172 / 1,316
第8章 ライバンス・魔法学院編
第172話 身体を散々弄ばれてその後には
しおりを挟む
しばしの間、オレの身体はあちこちとまさぐられ、いいようにオモチャにされていた。
これがエロゲーだったらビクンビクンと身体が脈打って『悔しい。でも感じちゃう』ともらすところだろうが、ぶっちゃけ単に不快なだけである ―― 当たり前だけど。
ただオレを触っている手の感触はやっぱり生きた男のものだろう。
幻術で見た目を変えているとしても、触感まで変えているとは思えない。
この相手は先日襲ってきた『乾物男』のような干からびたアンデッドでないのは間違いない。
自分で言うのも何だが、このオレの肢体を触っているにもかかわらず、欲望というか、色気というかそういう意識は感じられない。
敢えて言えば医者が患者を触診しているように見えるのだ。
当然ながらこんな相手に今まで出会った事は無いのだが、しかしこのオレをまさぐる手の感触には身に覚えがあるような気がしてくる。
いや。もちろん身体をまさぐる手の感覚で相手が誰か分るような、そんな特技はオレにはありませんから、単なる勘違いかもしれないけどさ。
どっちにしても不快感と羞恥心でオレの顔には血が上り、相当に赤面しているのじゃないかと思う。
男に触られて顔を赤らめつつ視線を背けるとは、何も知らない人間がこの光景を見ていたらどんなツンデレヒロインだと勘違い ―― する事はさすがにないだろうけど、とにかくこんな事は一刻も早く辞めてくれ。
そしてしばしの後に、オレの身体を十分に堪能したらしく男は手を離す。
「ふうむ。肉体の組成や構造は普通の人間と殆ど変るところはなさそうだな。敢えて言えば極めてバランス良く均整のとれた肉体というところだろうか」
オレの身体をこれだけまさぐっておきながら、文字通りただ『肉』を評価しているかのような無味乾燥な感想をもらすとは許せん!
いや。違うだろ。
コイツはやっぱり人間的な肉欲の類いはないらしいので、オレの身体でそんなものを発散する気が無かったということに安心すべきだった。
もちろん状況は何一つ変っていないのだけど。
「これまで不死者と定命では肉体の組成が異なるかどうかで長らく議論が戦わされてきたが、どうやら組成は変らぬようだ。ならば不死と定命の差は別のところにあるということになるな」
相手は勝手に納得した様子で頷いている。
「これだけでも実に大きな進歩だ。数百年に渡る議論に一つ終止符を打ったわけだからな」
あんたらそんな事で何百年も議論してきたのかよ!
いや。無数にある学術論争の一つに過ぎないんだろうし、たぶん当人達は必死だったんだろうけどさ。
しかし不毛な議論の事を『神学論争』と言うけど、現実に神様が恩恵を与えてくれているこの世界では、元の世界よりもずっとその手の議論は重大な事なんだろうな。
「これで分っただろう。そなたがどれだけ貴重な研究素材であるか。そしてそれがいかほど人間を発展させる材料となるか。それを考えれば誇りにしてもよいぐらいだ」
今まで望みもしない称賛を受けた事は何度もあるが、これほどまでに気分が陰鬱になったのは初めてだよ。
しかしいつものことではあるが、それは序の口だったのだ。
「そして肉体組成が同じだとしたら、やはり同じように子供をなす事も可能なのだろうな」
そう言って相手はオレの股間をかなりマジマジと見つめている。
だけどオレの紅潮した顔は一気から一気に血の気が失せる。
それは辞めろ! かなりマジで!
見られ触られるぐらいならとりあえず我慢してやるけど、そこまでいったらシャレになんないから!
しかしそんな事を考えつつも、今の着崩れた服装で身もだえするオレの姿は、傍目にはかなり色っぽく見えるものだろう、などとちょっとマヌケな思考が脳裏をよぎった。
そうなるのはやっぱり『この身体は自分の本当のものじゃないから』という意識がまだ残っているからなんだろうなあ。
「先ほど言ったように、それは時間がかかりすぎるので今は無理だが、今後は是非とも試してみたいものだ。これもまた長年の議論に一つ終止符を打つ事になるからな」
ちょっとばかり残念そうにこぼしているが、時間制限がなかったら喜んでコイツはオレの身体にチョメチョメしたということか。
何にせよあんたらにとっては人生賭けてきた重大事かもしれないけど、そのためにこの身を苛まれるなど真っ平ゴメンです。
本当にやりたいならそういうことは強制ではなく志願者を募ってやって下さい!
