異世界転移したら女神の化身にされてしまったので、世界を回って伝説を残します

高崎三吉

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第5章 辺境の地にて

第73話 夜の街に出かけたら

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 とりあえずヴァルナロの同意を得て、俺はフレストルの社にしばらく泊めてもらうことになった。
 もちろんその対価は『フレストルに気付かれないように病気を引き受けた彼を治療する』事である。
 普通に考えると安すぎるだろうけど、フレストル自身はもっと安い対価で自分の命を張っているのだからそれはまあ構わない。
 オレはフレストルの考えを支持はしていないが、それでもその信念と信仰心に対し敬意は払うに値する事は認めているし、彼が命を落とす事は望んでいないのだ。
 問題なのはフレストルがこれで自分の能力を過信し、もっと危ない橋を好きこのんで渡る羽目になりかねないことだけど、そこはヴァルナロに逐一釘を刺してもらうしかなかろう。
 まあフレストルは信仰に殉ずる覚悟はあるにしろ、別に死にたがりでは無いので何とか自重してもらえることを期待するより他は無いだろう。

 そしてその日の夕刻になって、オレはこのファーゼストの城壁外にある下町を出歩くことにした。
 もちろん『男装』してだ。
 ここは特に治安が悪いわけではないが、よいと言うことも無く、どう考えても女子がひとり夜歩きするには危険が伴う。
 昼間にはあれだけ『異性装』について咎められた事から、フレストル達に見つかるといろいろ厄介なのは分っているが、オレとしては暴力的な面倒に巻き込まれるのはなるだけ避けたいので仕方が無い。
 そんなわけでオレは日が沈み、暗がりが広がる下町をうろついていた。

 ここでは西方から来た一神教徒と元からこの地に住んでいる多神教徒が一緒になって暮らしているわけだが、いまのところ特にそれでギスギスしているとか、対立しているというわけではないらしい。

 実際、殆どの一般人からすれば信仰よりも大事なのは日々の生活であり、家族の安寧だろうからな。
 それを保証してくれさえすれば、信仰の対象が一神教だろうと多神教だろうと大した違いはないだろう。
 オレの認識は一神教も多神教もほとんど関係ない、宗教的無節操な日本人的感覚だけど、多神教と一神教の境目に位置するここではそれに近い意識がありそうだ。


 この世界は魔法による明かりが、ある程度裕福な人間ならば手軽に買える程度に出回っているので、元の世界には遠く及ばないにせよ町においては夜でも明かりはある。
 それにオレの場合、魔法で夜目を強化出来るので暗がりは行動の支障にはならない。
 
 そんなわけで周囲を見回すと、この下町も『不夜城』とは言い過ぎにしても、夜のとばりが降りつつある時間でも結構な店が活動しているようだ。
 ただし昼間に比べると、かなり胡散臭い店が幅を利かせているようで、恐らくファーゼストの城壁の中ではやりにくい商売がこちらをはけ口にして、それを目当てにした人間が押し寄せてきているのだろう。
 こんなところもつくづく元の世界と変わらないな。

 そしてそれを承知で出歩いているオレは立派な『不良』と言えるだろう。
 元の世界にいた頃は『品行方正な優等生』とはほど遠かったが、少なくとも夜遊びしてロクでもない歓楽街に足を踏み入れるような事は一度も無かったので、そういう意味では随分と『悪い子』になってしまったものだ。
 両親に知ったら嘆き悲しむだろうな ―― などと思ってみたが、冷静に考えてみれば女にされてしまったことと比較すれば些細な事でしかない。

 やはり最近、自分が女の身であることを当たり前に受け入れつつあるのは自覚せざるを得ないな。
 うう。一刻も早く男に戻る術を見いださないとやばい気がしてくるよ。
 すぐにでも西方に向かって、聖女教会の女神イロールの足取りをつかみたいところだ。
 しかしそんな事を考えて少しばかり気は焦るけど、同時にこの近辺を脅かしている『疫病』についても出来る事をやっておかねばならないという意識もある。

