見つけたのは?なにか――――意味があったんじゃないか?一緒に立ち上がれってことだったんじゃないのか?それも無意味なことだったと、偶然に決まってると吐き捨てるんだな。
 
 (そうかよ)
 キリヤたちが元の世界に帰りたいと思うのはわかる。だがどんな事情があるにせよ、もっと別のやり方を選ぶべきだ。覚悟が決まってから、俺は目の前の青年を睨みつける。
 「――――はぁ。ていうか、勇者ってなんだよ?お前ら、いきなり”自分たちは偉いです”みたいな風に言ってるけどな、似合わないって・・・・外道の間違いだろ?」
 「・・・・・⁉⁇はあ⁉」
 
 俺はここで、挑発するように彼らに語り掛けた。感情的になっているが、同時に頭は冷静だ。この場で彼らを説得するのは諦める・・・・そうなれば、二人を相手になんとしてもこの状況を切り抜けなければならない。まずは、対象をあえてキリヤ一人のみに絞った。事実、彼は安い挑発にも乗ってきた。
 「なんだよキリヤ。図星か⁇」
 「てめえ、今日はよくしゃべると思ったら・・・・なんだ?喧嘩売ってるのかよッ⁉」
 「おいおい、そんなに興奮することないだろ??違うと思うなら、堂々としてればいいじゃないか」
 
 「―――やめて二人とも」
 重く低い声で、彼女は仲裁に入る。
 「いいや、やめないねッ‼図星突かれてキレるとか、子どもか?それにお前ら、なんか調子に乗ってるみたいだが・・・・そんなに強くないぞ?王国軍に持ち上げられて、喜んで。うまく利用されてるのがわからないか??」
 「うるせぇよ!すくなくともお前よりは強ぇだろ⁉この瞬殺野郎が!!」
 「瞬―――――⁉クソが、だったら試してみろよ!!」
 
 「――――ッ!」
 俺の言葉に・・・・さすがのキリヤも躊躇したのか多少溜めを作った。しかし、ヒートアップした両者はもはや、なにがあっても止まることのできないほどに暴走していた。
 
 「上等だ!!死んでも恨むなよ!!」
 そう前置くと、すさまじい量の魔力を練り上げ・・・・キリヤは炎をまといこちらにすっ飛んでくる。
 
 「やめて桐谷君‼これ以上やったら彼が死んでしまうでしょ!」
 「――――おおおおおおおお‼」
 もはやクミシマの声など、届いてはいないだろう。キリヤはあふれ出した魔力を解放し、直線距離で百メーター以上の巨大な炎の大波を起こした。
 
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 「――――S級炎魔法:ジメグア・ロ=マネスコ‼‼‼‼」
 
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 「――――――――ッ⁉」 
 おいおい、なんだよこれ⁉これが、キリヤの魔法か⁉??ちょっとまて・・・・勇者だなんだと言っても、二週間前まで魔法すら知らなかったようなお前が⁇こんなレベルの炎魔法、見たことないぞ。
 轟音と熱さに包まれ、もはや視覚や聴覚では周囲の状況はつみにくい。生み出された上昇気流や暴風で、辺りの物が乱雑に舞い散っていく。業火に近づけば、それらは瞬く間に燃えカスとなってしまうだろう。
 
 (俺が―――――?あいつを殺す気で撃った―――――――‼‼⁉)
 一転、冷静さを戻したキリヤもそう自戒するが・・・・それだけでは済まないだろう。もしかしたら、町は一部消え去ってしまうかもしれない。そのくらいの威力だった。
 おそらくは、キリヤは自分の実力などすぐに追い越してしまうかもしれない。セシルは目の前の光景に、純粋にそう感じた。だが、それはいまじゃない。同時にそう確信し、近づいてきた豪炎に向かって左手を伸ばした。
 
 「――――――アイス・ラ=スクナ!」
 俺がそう唱えると、辺りは信じられないくらいの冷たい冷気に包まる。そして炎の大波はその流動的な形状を保ったまま、一瞬にして凍り付いた。
 
 「・・・・・・・お??う、嘘だろ??・・・・・なんだ、、、これ」
 先ほどの勢いは炎とともに消え去ったかのようだ。キリヤはまるで、寝ている友人を起こさないよう気を使ってしゃべっている風に消沈している。
 
 「はあ、はあ・・・・どうだ?頭は冷えたかよ?」
 激しい頭痛に耐えながら、俺はそう問いかける。俺が氷の間から現れはじめて、彼らはやっと状況を理解したようだった。キリヤは驚き、というよりも恨みに近い感情を俺にぶつける。
 「てめえ、普通に強いじゃねぇかよ・・・・!」
 「自分が”弱い”、なんて言ったことはない。お前らが瞬殺だとか、死にかけだとか勝手に言ってただけだろ。あのときは・・・・なぜか魔法が使えなかったんだ」
 彼が文句を言いたくなるのは、もっともだ。あの襲撃があったとき、俺がしっかりしていればもっと被害は少なかった。おそらくは、フリナフット・エデリアと名乗った少女の仕業だろう。
 