このオレが数百年の歴史で初めての対象なら、あと数百年待ったら志願してくれる相手が出てくるかもしれないですよね!
そんな事を考えているオレの胸中など無視して、こっちの胸だの何だとおさわりしまくった相手はやや残念そうに手を離す。
「まだまだ調べたい事はあるのだが、とりあえず本当の実験の準備があるのでそろそろ引き上げさせてもらうよ」
くそう。結局、オレの鎖を外してくれるような甘い事はしてくれないか。
考えて見れば当たり前だけど、こっちの色気に惑って脱出のチャンスをくれるようなマヌケな相手では無かった事を確認しただけでもよしとしよう。
とにかく無理矢理でもそういうことでオレは自分を納得させるしかなかった。
幾ら本当の身体でないと言い聞かせたところで、実際にこの身を苛まれたら結構へこむんだよ!
そう思ってしまうあたり、結構この身体に馴染んでしまっている自分自身を感じてオレは改めて更に落ち込む気になった。
身体をいろいろと調べられてこの男がいろいろと分った事があったようだが、オレの方もこの身体が自分のモノでは無いという意識がある反面、それに馴染み、また当たり前になりつつある現状を強く意識させられる羽目となっていた。
いや。もちろんオレだって気付いてはいたんだけど、この一件でその現実を改めて突きつけられてしまったのだ。
オレがいろいろと複雑な感情を抱きつつ沈んでいると、男の方は無表情でありながらどこか満足した様子で手を離す。
これだけだといわゆる『チョメチョメの事後』の感じに見えるけど、もちろんただ単にオレは一方的に弄ばれただけであって、満足などしてない ―― 違うだろ!
ひとまずオレが相変わらず謎のままの男をにらみ付けても、相手は別に意識する様子も無くこちらに背を向けて扉へと歩きだす。
「それでは失礼させてもらうとしよう。それではまた会おう」
ようやく男が去ったところで、どうにかオレは胸をなで下ろした。
それは無理矢理にやられてしまわなかった事に対する安堵でもあり、また自分の受け身の肉体を再確認させられるのが終わった事に対するものでもあった。
そして再度、鎖に繋がれたままひとりぼっちになったオレは。先ほどのやりとりで得られた情報を再度、見返すことにした。
とりあえず分ったのは、オレを捕らえてた連中はこっちを実験素材として拘束したのであり、また何か重大な実験 ―― それも彼らにとっては数百年単位での課題 ―― をこっちの身で行うつもりだということだ。
幸か不幸かオレをチョメチョメしようという意図はないのがかろうじての救いだな。もしもホン・イールが連中の中にいたら無理矢理にでもガランディアとオレを『かけ合わせる』事を考えていただろう。
しかしこのオレを素材にして行う実験とは具体的になんだろう?
残念ながらオレはこの学園についてロクに知らないので、想像するだけ無駄だろうけど、やっぱり不死者の真実を探るものと考えるのが自然かな。
どっちにしても今のところオレには想像しか出来ないが、それはこの身を想像もはばかられるとんでもない事に使う以外には答えが出そうにない。
以前に聞いたところでは、新しい魔法の実験代をこの学園では常に欲しているらしいが、少なくとも数百年に一度手に入るかというオレをそんなことに使ったりはしないだろう。
ひょっとすると不死者に対して命令を聞かせる魔法とか、その類いの魔法が開発されていたけど実際に使う機会が無くて、この期に試そうとかそんな事もありうるかもしれないけど。
実は連中の実験そのものは大したものでもなくて、こっちが要求に応じさえすれば結構、簡単に解放してもらえる見込みもあるだろう。
しかし力尽くで誘拐し、こんな牢屋に閉じ込める時点で、こっちにはそんな気はさらさらなくなったさ。
単純にオレの身体を目当てに寄ってくるいやらしい男共にも散々、ウンザリさせられてきたけど、肉欲抜きならそれでミツリーンだの、この学園のマッドな研究者連中だのと、またしても困り果てた連中に襲われる。
これでは人の世界に愛想を尽かして、神の領域に引きこもりたくなる気持ちも理解出来るよ。
ただやっぱりオレは人間の世界を捨てたくないし、女の姿のままで崇拝されるのもうんざりだ。
それにこう見えてもオレはここ数ヶ月、とんでもない出来事に何度も遭遇し、幾度も追い詰められてもどうにか凌いできたんだよ。
だからここからも何とか脱出してみせるとも!