 オレにとってどちらが大切かは、正直に言うと分らない。
 だが西方に足を踏み入れてもすぐに手がかりがつかめるとは思っていないので、やっぱりこっちを放置して先には進めないな。
 そんなわけでオレは『歓楽街』の喧噪を耳にしつつ、あたり一帯を【霊視】ソウルサイトで見て回ることにした。
 これならばヴァルナロの言う『病の魔』が本当に活動して人々を襲っているなら、それを見抜くことが出来るはずだ。

 もちろんオレの場合『霊体を区別する訓練』など受けていないから、怪しい相手を見つけたとしても、すぐにそれが何か分るワケではないし、攻撃魔術も使えないから即座にどうにか出来るわけでもないが、とにかくここは行動あるのみだ。
 そういうわけで魔術を投射すると、視界のそこかしこで動き回る半透明の存在が浮かび上がる。

 むう。以前にマニリア帝国の後宮で使った時には、そうそう霊体など見つからなかったけど、それはたぶん宮城には外からその手の存在が入り込めないように魔術的に隔離されていたからなんだろう。
 だがこの辺境都市であるファーゼスト周辺では、その手の『野良精霊』のたぐいは決して珍しい存在では無いらしい。
 そして見たところ連中は人を襲ったりするわけでも無く、ただうろついているだけの存在であるようだ。
 これでは『怪しい霊体』を探るのも難しいだろう。
 そう思ってこっちが少しばかり落胆していると、オレの視覚の片隅で蠢く存在が引っかかり、オレは電撃でも受けたかのように立ちすくむ。
 それは以前に倒れていたフレストルが見せたような、毒々しい色に覆われ、あばたのようなシミがその表面のあちこちに浮かんでいた。
 まさか? あれがここに『疫病』を振りまいている元凶なのか?
 オレは一気に緊張を高めつつ、その奇妙な霊体の動き回っていた方向に足を向けた。


 ひとまずオレは先ほど見かけた『奇妙な霊体』について追いかけることにした。
 だがそうしている最中にもオレの胸裏にはいろいろと疑問がわき上がる。

 こんなに簡単に『疫病の元凶』が見つかるものなのか?
 また一見するとかなり弱々しく、たどたどしい動きをしているあんな霊体に大勢の人間を呪って病気にする事が可能なのだろうか?

 普通に考えたらいろいろと不自然だ。
 ひょっとすると『疫病』を思わせる外見は単なる偶然の一致に過ぎず、オレが勘違いしているだけかもしれない。
 しかしながらとにかく今は僅かな糸でもたぐっていくしかないのだ。
 そう考えてオレはまるで酔っ払いのごとく、あちこちふらつくように動き回っている霊体を追いかけていく。

 もっともこっちは全力を尽くして追いかけているが、なにしろ霊体の方は宙を舞い、壁をすり抜けて移動出来るのに対して、こっちは人の身 ―― しかも肉体的にはか弱い乙女 ―― である。
 そうそう簡単に追跡出来るものではない。
 しかも他にも蠢いている霊体はいるわけで、そいつらの混じってしまって見失わないようにするだけでも一苦労だ。
 だが愚痴をこぼしているわけにはいかない。オレは急ぎ駆け出そうとする。
 しかしそのときオレに体に小さな衝撃が発生し、次の瞬間に今度は大きな怒鳴り声が耳に飛び込んできた。

「おい! このガキ! どこに目をつけていやがる!」
「ええ?」

 霊体の動きばかり注視していたため、通りすがりの男が振り回した手にオレはぶつかってしまったのだ。

「てめえのせいでせっかく買った酒がこぼれちまったじゃねえか。どうしてくれるんだ」

 これはマズい。
 相手は見るからにロクでもなさそうな酔っ払いだ。

 酔っ払いのごとくたどたどしく動く霊体を追いかけていたら、本物の酔っ払いにぶつかって絡まれてしまうとは、全く世の中とは理不尽だ。
 普通に考えると、このオッサンが往来で酒瓶を持った手を振り回しているのが悪いのだけど、先を急ぐオレとしてはいちいちこんな事でもめてはいられない。