 「なめやがって・・・・」
 威勢よくこちらに駆け出すキリヤだが、振り上げた左足が地面に着地することなく倒れこんだ。さすがに違和感があったのか、自分の脚を見ると・・・・彼は悲鳴を上げる。
 
 「クソッ―――なんだこりゃあ⁉おい、てめえ‼」
 「氷魔法だ。安心しろ、適切に処置すれば溶けるようにしておいたからな。大人しくしておいてくれ」
 「てめえッ⁉ふざけんなァ!!いいぜ、片足くらいくれてやるさ。お前をぶっ殺すためにな‼‼‼」

 |||||||||||||
 |||||||||||||
 」           「
 『――――――やめろッ‼』
 」           「
 |||||||||||||
 |||||||||||||

 無理やり飛び起きようとした彼を、何者かが制止する。迫力のある声色は、流石に興奮しきったキリヤにも届いたようだ。
 
 「はあ・・・・はあ・・・・」
 彼は呼吸を荒げながら、驚きの表情を浮かべる。声にする先、そこには勇者【マモル・シバウラ】が立っていた。
 「きみは、きみたちはッ‼いったいなにをしているんだ⁉こんなときに、仲間割れをしている場合なのか⁉」
 彼は吐血しそうなほどに大きな声を絞り出し、苦しみに悶え表情を作った。
 
 「隼人、七瀬!それに、ハルガダナッ‼エレナはどうしたんだ、彼女を守るのはきみの役目だっただろう‼」
 「ああ。だが、エレナは死んだ」
 
 『~~~~~~!!????』
 文字通り絶句したシバウラだが、表情は悲しみではなく後悔のような情が読み取れる気がした。
 「頭の良いお前なら、もうわかってたんじゃないか?」
 「―――ッ!だとしても、それをなんとかするのがきみの責務だったんじゃないのか⁉」
 この町で起きた理不尽、憎しみ。そのすべてをぶつけるように、シバウラはこちらをにらんだ。
 
 「すまない・・・・」 
 「やめて、芝浦くん。彼は悪くないわ。どうしようもなかったのよ」
 俺がなにも言い返さないと、彼女は変わって震える声で否定する。
 (・・・・それに関しては、俺が悪い)
 エレナを守れなかった責任は重いし、あとで後悔してもしきれない。
 「だがシバウラ、お前はどうなんだよ‼ニホンに帰るためなら、王国軍に協力して人を殺すのか⁉エレナのように‼」
 「・・・・‼それはッ!そんなわけ、無いだろ!俺は・・・・俺には、もうなにがなんだか、わからないんだよッ」
 「シバウラ・・・・」
 「ただ、人として正しくありたい!!そう思っていることは間違いないッ‼」
 
 彼は、信念深く感じさせる声でそう訴えた。下唇から垂れる鮮血は、彼の悔しさをうかがわせる。
 「芝浦くん・・・・」
 「ッ!クソが・・・・!」
 
 シバウラのおかげで、場の緊張が和らいだ。俺は、正直シバウラも疑ってた。彼もまた、ニホンに帰るためなら手段を択ばないのではないか、と。しかし彼の言葉は、嘘には思えなかった。そんな状況でもシバウラは俺を攻めることはなく、逆になぜかバツが悪そうな表情を見せつつ話を進める。
 「とにかくいまは、これからどうするか考えないと。ハルガダナはとりあえず、隼人の足を治してくれ」
 「ああ、わかった」
 
 「チッ!早くしろよ」
 「動くな。バラバラに崩れても知らないぞ」
 「わかってるッ‼」
 キリヤも、彼の判断には一定の説得力を感じるらしい。シバウラはニホンで集団のリーダーだったようで、今回はうまく俺たちをまとめてくれた形だ。
 
 「勘違いすんなよ。俺だって、言いたくてあんなことを言ったんじゃねえ。王国軍のやってることがクソなのは、俺も同感だ」
 「ああ」
 彼はボソッとそうこぼした。その言葉に、途方もない安ど感が押し寄せる。キリヤやクミシマは納得していないかもしれないが、きっとわかってくれる。同じ方向を向けば、こんなに頼もしい存在はない。この世界で、俺が勇者たちと出会えたのはやはり必然だったのだ。彼らが居れば、世界を変えられる―――そんな気すら沸いてくるのだから。
 そう思った――――――――だからこそ、突然のことだった。
 なぜだろうか?よくわからないが・・・・とりあえず俺は、やはり心の何処かでニホンというラベルを信用していたのかもしれない。
 愉快な来訪者から聞かれる、夢のような場所のことを。
 