何にせよ現状を分析しつつ脱出について考えるとしたら――
1.突如として脱出のアイデアがひらめく。
2.誰かがきて助けてくれる。
3.逃げられない。現実は非情である。
とりあえず三つ目は論外として、オレにとっては一番がもっともいいのだけど、可能性があるとしたらむしろ二番目かな。
オレを捕らえている相手はこの学園の関係者なのは間違いないが、どこの何もので、また何人いるのかも分らない。
だがそれは裏を返せば、オレに正体を知られてはマズいということだ。
それに幾らオレが貴重な不死者だとしても、本人の同意どころか無理矢理に拘束して実験材料にする事が許されるはずがない ―― ビューゼリアンはたぶん知っていて見て見ぬふりをしているのだろうけどな。
そんなわけで連中が違法に活動していて、表沙汰に出来ないことならば関わっている人数だってそう多くないはず。
加えてホン・イールあたりも自分の貴重な研究対象を奪われて引っ込んだままでいるとも思えないし、スビーリーやアニーラだって、ガランディアがよりにもよってオレと一緒に行方不明になったとしたら血眼になって探しているだろう。
スビーリーは学部長の娘だと言っていたから、それなりに当てにしていいかもしれない。
それはともかく女神とまではいかなくとも『囚われの美女精霊』の類いが救い出された場合、その感謝の証として相手の妻になる、という話は伝説や昔話にはよく出てくる。
オレの場合も同じように、誰でもいいのでここから助けてくれたら、口づけぐらいはしてあげてもいい気分だよ。
なに? 妻になるのと比較したらあまりにもショボすぎる報酬だって?
オレに出来る事はせいぜいそれぐらいなんだから仕方ないじゃないか。
残念だけど本当に妻になれと言われたら、とっとと尻に帆かけて逃げ出させてもらうよ。
オレにとっては実験材料にされるのも、誰かの嫁になるのも同じぐらい真っ平なんだからな。
そんなわけでオレは助けが来るのを待つ他力本願か、それがダメならいざという時に自力で脱出が出来るように考えておこう。
幸いにもオレを捕らえた連中は、こっちの実力については限定的にしか知らないはずだ。
きっとつけ込む隙が出来るはず。
そう結論付けたオレは少しばかり休みをとることにした。
これがエロゲーだったらビクンビクンと身体が脈打って『悔しい。でも感じちゃう』ともらすところだろうが、ぶっちゃけ単に不快なだけである ―― 当たり前だけど。
ただオレを触っている手の感触はやっぱり生きた男のものだろう。
幻術で見た目を変えているとしても、触感まで変えているとは思えない。
この相手は先日襲ってきた『乾物男』のような干からびたアンデッドでないのは間違いない。
自分で言うのも何だが、このオレの肢体を触っているにもかかわらず、欲望というか、色気というかそういう意識は感じられない。
敢えて言えば医者が患者を触診しているように見えるのだ。
当然ながらこんな相手に今まで出会った事は無いのだが、しかしこのオレをまさぐる手の感触には身に覚えがあるような気がしてくる。
いや。もちろん身体をまさぐる手の感覚で相手が誰か分るような、そんな特技はオレにはありませんから、単なる勘違いかもしれないけどさ。
どっちにしても不快感と羞恥心でオレの顔には血が上り、相当に赤面しているのじゃないかと思う。
男に触られて顔を赤らめつつ視線を背けるとは、何も知らない人間がこの光景を見ていたらどんなツンデレヒロインだと勘違い ―― する事はさすがにないだろうけど、とにかくこんな事は一刻も早く辞めてくれ。
そしてしばしの後に、オレの身体を十分に堪能したらしく男は手を離す。
「ふうむ。肉体の組成や構造は普通の人間と殆ど変るところはなさそうだな。敢えて言えば極めてバランス良く均整のとれた肉体というところだろうか」
オレの身体をこれだけまさぐっておきながら、文字通りただ『肉』を評価しているかのような無味乾燥な感想をもらすとは許せん!
いや。違うだろ。
コイツはやっぱり人間的な肉欲の類いはないらしいので、オレの身体でそんなものを発散する気が無かったということに安心すべきだった。
もちろん状況は何一つ変っていないのだけど。
「これまで不死者と定命では肉体の組成が異なるかどうかで長らく議論が戦わされてきたが、どうやら組成は変らぬようだ。ならば不死と定命の差は別のところにあるということになるな」
相手は勝手に納得した様子で頷いている。
「これだけでも実に大きな進歩だ。数百年に渡る議論に一つ終止符を打ったわけだからな」
あんたらそんな事で何百年も議論してきたのかよ!