「ごめんさない。こっちは急いでいますから――」
「やかましい! こぼした酒を弁償……いや。いますぐ一滴残らず元通りにしやがれ!」

 おいおい。それじゃただのいちゃもんだろ。
 たぶんきっかけは何でもよくて、ただ痛めつける相手が欲しいだけなんだろうな。
 分っていたことだけど、どこの世界でもこういう輩はいるというわけか。

「すみません。本当にこっちは時間がなくて――」

 こんな事をしていてあの霊体を見逃して、それでまた病人が発生したらそれこそ大変だ。
 しかしそれをこの酔っ払いに話しても理解してもらえるはずもない。

「ふざけんな! だいたいてめえのそのナヨナヨした女みていな顔が気にくわねえ!」

 そっちこそふざけるな!
 誰が好きこのんでこんな顔になるか!
 だがオレが怒ってにらみ返したのを見て、男はますます興奮する。

「ああん! 俺に刃向かうつもりかこのガキ!」

 男は怒鳴るとオレに向けてその手を伸ばす。
 まずい。下手につかまれたらオレが女の身である事がばれてしまう。
 まだ男装しているからこの程度で済んでいるが、こっちが女だと気付かれたらそれこそ何をされるか分ったもんじゃない。
 しかも周囲には酔っ払いの叫びを受けて、何人かがこっちを注視しているようだ。

「あいつ。また弱そうな相手にからんでいるぞ」
「かわいそうに。まだ子供じゃないか」

 周囲からひそひそとオレに同情するような声が響くが、助けようとする者は誰もいない。
 ただ遠回しに見守るだけだった。
 まあ縁もゆかりもないよそ者のオレのために、こんなチンピラに絡まれたいと思わないのは当然だろう。
 だがこれ以上、注目を浴びるのはどう考えてもマズい。
 この酔っ払いが気付かなくとも、他の人間に男装を見抜かれたらそれはそれで面倒だ。
 そんなわけでオレはチンピラに対して増幅した【平静】をかけることにする。

「このガキ――」

 男はオレに向けて拳を振り上げたところで、急に動きを止める。
 感情を抑止されて行動出来なくなったのだ。

「それでは失礼します!」

 オレは一礼してさっさとその場を後にした。厄介ごとに巻き込まれるのは真っ平だし、何よりも先ほど見かけた霊体を追うのが優先だったからだ。
 しかし――

「やっぱりダメだ……見失ってしまった」

 霊体は宙を舞い、壁をすり抜け、人波を越えて移動出来る。
 オレはその霊体を『観る』事が出来るだけで、追跡するには見つけた相手を二本の足で追いかける以外には手は無いのだ。
 こっちが酔っ払いに絡まれた間に、あの霊体は視界外にとっとと消え失せてしまったようだ。

 なんてこったい。
 こうなったら頭を切り替え、改めて探すしかないだろう。
 そう思って周囲を見回すと、先ほどの『病に侵されたかのような霊体』とは別に、いろいろな霊体が流れていくような動きが感じられる。
 よく見ると連中はこの下町の外れに集まっていっているようだ。
 まさかあそこに霊体を集める『何か』があるのか?
 こうなったらとにかく行ってみるしかないだろう。
 オレは下町の喧噪と明かりを外れて、次第に暗くなる町外れの方向へと歩き出す。
 この時のオレは暗がりも魔術で見通せるから、闇を恐れてはいなかった。
 だがそれ故にこそ、こういう場合に待っているのは、ほぼ確実にロクでもないものである事をオレはついつい失念してしまっていたのだった。
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