 「・・・・すまない」
 背後からシバウラの声が聞こえると、俺は彼がなにを考えているのかなんとなく察することができた。彼らにとってこの場所は、現実感のない異世界だ。元の世界に帰らなくてはいけないという、強迫観念があるのはもっともである。
 (しまった――――)
 そう感じるとともに、キリヤ、クミシマの絶叫が届く。
 「やめろ芝浦!!!!!!!ハルガダナ!!!!!!!!」
 
 振り返るまもなく、力強く下ろされる聖剣が大気を削り切る音を聞き取る。
 
 〈ドチャ・・・・〉
 
 そして鈍い音とともに、俺の体に温かい液体が飛び散った。ここまでか。しかし、それが勇者と呼ばれるお前の選択ということなら。それが、正しいのかもしれない。
 意見が対立していた以上、俺は倒さなくてはいけない。彼も、苦渋の決断だったのだ。最後に聞こえてきたのが、シバウラの嗚咽交じりの泣き声であることが俺にとって多少の救いとなったことは言うまでもない。 
 
 「・・・・・・・・・・・・」
 「・・・・・」
 
 「・・・?」
 (・・・・・・なんだ?)
 
 さすがに死を覚悟した俺だったが、感覚ははっきりしているのに、なぜか痛みすら感じない。
 「な、なんだお前は⁉」
 
 すると驚いたようなシバウラの声が俺の耳まで届く。やっと振り返った俺の目には、群青色のカール髪で、やせた男の背中が像として映し出された。
 
 「ゲホッ・・・・俺は、熱い心を持つ男・・・・その熱さは聖剣をも溶かし・・・・勇敢な青年を一人・・・・救ったのだった。ゲホッゲホッ・・・・」
 (――――なんだ?いったいなにが起こっているんだ?)
 そう思っていられるのもつかの間、左前方の民家が粉々になって吹き飛んだ。そこから現れた軍服の男は、長髪の男を切りつける。
 
 「ゲホッ!ああ、俺の心が燃えている限り・・・・斬撃も打撃も銃撃も、無効だ・・・・」
 「ほざけ、このくされ半竜が・・・・ッ‼」
 
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 
 『撤退だァー‼“ベクラマ”が来たぞォ‼急げェー‼増援部隊に合流し、南エラエクスまで撤退しろォ‼』
 
 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 大きな叫び声が、そこかしこで聞こえ始める。撤退――――そう伝えながらも、こちらには続々と兵士が現れる。彼らの一部は手負いの兵士を担ぎ上げると、馬車で文字通り退き始めた。勇者たちもまた例外ではないようである。
 
 「お、おい!なにすんだ!俺はまだ―――――!!」
 「やめろ勇者キリヤ!暴れるな!」
 「俺は、お前らにつくと決めたわけじゃねえ!!むしろ決心がついた、どけェ!」
 「ッ!!」
 これ以上はまずいと判断したらしい。魔力で不意を突くと、兵士はキリヤの意識を奪った。
 
 「――――桐谷君ッ!」
 それを見たクミシマは、心配そうに声を出した。
 
 「問題ない、気絶しているだけだ。勇者シバウラ、お前たちも早く続け!」
 「―――え?」
 「聞こえなかったか!?撤退!!!町の南にも荷馬車が待機している。走れ!!」
 「は、はい!七瀬、急ごう!」
 「わ、私は・・・・」
 
 「考えろ!僕らはニホンに帰るんだ!!」
 「でも、まだ彼がいる。このままでは殺されてしまうわ!」
 「そんなこと言っても、もうできることなんてない!わかってるだろ??」
 
 「ええ、でももういいわ。結果的に彼を死なせてしまうなら、私は自分の心に正直になりたい!」
 そうして、クミシマは彼女らしい覚悟の表情を作る。彼女の決断は、ここに残り俺たちの味方をすること。
 
 「ハルガダナくん!それに、誰だか知らないけどそこのあなた!私も協力する、なんとか逃げるわよ」
 「・・・・」
 俺は彼女に近づくと、その腹部に勢いよく拳をぶつけた。
 
 「!!!!????
 どう、いう・・・・つもり!!!!!?」
 こちらに驚きと怒りの感情を向け、肩に強い握力がかかる。しかし、彼女らにとってこれが最後のチャンスだ。
 「すまん、クミシマ。俺は・・・・お前らを不幸にするってわかってて、そんなことできない」
 「勝手だわ!!あなたは・・・・私の親にでも、なった、、、つもり・・・・なの?」
 「いや。でも友達には、なれたと思ってた」
 倒れ込む彼女を見て、シバウラは急いでこちらに寄ってきた。クミシマを抱えると、悔しさと悲しみを含むような表情をこちらに向けた。
 
 「最後まで、お前に頼り切りだったな」
 「いや。こうなってしまえば、これが正しいだろ」
 
 「来い!シバウラ、撤退だ!!!!」
 最大のチャンスだと考えたらしく、荷馬車の兵士が大声をあげる。こうして勇者が去った現場は、容赦のない戦場へと変貌する。
 
 「――――ぐッ!」
 俺は自分に向かって振り出された剣を、落ちていた剣でなんとか防いだ。
 「なにをしているんです、勇者がいなくなった以上、もうこの町で戦いを続ける理由はないはずだ!――――剣を下ろしてください‼」
 「馬鹿め。なにをしている、だって?俺は王国のため、スパイを殺そうとしているところさ」
 
 「なら、俺が降参すれば戦いを止めますか?」
 「いいや?お前、この町にいる化け物どもは、どのみち殺すことになる。そのときは、お前を助けているそこの“ベクラマ”も一緒にな!」
 
 兵士は強く剣を振りぬき、俺を壁際まで追い込んだ。
 (どいつもこいつも・・・・)
 「なぜ争う必要がある?戦いをやめろ!!!!」
 
 ビリ・・・・・ビビビリリッ・・・・・・‼

 ||||||||||||||||||||||||||||||
 ||||||||||||||||||||||||||||||
 ||||||||||||||||||||||||||||||
 
 」            「    
 『ブオオオオオオオオオ‼‼‼』
 」            「

 ||||||||||||||||||||||||||||||
 ||||||||||||||||||||||||||||||
 ||||||||||||||||||||||||||||||

 ビリ・・・・・ビビビリリッ・・・・・・‼
 
 瞬間――――――――鼓膜を突き破りそうな野太い大声が響き、とっさに耳を両手で覆う。
 (・・・・・‼今度はなんだ⁉)
 
 町の右側から轟音が鳴り響き、粉塵が巻き上がる。地面が隆起したかと思えば、そこから巨大な口が現れ町ごと兵士たちを飲み込んだ。
 
 」                 「
 『ブオオオオオオオオオオオオオオ‼‼‼』
 」                 「
 
 ふたたび大きく吠えると、地面から黒い円柱形上の生物が現れた。それは、口の中のものを一斉に吐き出し移動を始める。

 (――――オイ、オイオイ!)
 「なんだあいつ、こっちに向かってきてないか⁉」
 その通り。高さ30メートル・横幅15メートルほどの巨大生物が、都度轟音を立てながら町を破壊する。
 
 「――――グアァ⁉」
 あれに目を奪われていると、すぐ横で血しぶきがたった。
 「安心しろ、やつは俺の仲間だ・・・・ゲホッ」
 「あなたは、さっき俺を守ってくれた・・・・どういうことですか!?」

 「ゲホ、ゲホッ・・・・奴らは逃さず殲滅する」
 「はあ⁉」

 
 *

 
 結局、巨大生物はしばらく暴れまわった。驚くべきことに最後には、一気に二メートルほどの大きさまで収縮したのだった。
 
 「わっ、ちょっと!いきなり縮むなってば・・・・!」
 そこに乗っていたもうひとつの影が、地面に転げた。少女がそう叱責すると、円柱形の生物は申し訳なさそうに手を頭に当てた。
 
 (なんなんだ、この人たちは)
 周りにいた兵士たちは全員撤退していったか、やられたらしい。気がつけばこの静かな場所にぽつんと存在しているのは、俺たちだけになっている。住民たちが見当たらないのは、隠れている、と信じたい。
 町があったの場所の半分近くが、平原に積まれたがれきの山になっていること。それがまさに、戦闘の激しさをよく物語っている。
 
 「―――――立てる?」
 そう言って、ベレー帽をかぶった黄緑髪の少女が、俺に手を差し伸べる。しかし、俺はまだその手を取ることができない。
 風が吹き荒れる。辺りには目視できる範囲だけでも、血だらけの死体がいくつも転がっているのだ。そのほとんどが武装していない民間人の姿である。
 
 (―――――どうしてこうなったんだ)
 茫然自失――――このときの俺にぴったりの言葉だったろう。そんな俺に、もう一度彼女は声をかける。
 「きみには助けられたから、できれば連れて帰りたいんだけど」
 彼女はまだ、差し出した手を引っ込めてはいない。
 「そもそも、あなたたちも戦いをやめなかった」
 「そうだね。でも現実を受け止めなさい。王国軍のやり方が強硬である以上、私たちも相応の対応で臨まないといけないんだ。知らなかったかもしれないけどね、いろいろなところでこの町のようなことが起きている。それでも今日、きみは正しい選択をした。誇りに思っていいよ」
 「・・・・」
 気が付くと、辺りには大粒の雨が降り出していた。この空のように曇った心は、晴れそうにない。俺は、どうするべきなんだろうか?
 
 
 *第九話に続く
 
  
 
 
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