いや。無数にある学術論争の一つに過ぎないんだろうし、たぶん当人達は必死だったんだろうけどさ。
しかし不毛な議論の事を『神学論争』と言うけど、現実に神様が恩恵を与えてくれているこの世界では、元の世界よりもずっとその手の議論は重大な事なんだろうな。
「これで分っただろう。そなたがどれだけ貴重な研究素材であるか。そしてそれがいかほど人間を発展させる材料となるか。それを考えれば誇りにしてもよいぐらいだ」
今まで望みもしない称賛を受けた事は何度もあるが、これほどまでに気分が陰鬱になったのは初めてだよ。
しかしいつものことではあるが、それは序の口だったのだ。
「そして肉体組成が同じだとしたら、やはり同じように子供をなす事も可能なのだろうな」
そう言って相手はオレの股間をかなりマジマジと見つめている。
だけどオレの紅潮した顔は一気から一気に血の気が失せる。
それは辞めろ! かなりマジで!
見られ触られるぐらいならとりあえず我慢してやるけど、そこまでいったらシャレになんないから!
しかしそんな事を考えつつも、今の着崩れた服装で身もだえするオレの姿は、傍目にはかなり色っぽく見えるものだろう、などとちょっとマヌケな思考が脳裏をよぎった。
そうなるのはやっぱり『この身体は自分の本当のものじゃないから』という意識がまだ残っているからなんだろうなあ。
「先ほど言ったように、それは時間がかかりすぎるので今は無理だが、今後は是非とも試してみたいものだ。これもまた長年の議論に一つ終止符を打つ事になるからな」
ちょっとばかり残念そうにこぼしているが、時間制限がなかったら喜んでコイツはオレの身体にチョメチョメしたということか。
何にせよあんたらにとっては人生賭けてきた重大事かもしれないけど、そのためにこの身を苛まれるなど真っ平ゴメンです。
本当にやりたいならそういうことは強制ではなく志願者を募ってやって下さい!
このオレが数百年の歴史で初めての対象なら、あと数百年待ったら志願してくれる相手が出てくるかもしれないですよね!
そんな事を考えているオレの胸中など無視して、こっちの胸だの何だとおさわりしまくった相手はやや残念そうに手を離す。
「まだまだ調べたい事はあるのだが、とりあえず本当の実験の準備があるのでそろそろ引き上げさせてもらうよ」
くそう。結局、オレの鎖を外してくれるような甘い事はしてくれないか。
考えて見れば当たり前だけど、こっちの色気に惑って脱出のチャンスをくれるようなマヌケな相手では無かった事を確認しただけでもよしとしよう。
とにかく無理矢理でもそういうことでオレは自分を納得させるしかなかった。
幾ら本当の身体でないと言い聞かせたところで、実際にこの身を苛まれたら結構へこむんだよ!
そう思ってしまうあたり、結構この身体に馴染んでしまっている自分自身を感じてオレは改めて更に落ち込む気になった。
身体をいろいろと調べられてこの男がいろいろと分った事があったようだが、オレの方もこの身体が自分のモノでは無いという意識がある反面、それに馴染み、また当たり前になりつつある現状を強く意識させられる羽目となっていた。
いや。もちろんオレだって気付いてはいたんだけど、この一件でその現実を改めて突きつけられてしまったのだ。
オレがいろいろと複雑な感情を抱きつつ沈んでいると、男の方は無表情でありながらどこか満足した様子で手を離す。
これだけだといわゆる『チョメチョメの事後』の感じに見えるけど、もちろんただ単にオレは一方的に弄ばれただけであって、満足などしてない ―― 違うだろ!
ひとまずオレが相変わらず謎のままの男をにらみ付けても、相手は別に意識する様子も無くこちらに背を向けて扉へと歩きだす。
「それでは失礼させてもらうとしよう。それではまた会おう」
ようやく男が去ったところで、どうにかオレは胸をなで下ろした。
それは無理矢理にやられてしまわなかった事に対する安堵でもあり、また自分の受け身の肉体を再確認させられるのが終わった事に対するものでもあった。
そして再度、鎖に繋がれたままひとりぼっちになったオレは。先ほどのやりとりで得られた情報を再度、見返すことにした。
とりあえず分ったのは、オレを捕らえてた連中はこっちを実験素材として拘束したのであり、また何か重大な実験 ―― それも彼らにとっては数百年単位での課題 ―― をこっちの身で行うつもりだということだ。
幸か不幸かオレをチョメチョメしようという意図はないのがかろうじての救いだな。もしもホン・イールが連中の中にいたら無理矢理にでもガランディアとオレを『かけ合わせる』事を考えていただろう。
しかしこのオレを素材にして行う実験とは具体的になんだろう?
残念ながらオレはこの学園についてロクに知らないので、想像するだけ無駄だろうけど、やっぱり不死者の真実を探るものと考えるのが自然かな。
どっちにしても今のところオレには想像しか出来ないが、それはこの身を想像もはばかられるとんでもない事に使う以外には答えが出そうにない。
以前に聞いたところでは、新しい魔法の実験代をこの学園では常に欲しているらしいが、少なくとも数百年に一度手に入るかというオレをそんなことに使ったりはしないだろう。
ひょっとすると不死者に対して命令を聞かせる魔法とか、その類いの魔法が開発されていたけど実際に使う機会が無くて、この期に試そうとかそんな事もありうるかもしれないけど。
実は連中の実験そのものは大したものでもなくて、こっちが要求に応じさえすれば結構、簡単に解放してもらえる見込みもあるだろう。
しかし力尽くで誘拐し、こんな牢屋に閉じ込める時点で、こっちにはそんな気はさらさらなくなったさ。
単純にオレの身体を目当てに寄ってくるいやらしい男共にも散々、ウンザリさせられてきたけど、肉欲抜きならそれでミツリーンだの、この学園のマッドな研究者連中だのと、またしても困り果てた連中に襲われる。
これでは人の世界に愛想を尽かして、神の領域に引きこもりたくなる気持ちも理解出来るよ。
ただやっぱりオレは人間の世界を捨てたくないし、女の姿のままで崇拝されるのもうんざりだ。
それにこう見えてもオレはここ数ヶ月、とんでもない出来事に何度も遭遇し、幾度も追い詰められてもどうにか凌いできたんだよ。
だからここからも何とか脱出してみせるとも!
何にせよ現状を分析しつつ脱出について考えるとしたら――
1.突如として脱出のアイデアがひらめく。
2.誰かがきて助けてくれる。
3.逃げられない。現実は非情である。
とりあえず三つ目は論外として、オレにとっては一番がもっともいいのだけど、可能性があるとしたらむしろ二番目かな。
オレを捕らえている相手はこの学園の関係者なのは間違いないが、どこの何もので、また何人いるのかも分らない。
だがそれは裏を返せば、オレに正体を知られてはマズいということだ。
それに幾らオレが貴重な不死者だとしても、本人の同意どころか無理矢理に拘束して実験材料にする事が許されるはずがない ―― ビューゼリアンはたぶん知っていて見て見ぬふりをしているのだろうけどな。
そんなわけで連中が違法に活動していて、表沙汰に出来ないことならば関わっている人数だってそう多くないはず。
加えてホン・イールあたりも自分の貴重な研究対象を奪われて引っ込んだままでいるとも思えないし、スビーリーやアニーラだって、ガランディアがよりにもよってオレと一緒に行方不明になったとしたら血眼になって探しているだろう。
スビーリーは学部長の娘だと言っていたから、それなりに当てにしていいかもしれない。
それはともかく女神とまではいかなくとも『囚われの美女精霊』の類いが救い出された場合、その感謝の証として相手の妻になる、という話は伝説や昔話にはよく出てくる。
オレの場合も同じように、誰でもいいのでここから助けてくれたら、口づけぐらいはしてあげてもいい気分だよ。
なに? 妻になるのと比較したらあまりにもショボすぎる報酬だって?
オレに出来る事はせいぜいそれぐらいなんだから仕方ないじゃないか。
残念だけど本当に妻になれと言われたら、とっとと尻に帆かけて逃げ出させてもらうよ。
オレにとっては実験材料にされるのも、誰かの嫁になるのも同じぐらい真っ平なんだからな。
そんなわけでオレは助けが来るのを待つ他力本願か、それがダメならいざという時に自力で脱出が出来るように考えておこう。
幸いにもオレを捕らえた連中は、こっちの実力については限定的にしか知らないはずだ。
きっとつけ込む隙が出来るはず。
そう結論付けたオレは少しばかり休みをとることにした。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる